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ディグ・モードvol.26「アンダーソン ベル(ANDERSSON BELL)」

アンダーソン ベル(ANDERSSON BELL)は、2014年にクリエイティブ ディレクターのキム・ドフン(Do-Hun Kim)がソウルで設立したユニセックス ブランド。韓国のストリート ウェアに北欧のデザインを取り入れている点が特徴。防弾少年団(BTS)メンバーのジョングクが2019年のビルボード ミュージック アワードでスニーカーを着用し、注目を集めた。


2つの異なる文化的要素を結合

2021年秋冬コレクション(Courtesy of ANDERSSON BELL)

ブランド名の「アンダーソン」は典型的なスウェーデンの姓であり、「ベル」は韓国にある伝統的な寺院の鐘を意味する。そこには、2つのまったく異なる文化的要素をひとつに結合したいというクリエイティブ ディレクター、キム・ドフンの想いが込められている。

彼のデザインにおける哲学は、コントラストを表現すること。偶然にも韓国人の友人の多くがスウェーデンに住んでいるドフンは、ストックホルムとコペンハーゲンを旅し、北欧ならではの雰囲気に惹かれた。晴天や人々の落ち着き、静けさが魅力的に映り、非常に忙しく交通量が多いソウルとは正反対に感じられた。

2022年リゾート コレクション(Courtesy of ANDERSSON BELL)

「この2点の中間でブランドを立ち上げ、自分が感じたことを服で表現したいと思いました」とドフンは『MODESENS』で語っている。北欧のデザインはヨーロッパの中でも独自のアイデンティティを持っており、韓国の文化とはまったく違うと感じた彼は、アンダーソン ベルでコントラストを表現することを目標としている。

アンダーソン ベル流のバランス

2021年秋冬コレクション(Courtesy of ANDERSSON BELL)

対照的な雰囲気を好み、そこからインスピレーションを得ることが多い彼は、ソウルで最もモダンな空間で70年代の音楽を聴いたり、かなり古いヴィンテージを着て洗練された車で韓国を旅したりする。それを楽しんでいるときに、ふと彼の脳内に新しいイメージが浮かぶ。その断片を集めて新しいものを作ろうとしているのだ。

ふたつの異なる文化をひとつに融合するには、難しい部分も多い。たとえば、素材選びは長い時間を必要とする。ドフンは韓国とヨーロッパをイメージして思い浮かべる素材をミックスしたり、伝統的な韓国のシルエットに北欧の落ち着いた雰囲気をプラスしたりするなど、アンダーソン ベル流に素材を混ぜながらバランスをとっている。

独自のマーケティング戦略で成功を掴む

2021年秋冬コレクション(Courtesy of ANDERSSON BELL)

2020年、アンダーソン ベルは韓国のファッション業界で初めて、高級デパートのリバティ・ロンドンで開催されたポップアップ展示会に招待された。他のブランドには、アクネ ストゥディオズ(Acne Studios)やアレクサ チャン(Alexa Chung)、ザ ロウ(The Row)など、有名な世界的ファッション ブランドが並んだ。

その成功の背後にある主な理由のひとつは、独自のマーケティング戦略にある。アンダーソン ベルはストリート ファッション ブランドとしてスタートし、2017年ごろにラグジュアリーブランドへと変貌を遂げた。製品の価格を 20~30%値上げし、数千万ウォンを投資して若い顧客を引き付けるプロモーション ビデオを作成した。

2022年秋冬コレクション(Courtesy of ANDERSSON BELL)

アートとビジネスを組み合わせることでブランドをユニークなものにすることに注力してきたアンダーソン ベルにとって、とくに1980年代から2000年代初頭に生まれた、安価で低品質のファストファッションブランドにうんざりしている若者をターゲットにすることが、成功した戦略のひとつだ。

「オンラインファッション市場では、企業は現在、価格ではなく価値と戦っています」と、チェ・ジョンヒ最高経営責任者(CEO)は『Korea JoonAng Daily』で語っている。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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