【短編小説】「あと、未来をひとつください」
1月の外気は夜勤明けの身体に痛いほど沁みる。
「今が寒さのピークですよ」と言わんばかりの年末の雰囲気が過ぎ去った年明けの街を歩いていると、なんだかんだ1、2月が一番寒いんだよなということを思い出させられる。
陽の光が昇りきった朝の空気の中、赤くなっているであろう鼻をマフラーにうずめて帰りの電車を待っていた。
漏れ出る白い息を何気なしに目で追っていると、向かいのホームに振袖や袴、スーツを着た若者が多いことに気が付く。
そうか、今日は成人の日だった。
仕事が土日祝日も関係ないシ