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#02 はしゃぎ眠る、新学期-(exchange report)

新学期がはじまった。
わたしの住むUTownは、キャンパス内で最も栄えていて、学生たちの活気で溢れかえっている。

鳴り止まない音楽フェスの予行練習に、大行列の無料アイテム放出フェア、至る所に出現する部活/サークル(Interest Group)の新歓ブース。
コロナ禍だった大学1年生の頃よりも、随分と濃い新入生生活を過ごした2週間だった気がする。

supernovaという音楽フェス
仮設ステージと照明の本気


大学敷地内に住むことはとても面白い。
キャンパスの空気感、数万人の学生たちがつくりだす雰囲気が、肌身に直接伝わってくる。
朝、目覚めると、すでに賑やかな学生たちの声が窓の外から飛び込んでくる。住んでいるアパートのエレベーターの往来は絶え間なく、全然に捕まらない。都内での生活ぐらい、常に人々の喧騒の中という感じがする一方で、ちょっぴり外に出てあたりを見渡すと自然豊かで、鶏や猫によく遭遇する。不思議な感覚がする。

新歓ブース

ついに始まった授業たち

約1年前、留学出願の資料作成時にニマニマしながらシラバスを眺めていたのが懐かしい。
心から取りたかった授業が抽選で外れたり、思いもよらないものが通ったり、長い道のりで紆余曲折あったが、今学期は合計4つの授業を履修できた。新学期が始まってそれぞれの2回ずつ授業を受けたので、講義内容や空気感について今のところの経験を書いてみる。

①Typographic Form and Communication
まずは、インダストリアルデザイン学科のタイポグラフィ / グラフィックデザインの授業。16人程度の少人数クラスで、毎週タイポにまつわる制作が課される。初回の制作は「異なるアルファベット2つを合成してひとつの文字をつくろう× 6コ」といったものだ。

制作した文字 (Hi, At, CG)

成果物は授業開始前に壁に貼り出し、教授からひとりひとり講評を受ける形式で講義が進んでいく。生徒全員で合計100枚近い紙を並べて貼り出すとなかなかに迫力のある空間が出来上がる。2.5時間くらいみっちりとクリティークを聴き、見る目が肥やされてどんどんと作品の良し悪しがわかってくるのがとても楽しかった。(教室の様子の写真撮り忘れてしもうた..!)

スイススタイル(International Typographic Style)を学生時代にどっぷり学んだというアメリカ人の教授が、非常に情熱的なレクチャーをしてくれる。印象的だったのは、初回授業で語っていた"Kerning Curse"に罹りなさいという教えだ。文字間を調整するKerning にとても煩い彼曰く、この授業を履修した者は皆、街中のありとあらゆる文字列を無意識に観察し出して気になってしょうがなくなるらしい笑 美しくかつ可読性の高い空白調整がなされていないポスターに気づいてしまい、いても立ってもいられなくなる呪いだそうだ。全然患いたくない病だが、学期終了後にどうなっているかちょっぴり楽しみだ。

(ME, xy, hu)

今週の自分の制作課題を見た教授からのコメントも、せっかくだから書き残しておく。各文字の個別FBは割愛する。
・三角形の塗りにより構成されたxyを見て、"who is this rule breaker"と問われた -> 伝わりにくいため却下されたものの、存在感を放ち注目してもらえたのは嬉しい。
・君がどのようなプロセスでこれらを制作したのか全く検討がつかない。6人の別人がそれぞれデザインしたみたいだ。
・あんた他何の授業取ってる?全部やめて俺の授業だけ取りにきな、教えたい -> 何だか嬉しい
・(制作過程を話したのち)思考プロセスは概ねよき、だが形にまつわる基礎的な部分をもう少し特訓する必要がある。

全員の作品を並べてみるとミラノからの留学生の作品が圧倒的に美しくて堂々としており、何をとっても太刀打ちできないという感じだったのが悔しかった。今週は再度制作し直しなので、もうちょい頑張りたい。
総じて、こんなに美大みたいな授業はじめてで、尻尾振ってルンルンで授業受けている。

②Topics in Challenges of Cities
シンガポールの都市計画、都市緑化の歴史と未来について学び議論する授業。履修生のほとんどが欧州からの交換留学生で、なんだか他の授業と異なる雰囲気が漂っている。実業家でありながらNUSにて生物学の教授を勤める教授が担当している授業で "Shaping Regenerative Cities of the Future"をテーマに、講義が展開されている。チャンギ空港やEden Residenceなどのランドスケープ(植物選定)も担当した過去があるらしく、施工やメンテナンスにおけるリアルな裏事情も聞かせてもらえてすごく面白い。

前に撮影したチャンギ空港の一角

シンガポールはLiving Lab だ。新しいテクノロジを都市緑化に適用する試みは、この国で試してみればいい。うまくいったら自分の国の都市でやるといい。

by Prof.

