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焦りからくる自家中毒

 今年はだらだらと残暑を引きずったあと、急に冷え込んだから「秋がなくなった」といったような表現をあちこちで見かけますね。私が暮らす地方では、ある時点でぐっと寒くなったとはいえ、今週はまた日中ぽかぽかとしているし、ちゃんと秋を感じられる部分があります。大好きな秋、なくなってしまうなんてとても悲しい。

 この気温はチョコレートを食べたくなる気もちがより高まります。夏場でもそれなりに食べていたけれど、やはり秋冬となるとぐぐっと気もちが盛り上がります。先日もチョコレートを数点お取り寄せしました。

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 ただたのしむことを目的に始めたことなのに、情報を求めて他の方のチョコレートテイスティングのことを閲覧したり、SNSをフォローしていると、自分も食べたい気もちがふくらみ、それに加えて妙な焦りを感じていることに気づきます。新作のタブレット、限定品など、他人の投稿を見ては欲しくなったり、いち早く購入しなければと焦るのです。
 どうしてそういうふうに感じるのか、わかりません。そんな衝動から、いくつかのサイトをぐるぐると見てまわったり、自分のお財布と保管庫と相談するなどして考えを巡らせます。
 そこではたと気づくのです。そんなことをする必要はないということ。そんなに食べられないし、チョコレートにばかりお金を使うわけにはいきません。

 チョコレートのたのしみ方は、今は、テイスティングがいちばんに来るので、そこで必要なのはじゅうぶんな時間と穏やかな精神です。私の場合、平日はほとんど食べません。週末にゆっくりと時間をとっているのですが、それだっていっぺんにいくらも食べられませんから、チョコレートはそう減っていかないのです。

 保管庫には、未開封のものと、開封済みのジップロックの袋が混在しています。テイスティングを終えたものは飲み物と一緒にたのしむ。チョコレートにだって賞味期限があるし、そういうものをきっちり管理しながら食べる性格ではないくせに、欲しくなる自分に気づくとすごく嫌な気もちになってしまいます。そのたびに、人との競争ではないのだと言い聞かせます。

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 こういうこと、前にもありました。
 ある習いごとというか、興味を持った分野を学ぶチャンスを得て、わくわくした気もちで始めたものがありました。学び始めは初めて触れるものばかり、視覚や五感に訴えるそれはとても刺激的でした。ただ好きで、知りたくて、始めたものごとです。
 それがいつの間にか、苦しくなったのは、無意識に人と比べ、自分をおとしめてしまったからです。私はその学びからだんだん離れてしまいました。
 大好きなもの、わくわくすること、そういったものから距離をおくのはすごくもったいないですね。私は、自分がどうして苦しくなり、離れたくなったか、それに気づいたのは10年以上も経ってからでした(いろいろと時間のかかる性質たちなので)。

 これからは、わくわくをもち続けていたいから、焦りを感じ始めたら軌道修正です。自分の感覚、ペースを大事にします。

 すごく時間がかかったけれど、それに気づけてよかったです。

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沖野上ブルーカカオ(島根県出雲市)の店内。カカオの香りにわくわく。

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