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志村貴子原画展へ行ってきた

先日、志村貴子さんの原画展へいってきた。

志村さんの描く、細く柔らかい線と淡い色づかいが好き。いちばんはじめに好きになったのはそういうところだったと思う。

放浪息子なんか特に。話が進み、志村さんの描く線が細く柔らかくなっていくにつれて、千葉さんの可愛さが増していくのがたまらない。

次に好きになったのは、コマわり。行間で読ませる、みたいな割り方が好き。いろいろ想像する。自分もそういうものを言葉に書きつけれたらと思う。

次に好きになったのは、モノローグ。そこからわきたつキャラの個性が好き。

みんな、「心の底」というものを持っていると、私は思っている。それは孤独ともいったりする。それは誰にもあるもので、けれど他の誰にも理解されないものだとみんな思っている、と、私は思っている。そういう心の底が、志村さんの作品のモノローグでは語られている。「ああこういうこと、他の誰かも思ったりするんだ。」と、どこかで誰かとつながったような気持ちになる。

心の底なんて誰にもわからない。「けれど、そうじゃなかった」と思わせてくれるものに出会えること。その瞬間に音楽や文学の喜びや楽しみがある。

宇多田ヒカルさんとピースの又吉さんの対談で、又吉さんが「自分だけしか思っていないと思っていたことが、本の中には書いてある。それが本を読んでた理由。」というようなことを言っていた。つまりそういうこと。

志村さんの漫画の好きなところを挙げてみたけれど、これは原画展に行ってあらためて分かったこと。それまでは画が好きなのは確かなんだけど、なんでここまで好きなんだろうかという感じであった。

でも繊細な画をみて、じっくりキャプションを読んでいくうちに、そういうことだったのかと分かっていった。特に淡島百景のネームと原稿を比べるところなんか良かった。

今はこいいじと放浪息子をちまちま集めて読んでいる。まめちゃんの恋がうまくいきますように、にとりくんの恋もうまくいきますように。

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