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ラムがマトンになるわ

 台風が近いというけれど、今日の日中はわりと穏やかだった。それでも時間を追うごとにいくぶん強めの風が吹いてきて、色んなものが揺れたり、なびいたりしていた。背が高い木や、枝が長く伸びて葉が茂っている木がたくさん生えている山手のほうを見ると、そういった木々が風にうごうごと揺れる様子が、なんだかとてつもなく大きな生き物が蠢いているみたいにおもえた。

 それでふと、森というと我々はこういった山というか、こんもりしたものを思い浮かべるとおもうんだけど、海外におけるそれはぜんぜん違っている、そういうことをおもった。映画やドラマ、あるいは絵本などといったもので目にした海外の森というのは、平らで広大な土地に、姿のいい木がほどよい感覚で立っていて、足元は芝生みたいにお行儀よく草が生えそろっていたりする。そんな中を物語の登場人物たちが歩く姿は、見ていてきもちがいいものがある。ああいう森には日本では出合えない。どこかにあるのかもしれないけれど、私は見たことがない。

 これまでに観た映像作品だと、『Game of Thronesゲーム・オブ・スローンズ』や『See 〜暗闇の世界〜』といったファンタジーであっても、『THIS IS US』や『Desperate Housewivesデスパレートな妻たち』みたいなコメディやドラマであっても、森というととにかく平らである。
 そうそう、つい先日は『Father Brownブラウン神父』の新シーズンの配信が始まっていて、このドラマでもやはり平らで広々とした森がやたら出てくる。これはイギリスの作品でもあるし、イメージ的にシャーウッドの森というのはこんなふうなのだろうなと憧れが湧いてくる。どうして突然シャーウッドの森なんだというと、ロビン・フッドが好きだというただそれだけである。
 「森に隠れて棲む」というコンセプト(?)だと、ロビン・フッド伝説のあるこのシャーウッドの森といきたいところだけれど、身近なところで浮かぶのはやはり次兵衛岩じへいいわとかバスチャンの屋敷とかになってしまって、こうなるとだいぶイメージが違ってしまう。
 我々が知る森というのは、傾斜があったり、岩がごろごろしていたり、ぎちぎちに生えて迫りくる木々と、さらにそれらの根っこさえも地面から伸びていて足を絡めとるといった、つまり山である。
 向こうは森を抜けたら立派なお城なんかが建っていたりするけれど、こちらでは山を歩き回ってみても、あるのはせいぜい朽ち果てた小屋くらいのものではないか。

↑次兵衛岩登山のこと。

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 最近読んだコラムに、「ビールを1パイント」という言葉が出てきて、なんとなく(知ったようなつもりで)読み飛ばしてたんだけど、ブラウン神父を観ていたらパブでの注文がやはり「ビールを1パイント」だった。それで調べて知ったんだけれど、アメリカとイギリスとで違うんですね。USパイントは473ml、UKパイントは568mlです。コラムのほうはUSパイントだった。
 ブラウン神父たちはパブで樽型のジョッキを手にしていたけれど、こっちの居酒屋なんかで見かける大ジョッキに比べるとずいぶん控えめに見えた。そうおもって調べたら、大ジョッキというのは700mlが平均的な容量なのだそうだ。私は下戸だしよくわからないけれど、ごくごく、と冷たいままおいしく飲むんだったらUKパイントくらいでちょうどいいのかもしれない。
 ところでビールって、ドイツあたりではぬるいのが好まれるとか聞いたことがあるけれど、日本でビールというときんきんの冷え冷えが至上といった感じがある。ぬるいビールを憎んでいる人種もたまに見かけるけど、まあ気候とかもあるのかな。

 話がどんどん散らかってゆく。台風も散らかってなくなればいいのだ。

 タイトルは、ブラウン神父の秘書ミセス・マッカーシーの劇中での科白なんだけど、向こうのこういった言い回しが単に好きという、ただそれだけで深い意味は全くないです。


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