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短編小説集

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自分の短い私的なそして詩的な小説をまとめてみようかと思いとりあえずやってみます。
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#小説

短編詩的小説「ひとふさの髪の世界」

短編詩的小説「ひとふさの髪の世界」

触れることなく

そよぐその髪をただみていた

深い深い眠りを仕舞おうとして

指を使って土を引っ掻くこと3日

その横には大きな蟻塚のようなものができた

しかし3日目の夜半にはもう

その髪のひとふさも残っていなかった

何も知らせのなかったその裏切りに

ただ沈黙することにした

裏切りだ裏切りだと眼球の裏側が

苦しい暑い冷たい怖い

何をみても

沢山の世界があろうと

横たわる闇の隣に

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短編詩的小説、「小さな世界」

短編詩的小説、「小さな世界」

 泣き出しそうな夕日が私をみてる。
 私はどこにいるのだろう。

そこは病院、いつもの時間。もう余命とかなんとか疑わしい医者の発言で元気のない妹がベッドで泣いてる。説得力だけは定評のある私の「大丈夫」を繰り返す。

そこは私の家、いつもの時間。父が夕刊を読み、バッハを聴きながらそれ以外何も関心ないかのように、そこにいる。座ってる。

そこは学校のアトリエ、いつもの時間。友達がシャツの袖から、ほんの

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