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短編小説集

7
自分の短い私的なそして詩的な小説をまとめてみようかと思いとりあえずやってみます。
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#遠山ハル

散文詩「黄色い花の世界」

散文詩「黄色い花の世界」

蛍光灯の、
冷たい光でふんわりとつぼみは目覚めた。

躊躇なく、淀みなく、痺れるような光のもとで。

手から手へふらふらと巻き込まれ、
桃色のつぼみは
疲れ切った黄色へと、裏切った。

ゆっくりと、ゆっくりと、

裏切った、裏切った、裏切って、

私の我儘は破綻していく。

「これがほんとの救いと報いだね」と

誰よ手を叩いて跳ねるもの。

はらはらはらはらはらはらと、なんどもなんども破綻して。

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超短編詩的小説「空っぽの世界」

超短編詩的小説「空っぽの世界」

眼を開ける。

い、い、じ、ま…

鍵盤楽器のための、練習曲が、轟音の隙間に、聴こえる。

せ、き、す、い、ハイム…

闇が流れる光で照らされていく。

に、く、の、万世…

小さな森の中の灯りに、人が、これまたちいさくみえては消えていく。

85.9…85.6…85.2…

blue brack の色した森。

ど、う、ぶつに、注意…

いま、べつに、生きてることに疑問をもったって、それは罪では

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短編詩的小説「ひとふさの髪の世界」

短編詩的小説「ひとふさの髪の世界」

触れることなく

そよぐその髪をただみていた

深い深い眠りを仕舞おうとして

指を使って土を引っ掻くこと3日

その横には大きな蟻塚のようなものができた

しかし3日目の夜半にはもう

その髪のひとふさも残っていなかった

何も知らせのなかったその裏切りに

ただ沈黙することにした

裏切りだ裏切りだと眼球の裏側が

苦しい暑い冷たい怖い

何をみても

沢山の世界があろうと

横たわる闇の隣に

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短編詩的小説「レモンの世界」

短編詩的小説「レモンの世界」

手のひらで、檸檬を、もてあそんで、戻す。
その人はそれから席をたっていった。

動きに眼が離せなかった。

浮かびあがるその香は、ほそい螺旋を描いて消える。

もう他の誰のこともみえないのだ、と心臓が高鳴る。

氷がまるく、傷つけられてグラスに収まった。

ひとくちだけなめて、帰りたい。

でもこの高鳴りは身体に重く重く圧をかけ、

小さく開いた窓からみた月が、大きくて、怖いのだ。

ところが檸檬

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短編詩的小説「11本目の指の世界」

短編詩的小説「11本目の指の世界」

電話する。
男がでた。

待つのは嫌いだというと、切れた。

月あかりのもと、バルコニーでシガレットをふかしながら、いち、に、さん、4、 5、6で、見えない最後の足の指を数えた。

冷たくて誰もいない夜の牧場を夢想して、昔は祈るように眠って。

今はベッドに戻って眼をこれ以上ないくらいひらいて、身体中の水が乾くのを待ってる。

愛しい指。

光はきらりと滑って堕ちた。

もうない。わたしの愛しい指

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