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読み継がれてほしい作家「山崎豊子」

「ラベルだけの粗悪品には一円も払いたくないんだよ。では、失敬するよ」。平成版の「白い巨塔」の財前五郎と東貞蔵が対立が完全に表面化したシーンです。たまたま、このドラマを見ていた中学生だった私は、親に頼み込んで古本屋で白い巨塔の1-5巻をすぐに揃えて、読み出し、虜になりました。以来20年近い山崎豊子ファンです。

山崎豊子の代表作といわれるとおそらく大半の人が「白い巨塔」、「不毛地帯」「華麗なる一族」、「大地の子」などの社会派小説群を上げるのではないかと思います。山崎豊子のファンでなくてもドラマや映画化されていますし。

半面、処女作の「暖簾」や直木賞受賞作「花のれん」などのいわゆる船場ものは、部舞台がどうしても昭和初期~戦後直後になってしまい、映像化しにくいのか、白い巨塔のようにリメイクはされていません。そんな不遇?な山崎豊子の作品が私にとって大事な作品です。特に「船場狂い」という短編が私は山崎豊子の最高傑作であると思っています。船場という大阪随一の商売の町、堀に囲まれた閉鎖空間で独自発展した文化が丹念に描かれた作品です。

同じ船場を舞台にした小説で特に有名なものは谷崎潤一郎の「細雪」ではないかと思います。谷崎は関東大震災以降に関西に移り住み、この作品を発表しました。

船場の内から船場を描いた山崎豊子と外から描いた谷崎潤一郎。ともに、幾度となく読み返した作家です。noteを気まぐれに始めたので、自分が一番好きな事柄に関してつらつら書いていこうかと考えています(一番書きたいのは船場狂いと細雪の比較ですね。ともに船場文化の崩壊を扱っていますし)。今一度、山崎豊子と谷崎潤一郎の偉大な作品を読み返して、自分の考えをまとめたいと思います。


新型コロナウイルスだけでなく、世界情勢の混乱が一般市民の目から見ても大きくなっていっていることを感じます。なんとなくジョージ・オーウェルの「1984年」の世界に近づいているような気がします。まあ、しょせんフィクションですが、万が一にも現実にならないで欲しいですね。恥ずかしながら、「1984年」は社会人になってから読みましたが、読み終わった直後に、世界の景色が変わったのはこの作品だけでしたね。なんとなくスマートフォンをたたき割りたくなりましたね。ということで、そのうち「1984年」とか「動物農場」なんかに関しても感想を書きたいですね。世界情勢が不安定化し、基本的人権が制限されかねない、今こそ読むべき本のような気がします。

くしゃみ 拝

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