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ディグ・モードvol.67「ヴェジャス(VEJAS)」

ヴェジャス(VEJAS)は、パリを拠点とするカナダ人デザイナーのヴェジャス・クルシェフスキー(Vejas Kruszewski)が設立したユニセックス レーベル。Tumblrに触発されてファッションに興味を持った彼は、独学で服作りを学び、19歳でLVMHプライズを受賞。デザイナーは映画から未来的なアイデアを得てコレクションを制作している。


フィービー時代のセリーヌで服づくりを学ぶ

2021年春夏コレクション(Courtesy of VEJAS)

最初のコレクションを立ち上げたとき、ヴェジャスは18歳だった。ファッションに興味を持ったきっかけは、2010年代初頭に全盛期だったTumblr。そのフィードに流れてくる画像に触発され、彼はYouTubeや本から裁縫やパターンを学び、自分のデザインを作成し始めた。

ヴェジャスはファッションやデザインの学校に通ったことはなく、フィービー・ファイロ(Phoebe Philo)時代のセリーヌ(CELINE)の作品を研究して、服の仕上げ方を学んだ。店舗に行って服の内部をカメラで撮り、それを再現しようとしたヴェジャスは、彼が受けた最大かつ最長の影響力としてフィービーのセリーヌを挙げている。

フィービーの服がこれほどまでに影響力を持っている理由について、「彼女は多くの奇妙なものを取り入れ、本当に洗練された方法でそれらを操作しました」と彼は『i-D』のインタビューで語っている。実際に、ヴェジャスは初期のころ、パーカーやボンバー ジャケットなどのベーシックな衣服を非常に奇妙な方法で再考し、少し異質に見えるようにデザインしていた。

Tumblrをきっかけにブランド設立

2016年フォールコレクション(Courtesy of VEJAS)

Tumblrはヴェジャスをファッションの世界だけでなく、彼の名前を冠したレーベルの設立を支援する友人や協力者にも巡り合わせた。モントリオール出身の彼はそこでニューヨークに住む人々に出会った。彼が作品を撮って投稿すると、それらを購入することに興味を持った人々が現れ、作品への関心が高まるにつれてデザイナーは可能性を見出し始めた。

2015年秋冬シーズンの最初の公式コレクションは、オープニング セレモニー(Opening Ceremony)や日本のいくつかのショップでバイヤーの注目を集めた。また、LVMHプライズ審査員の目に留まり、当時19歳だったデザイナーに15万ユーロの賞金と1年間のメンターシップが授与された。その結果、トロントのダウンタウンにブランドのアトリエが設置された。

最終的には、ブランドをパリに移す計画だったが、実際には財政的に不可能だった。そこでデザイナーはブランドを保留にし、イタリアの皮革ブランドPIHAKAPIと契約を結んで、クリエイティブ ディレクターとして3年間働いた。その後、彼はパリでヴェジャスを立ち上げた。

2020年春夏シーズンにリニューアル

2020年春夏コレクション(Courtesy of VEJAS)

ブランドは2020年春夏シーズンに向けてリニューアルされ、そのシーズンは、すべてアパートで作業がおこなわれた。デザイナーはベッドルームでミシンを立ち上げ、テーブルがなかったため床にパターンを広げた。ブランドを保留にした後、彼はボディコンシャスな服により興味を持つようになった。

「ある種のセクシーさと、1930年代から40年代にかけて活躍したハリウッドの衣装デザイナー、マダム・グレ(Madame Grès)やエイドリアン(Adrien)、そしてアライア(Alaïa)の作品です」と彼は『i-D』で語っている。

未来的なアイデアは映画から

ヴェジャス・クルシェフスキー(Photography by Neva Wireko)

デザイナーは未来的なアイデアについて興味を持っている。それは彼にとって『ブレードランナー(Blade Runner)』や『ガタカ(Gattaca)』、『エイリアン(Alien)』などの映画に由来し、これらが「未来的なルック」という言葉の定義をすると考えている。実際、ヴェジャスはコレクションをデザインするとき映画からインスピレーションを得ていると説明する。

「日々の仕事がとても平凡な気がします。モデル料の交渉、あらゆるタイミング、納品、セールスの確認、コーディネーション。私はそれらを楽しんでいますが、夢を忘れることもあります。でも、映画を見るとストーリーにのめり込み、何か新しいものを感じます」とデザイナーは『SSENSE』のインタビューで語っている。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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