シンガポール人である教授の彼が、シンガポールという独特な国家をどう捉えているかについて、興味深い言及があった。各国の先鋭たちが協力して手掛ける建築やランドスケープが多いこの国では、単にシンガポールの利益のために新しい取り組みが日々なされているのではなく、国際的な実証実験の場所として機能しているというのだ。

この授業のチュートリアル(数人でプロジェクトワークを進める)はもう少し後から始まるので、どんなワークが待っているか楽しみだ。毎週課されるリーディングは結構多いけど、時間かけるほど面白くなりそうなのでサボらず続けたい…!

③Materials and Production
同じく、インダストリアルデザイン学科の授業。工業製品に使われる素材:木、金属、合成樹脂、セラミックなどの解説をそれぞれ本当に細かく叩き込まれる。これ、化学の授業すぎません?と錯覚するぐらい本当に詳細まで。今は素材の基本的な性質について学んでいるけど、いずれ製造方法についてAM(アディティブマニュファクチャリング)とかまで網羅してやるみたい。世の中にある工業製品がどのように作られているのか理解するための授業になりそうだ。同時並行で、制作課題がグループごとに課されておりSelf-Propelled Carをデザインするという謎ミッションがある。普通に楽しそう。

④Gender Studies
ジェンダー学の基礎的なところを講義で学び、チュートリアルではエスノグラフィーの手法で極めて個人の体験・視点に基づいたリサーチを行うそう。講義室には100人近く学生がいる。案外にも男女比が1:1ぐらい。数年前までエスノグラフィーでカンボジアの村に1年ぐらい住み込みで研究していたらしいアメリカ人が教授。今のところ、生物学的性別・ジェンダーの違い、性的嗜好や性自認についての語彙、フェミニズムと家父長制の歴史などを一通り学んでおり、SFCで受けていたジェンダーの授業と被る部分が多い。一方で、HegemonyやIntersectionalityなど、異なる人種・国籍の相互作用が関係するグローバルな課題について、新しく知った概念もあった。


そして生活は続く、毎朝起きれない!

お祭り騒ぎの初週とくらべて、ちゃんと生活をしたなという2週間だった。自分の部屋も心地よく完成してきて、ルームメイトとの生活の息もぴったりと合ってきた。だいぶインドア派で大体部屋にいるみんなと料理して食べて、共に図書館に勉強しにいく。そんな日々を過ごしている。

共用部も諸々買い揃えて完成してきた

しかし寝起きの悪さったら過去最悪で、本気のアラーム体制をとっても全く起きれない。毎朝、私の部屋からのアラーム音でみんな起きてるみたいだけど、音が鳴った記憶すらない。10時間寝ていてもこうなので、結構お手上げです。たこやき1個= 1回起こしの契約で、ルームメイトに叩き起こされて何とか授業にいけるようになりました。楽しみにしていた授業を寝過ごした時は大変落ち込んだ... あと、ほぼ毎日お腹を壊していて、まだまだ体は慣れていないご様子。

加えて、うまく集中できなかったりパフォーマンスの波が激しかったりと、生活の不器用さがダダ漏れになってきている。非常に追い込まれないと何も生み出せない癖をどうにかしたいものです。誰かアドバイスください!うひん

デカ葉っぱが落ちていた

新しい出会いもたくさんあった2週間だった。カメラ好きが集いキャンパス練り歩き撮影会したり、日本語と英語混ぜて会話してくれるシンガポール人の友人と意気投合したり、親友の親友と親友になりそうな出会いを果たしたり、顔見知りの犬ちゃんができてよく遊んでもらったり、盛りだくさん!

キャンパス内でこれが撮れる

どうか明日こそは、アラームの音に気づきますように。切実です

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