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胸の奥の奥を温めるもの。「Subtitle/Official髭男dism」

こんにちは。
今回はヒゲダンの「Subtitle」という曲について書こうと思います。

この曲、歌詞がかなり作り込まれていて深くて、こんな詞を書ける藤原くん凄すぎる…となっています。。

歌:Official髭男dism
作詞:藤原聡
作曲:藤原聡

「凍りついた心には太陽を」 そして「僕が君にとってそのポジションを」
そんなだいぶ傲慢な思い込みを拗らせてたんだよ ごめんね 笑ってやって
火傷しそうなほどのポジティブの 冷たさと残酷さに気付いたんだよ
きっと君に渡したいものはもっとひんやり熱いもの

綺麗事じゃないけど 綺麗で揺るぎないもの
うわべよりも胸の奥の奥を温めるもの
理想だけはあるけど 心のどこ探しても まるで見つからないんだよ

伝えたい伝わらない その不条理が今 キツく縛りつけるんだよ
臆病な僕の この一挙手一投足を

言葉はまるで雪の結晶 君にプレゼントしたくても
夢中になればなるほどに 形は崩れ落ちて溶けていって 消えてしまうけど
でも僕が選ぶ言葉が そこに託された想いが
君の胸を震わすのを 諦められない 愛してるよりも愛が届くまで
もう少しだけ待ってて

薄着でただそばに立ってても 不必要に汗をかいてしまう僕なんかもう
どうしたって生温くて君を痛めつけてしまうのだろう

「手のひらが熱いほど心は冷たいんでしょう?」
冗談でもそんな残酷なこと言わないでよ
別に言えばいいけど 全人生を賭けても ちゃんと覆さしてよ

救いたい=救われたい このイコールが今 優しく剥がしていくんだよ
堅い理論武装 プライドの過剰包装を

正しさよりも優しさが欲しい そしてそれを受け取れるのは
イルミネーションみたいな 不特定多数じゃなくてただ1人
君であってほしい

かけた言葉で 割れたヒビを直そうとして
足しすぎた熱量で 引かれてしまったカーテン
そんな失敗作を 重ねて 重ねて 重ねて
見つけたいんだいつか 最高の一言一句を

言葉はまるで雪の結晶 君にプレゼントしたとして
時間が経ってしまえば大抵 記憶から溢れ落ちて溶けていって
消えてしまう でも
絶えず僕らのストーリーに 添えられた字幕のように
思い返した時 不意に目をやる時に
君の胸を震わすもの 探し続けたい 愛してるよりも愛が届くまで
もう少しだけ待ってて

言葉など何も欲しくないほど 悲しみに凍てつく夜でも
勝手に君のそばで あれこれと考えてる 雪が溶けても残ってる

ヒゲダンの中でもかなり有名な曲です。
公式MVの再生回数も1億回を超えていて、多くの人に響いている曲ということが分かります。

最近〝言葉の力〟について考えていて、というのも先日Xでこのような投稿を発見したのがきっかけです。

この意見について、私はあまり共感出来なかったんですね。

Subtitleという曲の考察をしながら、私の考えを文章に出来たらな、と思います。

それでは歌詞解釈に入ります。

「凍りついた心には太陽を」 そして「僕が君にとってそのポジションを」
そんなだいぶ傲慢な思い込みを拗らせてたんだよ ごめんね 笑ってやって

掴みから表現が綺麗すぎる。
「凍りついた心には太陽を」
僕は君を励ますために、(僕にとっては)温かい言葉をかけてあげていたんですね。

火傷しそうなほどのポジティブの 冷たさと残酷さに気付いたんだよ
きっと君に渡したいものはもっとひんやり熱いもの

励ましの言葉って時には相手を傷つけてしまうんですよね。
私たちは他人の世界、心情を全て理解することは絶対出来ません。
だから良かれ、と思ったことが逆効果になってしまう。

「もっとひんやり熱いもの」
君を火傷させないような加減で、でも君を確実に元気づけられてあげる言葉を見つけたい。

冷たいじゃなくてひんやり、でも温かいじゃなくて熱い。
ここの対比から、相手を本当に思いやっていることが感じられます。

綺麗事じゃないけど 綺麗で揺るぎないもの
うわべよりも胸の奥の奥を温めるもの
理想だけはあるけど 心のどこ探しても まるで見つからないんだよ

胸の奥の奥。
君の心の臓に響くような言葉を僕はずっと探しています。

伝えたい伝わらない その不条理が今 キツく縛りつけるんだよ
臆病な僕の この一挙手一投足を

主人公は、何気なく発した言葉で相手を傷つけてしまったトラウマがあるのでしょうか。
なかなか一歩を踏み出せない、もどかしい気持ちが表れています。

言葉はまるで雪の結晶 君にプレゼントしたくても
夢中になればなるほどに 形は崩れ落ちて溶けていって 消えてしまうけど
でも僕が選ぶ言葉が そこに託された想いが
君の胸を震わすのを 諦められない 愛してるよりも愛が届くまで
もう少しだけ待ってて

