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自己肯定感について

私が福祉業界に入って自己肯定感という言葉を耳にする機会が増えました。自己肯定感が高い人とは自分の強みも弱みもありのままの自分を認め自分を肯定することができる人だと私は認識しています。福祉の現場で支援していると自己肯定感が持てずに自分の成長を止めてしまう人がいます。

以前私が担当した利用者の中に他人が一緒に行動していないと移動できない人がいました。彼もまた自己肯定感をあまり持つことができなかった人間だと思います。彼の中の認識では同じグループの人が凄すぎて自分のできる事は大したことではないまたは少ないと感じている様でした。

私の認識では彼は自分のできる範囲であれば時間をかけながら一つ一つの作業を覚える事の出来る人です。周りの事を見過ぎて自分の事が見えていない状態だったのではないかと思います。

彼は作業の報酬として月に一回の工賃と一つの作業をすることにトークンのシールをもらいます。トークンとは我々がよく使用するポイントカードのようなものでシール(ポイント)を貯めることで自分の欲しいものと交換することができる。といった機能を持ちます。

彼は毎回トークンを貯めて乗り物のプラモデルと交換していました。正直、プラモデルをもらえる事にそこまで作業に対しての意欲には繋がっておらず、ただの作業の流れになっているように感じました。

利用者の方に作業を提供する上で私は2点に注意しています。利用者の方にとって外発的動機があるか(報酬、他者からの称賛(評価)等)、そして内発的動機があるか(作業を行う事で成長したい、作業を達成することで自己評価できる等)です。支援するにあたってどちらも必要ですが成長できる人間は内発的動機で仕事ができる人間です。

彼に必要なのは作業を通して自己評価を感じることができるように工夫する事でした。私はまず彼に自分のできている事を正しく認識してもらうためにトークンの見直しました。

私は彼にトークンで与える報酬の形を「欲しいものと交換できるシール」でなく「自分の行った作業の画像シール」に変えました。彼がトークンで貯めるのは欲しいもの(外発的動機)でなく、自分の行ったことを見える化する(自己評価)です。

私は作業後の確認時に彼のトークン表を広げて昨日はこれだけの作業を行って、今日はこれだけ作業を行ってくれていることを伝えました。週の終わりにはトークン表にシールが一杯になっているのを見せてこんなに作業をしてくれた実績を伝え「今週もありがとうございました」と感謝を伝えました。

シールで一杯になったトークン表を見て彼は嬉しそうに「いいよ!」と答えてくれました。このトークンシステム(実績の見える化)が少し彼に自信(自己評価)を与えることができたのではないかと思います。

私自身も彼と同じで自己肯定感のあまり高くない人間です。noteでは偉そうに記事を書かせていただいており、自分の能力に自信のある人間だと思われているかもしれません。しかし私は自分の力なんて大したことはないと思っています。私が自分を信用できるようになる為に必要なものは実績を作ること以外にないと思います。ここで偉そうに記事を書く為には口だけでなく、本物(実践し結果を出す)になることが必要だと思います。

今まで関わっていただいた方々や地域(社会)の方々に少しでも恩返しできるように努力します。


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