見出し画像

介護付き老人ホームという住処

母が施設に入居しました。
(top画像ではありません)

母が入居した施設は所謂高級と言われてる部類です。
つまり「かなり良い額」です。初期費用は一括で支払う必要があるのですが、その額は都心の単身用中古マンション一室が買えちゃうくらいです。
1年間のランニングコストは、サラリーマンの大卒男性会社員の平均年収とほぼ同額です。

私はマンション購入の経験はありません。ですから今の人生一世一代のお買い物です。

施設の決定を父に一任されたとき、本当にこの施設で良いのか、もっと安い方が良いのではと悩み、決断には勇気が必要でした。

初期費用の支払いを銀行で手続きした時には、身体のエネルギーを根こそぎ持っていかれる気がしました。この用意したお金は、父が私たち子どもの為に遺産になればと貯めていたものです。

父からは「本当にいいのか?残しておいて欲しいとか、勿体無いとか言わないか?」と何度も聞いてきます。今でも聞いてきます。

ただ私も弟も「母のために使ってほしいから」と、迷うことなく即答しています。

とは言え本当に「いい額」支払いますから、納得して支払いたいという気持ちは今もあります。なぜ、こんなに金額がかかっているのか?

だんだんモヤモヤしてきましたので、思いの丈を施設長にぶつけてみましたら、納得の回答がありました。

◆安定売上を期待しにくい

介護施設はいろんな種類がありますが、よく比較されるのは病院です。ただその病院も、利益を出すために色々なことをされています。

医療ドラマで経営サイドが話題にするセリフ「病床を回して利益を取れ!」というのがそれに当たるのですが、患者さんを治療のため入院できる期間には、その病気や状態によって病院ごとにもルールがあるそうです。だから・・・
入院→入院金が入る→退院する→病床が空く→入院患者を入れられる→入院→→
このように資金を回すことができます。

ただ介護となると話は別です。入居したら退去のタイミングは、入居者側の条件(介護者の通いやすさ、安さ、など)が合わなくなった時か、お亡くなりになる場合かです。入居して10年以上住まわれている方もいるそうです。
部屋が回るケースが少ない方が入居者や家族にとっては良いことですが、施設運営を考えると難しいところです。

◆人件費がかかる

・一人で食事ができない(座った状態を保てない、スプーンが持てないなど)
・流動食しか食べられない
・一人でトイレに行けない
・尿意、便意を感じられない
・意志の疎通が難しい(ただ意志はしっかりある)
介護度にもよりますが、このような場合は施設のスタッフがつきっきりのサポートが必要です。だから人数が必要=人件費がかかります。

価格設定が低い施設になると、トイレに行きたいと声をあげても手が回らず、おむつが汚れていても時間になるまで取り替えられなかったり、食事に時間がかかる方でも、スタッフがサポートができないため、食事終了の時間になったら例え食事中だとしても料理を下げられてしまうことも。

人としての尊厳とは?と思いますが、人件費をかけられない施設では難しいのが現状だそうです。

◆設備にお金がかかる

施設ではありますが、病院と同じような設備が整えられています。
・コールボタン(病院でいうナースコール)
・リフト付きお風呂
その他にもあるでしょうか・・・この手の設備は本当にお金がかかります。故障したら施設運営に関わりますので、メンテナンスもしているでしょうし、修理となったら1,000万といった額になるそうです。

これらの話を聞きましたら、それだけお金を払う必要はあるよなぁと納得しました。ただ自分が同じサポートを受けられるほど、お金を貯めておけるかといったら答えはNOです。多分。

どう生きるか?は大前提。ただ一瞬の、刹那な快楽を優先した選択は善しとは思えなくなりました。生活習慣病にならない生活をクリエイトしたいなと思う、今日この頃です。

この記事が参加している募集

#これからの家族のかたち

11,329件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?