1サビ。
いや〜〜〜表現が美しすぎる。

「言葉はまるで雪の結晶」
言葉に絶対な確実性はないんですよね。
聞いた直後は胸が温められて、本当に嬉しくなるような言葉だって、時間が経てば印象も変わり、本心で言ってたのか?と疑心暗鬼になってしまう。
最初は綺麗な雪の結晶がやがて溶けて水になってしまうように。
世の中に絶対なんて無いと思います、本当に。


それでも、大切な君には僕のありのままの気持ちを受け取って欲しい。
僕が精一杯考えて紡いだ言葉が、君にとってかけがえのない宝物になっていたらいいな。

「愛してるよりも愛が届くまで」
ここの表現、真っ直ぐで良いですよね。

薄着でただそばに立ってても 不必要に汗をかいてしまう僕なんかもう
どうしたって生温くて君を痛めつけてしまうのだろう

2番。
「薄着で立っても汗をかいてしまう」
ありのままで君と向き合おうとしても、緊張して取り繕ってしまう。君に気を遣わせてしまう。

「生温い」
ここの表現が愛おしいな、と思います。笑
僕の不器用な姿に人間味を感じられます。
完璧な人間なんて居ないので、等身大の姿で生きていけばいい、と最近思うことです。

「手のひらが熱いほど心は冷たいんでしょう?」
冗談でもそんな残酷なこと言わないでよ
別に言えばいいけど 全人生を賭けても ちゃんと覆さしてよ

「手のひらが熱いほど心は冷たい」
私にかけてくれた言葉(手のひら)は、着飾ったものなんでしょう。本心(心)とは違うでしょう。そう君は思っています。

気持ちがすれ違ってしまう時って心がスッと冷える感覚になりますよね。

「別に言えばいいけど」
いくら酷いことを言われても、僕の中で君への情が確かにあるので、君と心が通じ合えるのを諦めないのです。

この方の言葉がとても素敵でいつもツイートを拝見しているのですが、本当にこれだよな〜と思います。
自分の考えを適切に言語化できる人に憧れます。。

救いたい=救われたい このイコールが今 優しく剥がしていくんだよ
堅い理論武装 プライドの過剰包装を

救いたい=救われたい

その人を好きな理由に、その人と居る時の自分が好き。って感情も含まれると思うんですよね。
本当に大切な君と過ごす時間が、いつの間にか僕の存在価値を認めてくれて、救ってくれる。

back numberの「瞬き」という曲のワンフレーズ、

幸せとは 星が降る夜と眩しい朝が
繰り返すようなものじゃなく
大切な人に降りかかった雨に傘を差せる事だ
そしていつの間にか僕の方が守られてしまう事だ

の部分を思い出しました。

正しさよりも優しさが欲しい そしてそれを受け取れるのは
イルミネーションみたいな 不特定多数じゃなくてただ1人
君であってほしい


2サビ。
も〜〜〜凄い。(語彙力崩壊)

「正しさより優しさ」
「イルミネーションみたいな不特定多数じゃなくて」

イルミネーションのような万人受けする綺麗さじゃなくて、人間臭くていいから。僕たちの関係性だからこそ言える言葉でいいから。
君にだけに届く真っ直ぐな言葉を送りたい。

かけた言葉で 割れたヒビを直そうとして
足しすぎた熱量で 引かれてしまったカーテン
そんな失敗作を 重ねて 重ねて 重ねて
見つけたいんだいつか 最高の一言一句を

この部分、かけた、割れた、足しすぎた、引かれてで×÷+−の四則演算を表してるんですよね。天才です。

ちょっと個人的な話になるんですけど、、
私人生で絶望のどん底を味わった経験が何回かあって、
それで私は悩みを周りに打ち解けるタイプなので、色んな人に話を聞いてもらったんですけど、
「気持ちは分かる。でもあえて強いことを言うけど、こうするべきだと思うよ。」
って厳しめのアドバイスをくれる子もいれば、
「自分からは何も言えない。でも応援してるよ。」
ってそっと寄り添ってくれる子もいたり。。

