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母の表情

昨日(4/19)わたしは、神奈川の自宅へ戻ってきました。
術後の母の容態は安定しており、手術の翌日には普通病棟へ戻ってきました。神奈川へ帰る前に母に会ってきましたが、喋りすぎじゃないかって心配になるぐらい元気でした。そしてなぜだか少し怒りっぽい感じもする。イライラしているのかな?今までうまく話せなかった分、たくさん言葉を発したいのか、元々こんなにお喋りだったのか。ほんの些細なことにでも今は心配になってしまう。

手術の翌日からリハビリは開始されている。
リハビリの先生に名前を聞かれれば、フルネームで答え、足を動かしてください、手を動かしてくださいの言葉にもちゃんと反応ができ、その通りに動かせている。
しかし、「今日は何日?」の問いに、「んー、29?」と答えた母。正解は19日。正解を教えると、「最初19って言ったよね?」と母が言う。「じゃあ今日は何曜日?」と聞くと、「うーん、土曜日!」と回答。正解は金曜日。そもそも土曜日は面会ができず、こちらとしてはなんで土曜日だと思うの?ってショックを受けてしまったけど、よくよく考えてみたら、いやよく考えなくても、母は昨日手術を終えている。脳みそ近くの腫瘍を摘出しているわけだし、そもそも日付感覚なんて、普通に生活しているわたしでさえわからなくなる時がある。日付や曜日が答えられなくても、ショックを受けるようなことではない。

今は、脳みそを圧迫していた腫瘍もないし、家族のこともわかっている。手足も動かせるし、言葉だって少しおかしいけど会話ができている。良くなっていることだらけなのに、少しの良くないことでとても心配になってしまう。

病院の先生や、看護師さんも「とても元気です」って言ってくれている。血圧もまぁ安定している。
でも父は「急変しないだろうね…」なんて怖いこと言ってくる。
母は母で、今は父が管理している母自身の財布を父から「寄越せ」とばかりにぶんどり、財布から小さく折り畳まれて薄くなった5,000円札を取り出し、わたしへ渡してきた。
母のへそくりであり、わたしへの小遣いだ。

もう本当にわたしのことなんて気にかけなくていいのにさ。今は自分のことだけ考えて労って欲しい。


母のリハビリの最中、わたしの帰る時間が迫ってきた。
母は車椅子に座り、病室の扉に背を向けて座っており、右後ろを向けば、部屋を出ていくわたしと父を見送ることができる。
わたしは母に、「じゃあ、ゆきは神奈川に帰るからね。リハビリがんばって!また来るから!」と伝えて、母も「うん」と頷いた。面会中、あんなにお喋りしていた母が急に喋らなくなった。「うん」と頷いたり、「バイバイ」と手を振ったりで、表情は淋しそうにしている。そんな母の姿を見て、また心配になってしまう。
母はわたしが見えなくなるまで、後ろを振り返り手だけ振り返してくれた。

そんな姿を思い出し、帰りの新幹線でまた泣いてしまうのでした。





そして、昨日の面会で父が預かっていた自分の携帯を受け取り、父は今朝、早速母から電話をもらったとのこと。
飲み物を買ってきて欲しいと言う連絡。
母が入院して、初めて会った日からずっと「お母さん、喉乾いた」と言っていたので、念願の飲み物が飲めて嬉しいのでしょう。昨日も「炭酸水!レモンの!2本!買ってきて!」と言っていました。

わたしも母へ「おはよ〜」とLINEを送ってみました。
そしたら、「うまくすえい」と返ってきました。

うまくうてないってことかな?

文字の入力はまだまだ難しいようです。

がんぼん=がんばるってことかな?

がんばって打ってくれているので、笑っちゃいけないけど、これはこれでなかなか面白い。



お父さんは、お母さんにしばらく振り回されそうだけど、体に気をつけて支えて欲しい。
これもしつこく、無理はしないで!疲れてる時は休んで!言い続ける。

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