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ディグ・モードvol.34「ロクサンダ(ROKSANDA)」

ロクサンダ(ROKSANDA)は、2005年にデザイナーのロクサンダ・イリンチック(Roksanda Ilincic)が立ち上げたロンドン拠点のファッション ブランド。イタリアで開発している上質な生地や芸術的なドレープ、大胆な色使いが特徴。デザイナーは彼女の服を身につけた人がより強い自分になれることを願ってデザインしている。


一枚の布がドレスに変わるプロセスの虜になる

2020年秋冬コレクション(Photography by Harry Carr)

セルビアのベオグラードで生まれ育ったロクサンダは、子どものころ母親が旅行中に買った生地でドレスを作ったのを見て以来、一枚の布がドレスに変わるプロセスに夢中になった。布地がどのように動き、どのように形作られるか。その錬金術を目の当たりにすることは彼女にとって魅惑的で、今でも覚えている瞬間だ。

ベオグラードではファッション業界でキャリアを築く機会が不足していたため、彼女はまず地元の応用美術大学(Faculty of Applied Arts)で建築とデザインを学んだ。しかし、時が経つにつれて、いくら建築が好きでもファッションほど夢中になることはないと気づいた。

そこで90年代に彼女はロンドンに移り、1999年にセントラル セント マーチンズでウィメンズウェアの修士号を取得。卒業後、2005年のロンドン ファッション ウィークで初のコレクションを発表した。

表現のツールとして、色を使用する美しさを示す

2016年リゾートコレクション(Courtesy of ROKSANDA)

ファッションを工芸品として、またアートとして捉える姿勢は、初期から続いている。彼女は2Dでスケッチするよりもマネキンにデザインすることを好み、望ましい結果が得られるまで生地にドレープを施して実験を続ける。その理由は、ベオグラードで学んだ建築にあると彼女は説明している。

生地はイタリアで開発されており、彫刻のようなタフタが特徴だ。大胆な色使いもブランドを象徴しているが、それは最初から受け入れられていたわけではない。彼女がデザインを始めたとき、色を使うことはまったく人気がなかった。それは学生が実験するようなものだと見なされ、「洗練されていない」、「真面目でエレガントな女性が着るものではない」と思われていた。

それに対し間違っていると感じた彼女は、表現の主要なツールのひとつとして、色を使用する美しさを示した。「頑固すぎて諦められなかったのは良かったのですが、道のりは簡単ではありませんでした」とデザイナーは『Evening Standard』のインタビューで語っている。

より自分らしくあることを可能にするデザイン

ロクサンダ・イリンチック(Photography by Eva K Salvi)

彼女は常に、デザインに複数の視点を持たせようとしている。たとえば、甘くて壊れやすいものとして認識されることのある女性らしさを、彼女は現代的な方法で提示したいと考えている。それは、女性らしくありながら、強くてもいいし、弱くてもいいということだ。完全に対照的なものを並置することは彼女の原点であり、ブランドにとって重要である。

ロクサンダはブランドを進化させ続けているが、彼女には設立から変わらない野心がある。彼女のデザインで、より自由に自分らしくなれると着用者に感じてもらうことだ。ロクサンダを身にまとうことは、他の誰かのように感じるのではなく、より強力な自分になることを意味する。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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