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2021年7月 観た映画まとめ

死霊のえじき (原題:DAY OF THE DEAD)

1985年7月3日 アメリカで公開
監督:ジョージ・A・ロメロ

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ゾンビが蔓延する世界。アメリカ・フロリダ州にある地下施設では、ゾンビを研究する科学者、施設を牛耳る軍人、パイロット、無線技師たちが立て篭もって生活をしていた。
極限状態が長期間続いたため軍人チームと科学者チームが一触即発の険悪な関係に陥り、施設の中の雰囲気は最悪だった。
ある日、ついに科学者のローガン博士がゾンビを飼い慣らすことに成功する。
一方、軍人と科学者チームは実験用のゾンビを捕獲していたが、科学者チームの一人が犯したミスにより軍人が死亡してしまったせいで軍人チームは激昂。地下施設は破滅へと向かっていく。

ゾンビ映画の重鎮であるロメロ監督。作中でもゾンビへの愛がよく伝わってきて、ゾンビを愛おしく思える日が来るなんて思ってもいなかったですね。
個性豊かなゾンビたち、エキストラでさえも映され方に愛を感じました。
自分が頭おかしいんじゃなくて、見ればわかります、ゾンビが可愛いんです。
何がすごいかって、ゴア描写で特殊メイクさんの神業が光りまくってたんです。
本当に1985年の作品なのか?と目を疑うぐらい。当時はCGがなかったので全部特殊造形でやっていたんですよ?信じられないです。特殊メイクを担当したトム・サヴィーニ氏、尊敬します。
よもやま話ですが、撮影に使う豚の内臓を冷蔵庫に閉まっておいたのに誰かが電源を切ってしまったせいで全部腐ってしまったらしいです。
しかし代わりのものを準備する余裕が無くそのままそれを使ったそうです・・・!
現場は地獄だったそうです。

スレイト (原題:스레이트)

2021年6月25日 韓国で公開
監督:チョ・バルン

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売れないアクション女優のヨニ。卓越した剣術を持っていながらもなかなか芽の出ない日々を送っていたが、ある日アクション映画のスタントとして出演することに。
撮影現場に入ったはずだったが、なんとそこはパラレルワールドで、剣を持った人々が殺し合いをする無法地帯であった。
ヨニはそれに気付かず撮影だと信じ込んで敵を次々と倒していくが、その姿を見た村人から崇められるようになる。
事実を知ったヨニは、持ち前の剣術を武器に悪の根源を倒すことを決意し立ち上がる。

私が今まで見てきた韓国映画は洗練された映像と現代社会へのメッセージが隠されたような、観終わった後に考えさせるような作品ばかりだったのですが、この「スレイト」は完全なる娯楽映画って感じで特に何も考えずに楽しく観れるような作品でした。
若干チープな映像で突っ込みどころありましたががヨニ役のアン・ジヘのアクションシーンのカッコよさが際立っていました!

街の上で

2021年4月9日 日本で公開
監督:今泉力哉

下北沢の古着屋で働く青は、付き合っていた彼女の雪の誕生日を祝っている最中に彼女から浮気していることを打ち明けられ振られる。
雪への未練が残っていた青だったが、行きつけの飲み屋でマスターと常連と過ごしたり、ライブを観に行ったりとなんだかんだで普通に暮らしていた。
ある日、青は芸大生で映画監督をしている町子から「映画に出演してほしい」と声をかけられる。

下北沢の古着屋、古書店、喫茶店・・・好きな人にはたまらないサブカルな雰囲気のある作品ですが、後半は笑えるシーンの連続で客席のあちこちから笑い声が聞こえました。
序盤からずっとローテンポ、ローテンションで話が進んでいたのに後半で一気に畳み掛けるような面白さでした。パンフレットも買ったのですが、「街の上で」で登場する古着屋などのお店は全て実際にあるお店で、撮影地巡りができるマップが載っていました。もし下北沢に行く機会があったら行ってみたいです!

ラブゴーゴー

1997年 台湾で公開
監督:陳玉勳

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観るのはこれで3回目です!笑
やっぱり何度見ても面白いし、3回目でも新しい発見がありました。
レンタルにもサブスクにも無い作品で、今はミニシアターでしか上映されていない作品ですが是非皆さんにも見て頂きたい作品です。
先月末公開された「1秒先の彼女」と同じ監督の作品です^^

熱帯魚

1995年 台湾で公開
監督:陳玉勲

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高校受験を間近に控えているツーチェンは、受験戦争に馴染めず夢見がちなボンクラ少年。
ある日、ゲームセンターで知り合った小学生のワンが誘拐されたという報道を観て、犯人に心当たりのあったツーチェンはワンを救出しようとするが自分も誘拐されてしまう。
安否もわからず、入試まであと10日しかないとの事で世間は騒然としていたが、ツーチェンとワンは誘拐犯一家と奇妙な同居生活を送っていた。

「1秒先の彼女」「ラブゴーゴー」の陳玉勳監督のデビュー作。
超学歴社会で、誘拐事件が多発していた当時の台湾をコミカルに描いたのがこの「熱帯魚」で、最初はツーチェンの安否を心配する報道が流れていたのが徐々にツーチェンが無事に入試を受けられるのかという報道に歪曲されるといった描写などから当時の様子を読み取れることができます。
熱帯魚が泳いでいるシーンやツーチェンの妄想シーンがカラフルで可愛い映像で映されているので観ていてキュンとします^^
「ラブゴーゴー」「1秒先の彼女」と共通する登場人物やキャスト、ロケ地が出てくるので発見するたび面白かったです。

