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永遠の片思い

「小説に、ずっと片思いをしている」

新海誠さんが描いた『言の葉の庭』のあとがきはこの一文で始まる。
この文を読んだとき私は気がついた。
「私は中学生のころからずっと、黄昏どきに片思いをしている」
特に秋の日の黄昏が一番で、悲しくて恋しくて鼻の奥がつんっとする。

 携帯を握りしめて、あてもなく農道を歩く。私以外誰もいないと錯覚させる、田園風景が広がる世界。昇り始めた月は白銀に輝いて、振り返ると空が刻々と朱色から群青色に変わっている。その光によって浮かび上がる鉄塔が一段と美しくて、私は足を止め空を見上げて鉄塔と鉄塔の間を走る電線を追った。
 ぼうっとしながら歩いているうちに、携帯を握っていた手が随分と冷たくなっていることに気づく。さっきよりも空は群青色に近づいていて、私の心はぎゅっと締め付けられた。


 家路を急ぐ車のヘッドライト
 駆け抜けるエンジン音が西から聞こえる。
 黒に塗りつぶされた東の山から
 静寂の音が聞こえて、
 黄昏の終わりを感じた。

 あなたに会える短い時間が今日も終わって、
 またあなたを待つ一日が始まる。
 明日も晴れたらいい。
 そしたらまた黄昏時に散歩に出よう。

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