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「アイデア」の正体とは?

〜顧客起点マーケティング Part 10〜

ビジネスにとって重要であると様々な有識者や経営者が語りながらも明確に定義されていない言葉が「アイデア」です。「アイデア」とは何かを定義するだけでビジネスの成果、マーケティングの実効性は飛躍的に高まります。

「アイデア」とは「独自性」と「便益」の四象限で表すことができます。結論を先に言うと、皆さんのビジネスに、独自性と便益を兼ね備えた「アイデア」があるかどうかで、ビジネスのポテンシャルは決定されます。

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「独自性」とは、他にはない特有の個性であり、唯一無二とも言い替えられる、既視感のない特徴です。英語では、"Only-one Uniqueness" 、”Non-substitutability(非代替性)“とも言いかえられます。"Never" の要素が揃っていると定義します。見たことのない、聞いたことのない、触ったことのない、嗅いだことのない、経験したことのないという、五感で感知したことがない個性です。そうしたものに、人間は注目します。つまり独自性の有無は、注目に値するかどうかで確認できます。
 一方で、便益とは、顧客にとって都合がよく利益のあることを意味します。ベネフィットやメリットとも表されますが、それを利用することで得られる有形、無形の価値であり、「便利、得、有利、快、楽」などがあります。便益は、個人が、お金を使ってその商品やサービスが買うに値するか、わざわざ自分の大切な時間を使うに値するかの判断を左右します。自分にとって重要な価値=自分事化できる価値とも言えます。
この組み合わせで四象限を描くと、図の右上に位置する、独自性と便益を兼ね備えたものが「アイデア」です。他の象限を考えると、その意味合いが明確になります。
右下の、独自性がなく便益があるものは、いわゆる「コモディティ」です。コモディティとは、代替性が高い商品やサービスで、市場においてその価値は競合や代替品と同等として扱われます。明確に差別化されていない商品やサービスのことです。
左上の、独自性はあるが便益がないものは、お金を使ったりわざわざ時間を費やしたりする価値がない、単に人目を引くためだけの「ギミック(仕掛け)」です。詐欺とも言えるかもしれません。非常に独創的な特徴を、商品仕様やコピー、パッケージ、テレビCMなどで提案しても、便益を顧客に提供しないなら、せいぜい話題になるくらいの一過性のエンターテインメントに過ぎません。
最後の左下の、独自性がなく便益もないものは何でしょうか? それは、各種のリソースを無駄遣いしている、ただの「資源破壊」です。開発にかかる資源や時間や費用、そのすべてが無駄になってしまっています。

この四象限で、独自性と便益の両方がなければ、新しい価値提案とはならず、「アイデア」ではないと考えています。
マーケティングで多用される「差別化」という言葉があります。マイケル・E・ポーターが著書『競争の戦略』(ダイヤモンド社)で使用した言葉で、本来は「他と区別する」意味で独自性を意図して提唱されていますが、競合と同じ便益において「〜がより高い、強い、優しい、うるおう、清潔に…」などの比較優位性の意味が主だと誤解されています。独自性がなく、比較優位性のみであれば、この四象限のコモディティであり、ポーターが提唱した「他と区別する」の意味とも異なります。
「アイデア」を成立させる独自性は、あくまで唯一無二な、Only-one Uniquenessを意味します。コモディティ競争もマーケティングの対象ですが、圧倒的な成長を達成するには、商品やサービスの誕生時から、常に独自性と便益を兼ね備えた「アイデア」を生み出し、提供し続けなければなりません。
稀代のマーケターとも言われたスティーブ・ジョブズが、このような発言を残しています。「美しい女性を口説こうと思ったとき、ライバルの男がバラの花を10本贈ったら、君は15本贈るかい? そう思った時点で君の負けだ。ライバルが何をしようと関係ない。その女性が本当に何を望んでいるのかを、見極めることが重要なんだ」。
"When you want to have a date with a girl, are you going to send her 15 roses if you know that your rival is sending her 10 roses? If you would think so, you will be defeated on that moment. Whatever your rival does, is not what matters. What does that girl really want?" (『人生を変えるスティーブ・ジョブズ スピーチ』国際文化研究室[編]、ゴマブックス)

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書籍紹介
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[M-Force株式会社]
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