ベニスに死す (原題:Death in Venice)

1971年3月1日 イギリスで公開
監督:ルキノ・ヴィスコンティ

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静養のためイタリアのベニスに訪れた作曲家のアシェンバッハ。
アシェンバッハは、滞在的のホテルで見かけた少年・タッジオのあまりの美しさに目が釘付けになる。
その一件からアシェンバッハは、タッジオをホテルで見かける度に熱い視線でただじっと見つめる日々を過ごす。タッジオは彼の視線に気づいていながらも、チラッと怪しげに一瞥するだけだった。
アシェンバッハはタッジオの妖艶な美しさにどんどん溺れていき、壊れていく。

タッジオ役のビョルン・アンドレセンがあまりにも美しくて、観終わった後に何度も画像を検索してしまいました。でも、ビョルンはその美しさをヴィスコンティ監督に性的に搾取をされていたというニュースを見つけてハッとしました。
何故なら、こう言うと聞こえが悪いですが私も少年の若い美しさを消費している人間だから。
若いイケメンアイドルが大好きな私。彼らは今若くて体力があって美しいこの命の短い瞬間を売っていて、私はそれを見て楽しんで消費している。
消費の仕方を間違えないようにしなくては、と改めて思いました。

少年の君 (原題:少年的你)

2019年10月25日 中国で公開
監督:曾國祥

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進学校に通う高校3年生の少女・陳念(チェン・ニェン)は、大学入試を控え重苦しい日々を過ごしていた。
ある日、クラスメイトの少女が残酷ないじめを苦に飛び降り自殺をしてしまう。
彼女の遺体に無慈悲にスマホのカメラを向ける生徒たちの姿を見て、陳念は耐えきれず自分の上着を遺体に被せてやるが、それがきっかけで新たないじめの標的にされてしまう。
彼女は帰宅途中、集団暴行を受けていた少年・小北(シャオベイ)と出会う。
小北は親に捨てられ、学校も通えず高架下のボロ屋で一人暮らしをしていた。
孤独を抱えた2人は、次第に心を通わせていく。

映画館でボロボロ泣きました。隣に座っていた女性も泣いていました。
主演の周冬雨と易烊千璽の2人の演技が素晴らしくて、感情が揺さぶられました・・・
序盤で自殺をしてしまったクラスメイトの少女役が硬糖少女303の張藝凡でびっくりしました。
服を破いて裸にして髪を無理やり切るなど、いじめの内容が目を背けたくなるほど過酷なものでしたが、学校におけるいじめ問題の深刻さをこの作品が強く訴えているのが伝わりました。
素晴らしい作品なのに3週間程で上映が終了してしまうのが残念です。

親愛なる君へ (原題:親愛的房客)

2020年7月4日 台湾で公開
監督:鄭有傑

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亡きパートナー・立維(リーウェイ)の母親と幼い息子をたった一人で養う青年・健一(ジェンイー)。
ある日、立維の母親が急死し、健一は殺害容疑をかけられてしまう。
検察から健一にとって不利な証拠が次々と挙げられ、ついに健一は冤罪なのにも関わらず罪を認めてしまう。しかしそれは、立維の幼い息子・悠宇(ヨウユー)を思ってのことだった。

「刻在我心底的名字」以来に観た台湾のゲイ映画。
ポスターを見る限りR18要素を全く感じなかったので何故R18になっているんだ・・・?と思ったら、一瞬だけセックスの描写があったからでした。(正直このシーンはいらなかった気がしましたが)
健一がゲイだからという理由で偏見や差別を受けるシーンがありました。子育てに関して女性だったら絶対に言わない言葉を健一に投げかけるシーンは特に印象に残ったシーンです。
健一役の俳優さんが韓国の俳優のキムソノに似てるなと思いました。

返校

2019年9月20日 台湾で公開
監督:徐漢強

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二二八事件以降の、中国国民党による戒厳令下にあった台湾。
国民党を批判したり、自由を崇拝する発言やそういった内容の書籍を読むことを固く禁じられており、国民党に見つかったり密告をされた者は拷問の後死刑に処された。
翠華高校に通う女子学生・方芮欣(ファン・ルイシン)は学校で居眠りをしていて、目を覚ますと学校には誰もおらず外は雷雨で荒れていた。
方芮欣は他に誰かいないか学校中を彷徨い、後輩の男子学生・魏仲廷(ウェイ・ジョンティン)と出会す。
2人は学校を出ようとするも、校門の前の道路は陥没して濁流が流れ出られなくなっていた。やむなく学校にとどまることにしたが、学校で異様な出来事が次々起こり、悪夢のような事態に巻き込まれていく。

「返校」は私が1番好きで、そして人生を変えてくれた一本。
2年前、台湾に留学していた頃に観にいって、あまりの衝撃の大きさに寮に帰った後4ページに渡る感想文・考察を手帳にびっしりと書き綴ったことがあります。
初めて台湾の「負の歴史」を知った出来事でもあり、それが私の台湾に対する意識も変わり、その後の卒業研究にも大きく影響しました。
そしてあの一本がきっかけで映画にハマり、こうして毎月何本もの映画を見るようになり、劇場で働き出した次第であります。
この作品に関してはあまりにも思いが強いので、記事を分けて書こうと思います。

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