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好きな歌を聴くことに回数制限があったなら


最近よく聴いてる歌がある。
それは決して明るい曲調でもポジティブな歌詞でもない。静かで、世界がひっそり休息している深夜の雰囲気そのままのような曲。白より黒っていう感じ。聴くと心がずんと重くなってなんだか泣きたくなってしまうけど、その好転反応のような症状が好きだったりする。

ある時、どうしようもなく気持ちが乱れた日があった。縋るようにこの歌を再生したけど、ただ脳みそを通り過ぎていくだけで悲しいくらいただのBGMになってしまった。心が動かない。安売りというか、ただ消費しているような気分になって罪悪感を覚えて、無造作に流すことはやめようと思った。

そこで、好きな歌を聴くことにもし回数制限があったなら。そんなことが頭に浮かんだ。どんなにたくさん聴きたくても1日に1度しか再生できないとしたら。
私は、やっぱり寝る前だと思う。オレンジ色の間接照明を灯して、安心できる布団の中で手足を伸ばして寝っ転がって、ただ天井をぼーっと見ながら少し小さめの音で流したい。
心がキュッとなってそのあと寝付けなくなる心配はあるけど。

じゃあ、この人生の中でその歌をたった三回しか再生できないとしたら?

これは結構悩んだ。一回目は散歩してるとき。夕方や少し寂しい冬の夜道、今の時期ならイルミネーションで飾られた街道をひとり歩きながらでもいい。どのシチュエーションでも合う。

ニ回目は楽しかった出来事の後の帰り道。帰り道って寂しくなるから。コンサート会場からの道中でもいいし帰りの夜行バスでもいい、友人と会ったあとに一人で帰路についている電車の中もいいな。車窓から夕焼けが見られたらしあわせだ。

三回目。星を見ながら。
最近天体観測が好き。かっこよく言ったけどベランダに椅子置いてただぼーっと空を眺めてるだけ。ダウンを着て、お供にあったかい飲み物、たまにお酒を置いて。住居が田舎なので元々よく見えるけど、深夜に見上げる星は格別に綺麗。そこでイヤホンから流す曲はこの歌がいい。

色々考えたけど、そのアーティスト的には何度も何度も聴いてくれた方がきっと本望なんだろうな。好きな歌をいくらでも聴けることってしあわせなことなんだと思う。でもだからこそ当たり前にならないように、スマホをいじってて気付かぬうちに歌が終わってた、みたいな、何となくで流さないように。

守りたいくらい自分の中で大切にしておきたい歌、ありませんか。



ベランダからの星。AM2時




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