どちらが正しいなんて事は絶対無いし、違った種類の優しさだと思うから、それぞれの言葉が私には嬉しかったし支えになりました。

私は相手がこういう局面になったら、相手の苦労を全部見ている訳じゃないし無責任な言葉は傷つけるかもしれないから、ただ寄り添ってあげることしかできない後者タイプなのですが。。 

え〜何が言いたいかというと、
相手にかける言葉に最適解は無いんですね。
でも両者に共通しているのは、相手とちゃんと向き合っているということ。
無視をしない、少しでも気にかけてあげる。
それが精一杯の思いやりなんじゃ無いかな、と思うのです。

試行錯誤しながら、相手の心に響く言葉を贈ってあげられたら、素敵ですよね。

言葉はまるで雪の結晶 君にプレゼントしたとして
時間が経ってしまえば大抵 記憶から溢れ落ちて溶けていって
消えてしまう でも

ラスサビ。
1サビの「君にプレゼントしたくても」から「君にプレゼントしたとして」
に変わっています。
試行錯誤を重ねた上で、君に言葉を届けることができています。
行動に移せています。

時間が経てば言葉の強さが薄れていくことも分かっているけど。

絶えず僕らのストーリーに 添えられた字幕のように
思い返した時 不意に目をやる時に
君の胸を震わすもの 探し続けたい 愛してるよりも愛が届くまで
もう少しだけ待ってて

ここでやっと、タイトルに用いられている「Subtitle」、字幕というフレーズが出てきました。

皆さんはどのような時に字幕を使いますか?
私は洋画を観たり音楽を聴いたりして聞き取れない箇所に、字幕をつけて理解しようとします。

この曲のタイトルの意味、Subtitleとは。
相手の言動を間違えて捉えてしまった時。気持ちが通じ合えなかった時。傷つけてしまった時。
そこに「言葉」という魔法を添えて、少しでも僕のありのままの気持ちを貴方に伝えられたなら。
相手の気持ちを察することには限度がある。でも、言葉を発することで、人と人は分かり合えるんだよ。聞き取れない箇所を補填する字幕のように。

というのが私の解釈です。
伝わりますかね?笑 ちょっと語彙力が無いのがもどかしい。

言葉など何も欲しくないほど 悲しみに凍てつく夜でも
勝手に君のそばで あれこれと考えてる 雪が溶けても残ってる

ラストです。
君が悲しさの中にいても、僕の言葉で支えられたらいいな。

「雪が溶けても残ってる」
時間が経って記憶が薄れてしまっても、君の心の中で灯火となっているような、そんな宝物のような言葉を残せていたらいいな。

勝手にあれこれと考えている。相手と離れたとしても想い続けるのは自由ですからね。


まとめ

言葉は時には凶器にもなりうる。でもどん底の相手を救うことだってできる。
どう発するかは自分次第。
だから、出来るだけ相手を思いやった形で、贈ることが出来たらいいな。
と不器用だけど真っ直ぐな主人公の心情が描かれた曲です。

今回この曲を取り上げようと思ったのは、私自身「言葉の力」を強く信じていて、
先ほど語ったように、自分が辛い時にかけてもらった言葉で心が楽になった経験があるから。
そして、お互いの言いたいことを発さずに表面上のコミュニケーションで取り繕い続けて関係が壊れてしまった例を間近で見ているから。

という経緯があります。

だから私は言動に責任を持ちたいし、思っている事はちゃんと相手に伝えたい。
「ありがとう」をケチらない事を心がけています。笑

そして、言葉を大切にしている人は全員素敵だと思います。

私いつも西武線に乗っているんですけど、西武線の車内アナウンスって車掌さんの肉声なんですよ。(他の路線もそうなのかな?あんま分かりませんが笑)
たまに定型文に加えて、
「今日も1日お疲れ様です」
「この先もお気をつけて行ってらっしゃいませ」
みたいな、一言を付け加えてくれる車掌さんがいらっしゃるんですよね。
こういうアナウンスを聞く度に、心が温かくなるし、こういうさりげない一言を声に発して言える人って素敵だなと思います。


冒頭のXの投稿についてなのですが、
私は「届けたい気持ちを声に出して伝える事」がとても大切だと思っています。
明らかに相手が興味ない事とか相手を傷つける事を言うのは良くないけど、察することには限度があるし、言わないと分からない事はたくさんあります。

大切な人がいつ居なくなってしまうかも分からない。言いたかったけど言えなかったことだってたくさんある。
だから、後悔しないように、素直な言葉を伝えていきたい。
というのが私の意見です。


5000文字超も語ってしまいました。笑
本当に歌詞が綺麗で素敵な歌なので、皆さんも是非聴いてみてください!

ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!
最後に私の大大大好きなほうじ茶さんの言葉を引用して、締めます。

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