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ディグ・モードvol.63「カティモー(KATIMŌ)」

カティモー(KATIMŌ)は、2015年にカテリーナ・ティモシェンコがキーウで始めたブランド。それは着たいドレスが見つからなかったカテリーナが自身で縫って1着完成させたことをきっかけに設立され、品質と機能性に重点を置いたミニマリストの美学に基づいている。デザイナーは着る人に自分自身を表現する自由を与えてくれる直感的なデザインを好む。


着たいドレスが見つからず自分で縫った

2022年秋冬コレクション(Courtesy of KATIMŌ)

子どもの頃いつもファッションに興味を持っていたカテリーナは、テレビでファッション番組を観たり、雑誌をめくったり、気に入った服をノートにスケッチしたりするのが好きだった。しかし、普通の家庭で育ったことから、ファッションは趣味に過ぎず、ましてや自分のアパレル ブランドを立ち上げようとは一度も思ったことがなかった。

ブランドが誕生したストーリーは、着たいものがなかったカテリーナ自身の状況からスタートしている。彼女は欲しいドレスが頭に浮かんだものの、お店で似たようなものが見つからず、自分で縫うことにした。デザインも縫製も知識はなかったが、夢のドレスを着るという強い意志によって彼女はスキル不足に打ち勝った。

カテリーナは生地を4メートルほど購入し、一晩かけて事務用ハサミで裁断して小さな家庭用ミシンで縫った。イメージ通りのドレスを完成させた彼女は、翌日そのドレスを着て出勤した。生地代の20ドルは、ブランドへの最初で唯一の投資となったと彼女は説明している。

知識ゼロの状態からブランド誕生

(Courtesy of KATIMŌ)

カテリーナは自作のドレスを着続けていたところ、周りや知らない女の子たちから、どこで買ったのかと尋ねられた。彼女は自分で作ったと答えると、同じドレスを自分たちにも縫ってほしいと言われた。そこで彼女は縫製をしている友人を頼り、ドレスのプロトタイプに基づいたテンプレートを作成して、購入していた生地の残りから新しいものを縫ってもらった。

カテリーナはそれを同僚に売り、稼いだお金でさらに生地を購入。そこから2着のドレスを縫って売り、生地を再購入。3回目に生地を購入したとき、彼女は名前やロゴ、タグなどを形式化する必要性を感じた。ブランドを立ち上げた経験が全くないカテリーナと彼女の夫は、自分たちですべてを理解しようとして、グーグルで検索し、友人に尋ね、必要な連絡先を見つけた。

カテリーナはデザインと営業に従事し、夫はプロダクション、生地の調達、書類作成に携わった。こうしてカティモーは、たった1着のドレスのおかげで偶然に誕生したのだ。 

品質と機能性に重点を置いたミニマリストの美学

Athleisure 2022 コレクション(Courtesy of KATIMŌ)

カティモーは、品質と機能性に重点を置いたミニマリストの美学に基づいている。着る人に自分自身を表現する自由を与えてくれる直感的なデザインが大好きなカテリーナにとって、それはファッションの最も重要な仕事だ。

カティモーのコレクションは知的で芸術的な文脈があり、優れたデザインは重要だが、機能性が最優先されている。それは、服は人に仕えるものであるべきだというデザイナーの考えに基づいている。

着る人に特定の特徴や資質を与えたくないカテリーナにとって、カティモーを着る人はどんな女性でも構わない。つまり年齢、ライフスタイル、外見に制限はないのだ。「カティモーの服は女性を補完するものであるべきであり、その逆であってはなりません」と彼女は英国版『L'OFFICIEL』で語っている。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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