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最近さ

高校生のときにね、
私は男性が好きっていう風に
お母さんにカミングアウトしたことがあって
そのときのお母さんの反応としては(中略)
育て方を間違えたって言われて
RYUCHELL WORLD(YouTube)

先日、りゅうちぇるが発言したこんなフレーズが話題になった。

この発言に対して、Twitterを見ていると「子を持つ親として無責任だ」とか「がんばれ!」とか賛否両論だけど、私はこれに関して、彼にはどうしようもないし、かといって母親の育て方が悪かったわけでもない。
ただ、そういう特性を持って生まれてきてしまったという事実があるだけであって、
たまたま遺伝子や何やらのシステムエラーに巻き込まれてしまった彼の不運に同情した。



と思うのは、私がいま大学で生殖について学んでいるから。

研究室で使わなければならない、という事情もなくはないが、授業で性の成り立ちだとか性分化の仕組みについて学ぶ者としては、最近のこういうLGBTQだとかアセクシャルなどに代表されるセクシャリティの話を聞くと、世間一般の常識と学問で知らされている不変の事実との認識の乖離について、気にならざるを得ない。

性分化はまだ明らかにされていない事実が多くて、奥が深い。

生物はもともと雌を基本としているという前提のもと、そこにY染色体上のSryという遺伝子を含むいくつかの遺伝子が雄性化に働くらしいが、その詳細の機構は不明(私が調べる限り)で、性決定の全てを解明するのはまだまだ先のことのようである。


なかなか面白い学問だと思う。

本人たちの意思に関係なく、生命は親のエゴによって誕生するし、
本人たちの意思に関係なく、生命はエラーを起こして我々を苦しめる。
それを障害と呼ぶか、個性と呼ぶか、
モノはいいようである。


…と、最近友人と話していた。


我々は生物学を学んでいるからそう思うけれど、一歩外に出れば、実家に帰れば、
同じような意見を持つ同志はいなくなる。

それは別に悪いことではない。
ただ、私は意見が対立しようがしまいが、
お互いの意見を受け入れる姿勢があるといい。

私たちは同調圧力を受けようと、同じ個にはなれないのだから。
どうせなら、意見を対立させても、それを他人に強要するのはやめたい。

ふとそう思った。




そういえばこの間、誕生日を友人たちに祝ってもらった。
そう、あの友人たち。


人生初のシュラスコに歓喜し、最近食事制限をしていたのもあっていろいろ飲み食べした。
ダーツもビリヤードも卓球もカラオケも
夕方から詰め込むには時間が足りなすぎた。
そんな夜だった。


私たちは、男2女2でたまーに一緒に行動しており、その“たまに”もなんとなくお互いを利用したりしなかったり、意見を通わせたり対立させたりするためという目的のもと行われるという、なんとも不思議な距離感を保っている。(かれこれ1年くらいになる)

中高までほぼ女子としか友情を営まなかった私は、これまで人は共感でつながる生き物だと思っていた。
けれど、彼らは刺激的で、他人に対して攻撃的で(言い回しが)、私やもう1人の子の意見をそっくりそのまま受け入れることはない。

でもそのままであってほしい。
そう思えてしまう特別な存在であるように最近感じる。

そもそもお互い男/女だし、すべて分かり合えるはずがないと私が思っているからかもしれない。

男子2人に女の生理前〜生理中までの精神的・身体的な苦しみがわかるはずがないし(働くホルモンが違うんだから、こちらの食欲のやばさや甘いものへの欲求は決してわかり得ないだろう、!!ははは)、我々も男子2人の思うあれこれについて到底理解できるはずがない。

性差でなくとも、育ってきた環境も周囲の人の種類も、得てきた能力も、苦しんできた過去もお互い知らないのだから。

だから我々はただ自分の持つ意見を飛ばし合い、自分の考えに非があれば認め受けいれ、これまでになかった意見を得れば興味を持って聞き入れたり突き放したりして互いを知ろうとする。

まあ、強い言葉で色々私の弱点を言われると流石に辛いし言い返すけど、それもまた悪くない。そんな気がしてくる。

私たちの関係はある意味特殊かもしれないが、たぶん「人」が別の個と付き合うのには自然なことなんだと思う。

結局、私たちは個として生きていて、他人に迎合できるけど、全て一緒では生きられない。

それを彼らと一緒にいると思い知らされる。

SDGsとか、多様性とかくそくらえよ

と、いつだか彼らの1人は言っていた。

たしかに、多様性とかいうたった3文字だけで、考え方、生き方、性的指向、宗教観、死生観とかもろもろを括ってしまうのは勿体無いような気もする。


ニンゲンって個性的で面倒くさくて苦しいのになんでやめられないんだろう。


そんな戯言を言いたくなった。

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