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(オススメ)この1カ月で好評だった作品

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7月15日から8月15日までの間、スキ❤️を3つ以上集めた旧作品をまとめました みなさんもぜひ読んでください 次回は9月15日に更新します
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記事一覧

尼僧道場 第一話(20世紀の情景)

尼僧道場 第一話(20世紀の情景)

第一章 7月25日

私は鏡水。寺の3人娘の次女だ。
その地方では名の知れた大きなお寺で、何不自由なく大きくなることができた。
ただし私たちには義務がある。
近い将来、お坊さんの婿取りをして誰かが寺を継がなければならないということ。
そのため成人したら、結婚前に親が倒れてしまった時でも寺を守れるくらいの僧侶になることが求められている。

姉は頭がいい人だったが、自由すぎる人間で高校を卒業すると海外

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断髪小説 母の横暴(前半)

子どもの頃
家で散髪されたことありますか?
すごく嫌じゃなかったですか?
日曜日とかに突然「散髪するよ」って言われて
母の未熟な腕と横暴ともいえる押し付けで
鏡も見せられず、安い家庭用の散髪道具で庭先や部屋で髪を切られる時の不安
その不安は残念なことに当たっていて、とんでもなく短い髪型にされて泣いた思い出
みなさんはありませんか。
今日はそんなお話です。

私は美里。4月から小学6年生だ。
最近ま

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断髪小説 クルーカット

断髪小説 クルーカット

9月になって早々に息子の通っている保育園からプリントが渡された。内容は「アタマジラミが保育園で流行っています。ご家庭でも注意をしてください」というものだ。
まあ、ウチは大丈夫だろうとタカをくくっていたんだけど、子どもはどこで何をもらってくるか本当にわからない。

1週間もしないうちに、「クラスで検査したら頭に卵らしいものがあったから駆除をお願いします。またご家庭の中でご家族に感染してないか必ず確認

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断髪小説 さようならツインテール

断髪小説 さようならツインテール

※この話は「節約」の続編です。まだお読みでない方はぜひ。

9月になった。
まだ気温が35℃を超える日は続き、クーラーは一日中つけっぱなしだ。
冬の寒さは服を着込めば凌げるが、夏はそうはいかない。
しかもモノの値段は今も上がり続けている。

とはいえ、私たちはまあ楽しく暮らしている。
半年くらい前、ユイは節約のためと言われて奇抜な剃り上げヘアにされた。
意外なことに彼氏やデザイナー仲間の間でウケが

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短編小説 まんまるお月様

短編小説 まんまるお月様

今夜は中秋の名月。
いつもの一つ手前の駅で彼氏のダイスケと落ち合い、スーパーで月見団子を買って2人が住むマンションの方向に歩き出す。
これから公園で2人でお月見をするつもり。だけど空には雲がかかって月が見えない。

「あーあ。今日はお月様見えないのかなー」

時々月が雲間から顔を覗かせるのだけれど、きれいな満月はなかなか顔を出さない。
仲良く手を繋ぎながら夜空を見上げて歩いていると、突然ダイスケが

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断髪小説 彼の願い

断髪小説 彼の願い

「行こう!」

アキラがうれしそうに声をかけてきた。
私たちがこれから向かう場所は市民センターの会議室。
アキラが所属しているフットサルチームの名前で夜間の使用申し込みをした。
費用は3,500円也。
マンションから歩いて10分もかからないくらいの距離で、駅の方向とは逆に歩いた街から少し外れた公園の先にある。

料金はすでに振り込んでいるから、職員からカギを受け取ってそのまま部屋まで行けばよい。

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断髪小説 春休みの変身

断髪小説 春休みの変身

「平安京」

私には変なあだ名が付けられている。
面と向かって呼ばれたことは数えるほどしかないけど、私のいないところで男子たちはふざけて呼んでいる。
お尻まで届くほど伸びた髪をセンター分けにしているからこのあだ名が付いていることは間違いない。

逆に言うと私にはこの髪くらいしか特徴がない。
だから男女比が2対1という理系のクラスの中にあってもパッとしない存在だ。
まあ仕方ない。頑張っておしゃれしよ

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断髪小説 万バズ 〜マーヤの悲劇〜

断髪小説 万バズ 〜マーヤの悲劇〜

私は売れない地下アイドル。愛称はマーヤ。

コロナ明けから、ライブ活動を本格的に再開したが客入りは悪い。
外国人観光客向けに曲目を工夫したり、コスチュームを派手にしたり動画配信もやっているけど、大手事務所も同じようなことをしている中では埋没してしまう。

動画配信でもいろんな企画を実行したが、どれもいまいちの結果。
このままでは…という危機意識のなかで、私はある企画を実行することに行き着いた。

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断髪小説 彼女の匂い

断髪小説 彼女の匂い

GWが終わり私は学校に行くことにした
いじめられているわけでも勉強が嫌いなわけでもなく、あまり人の中にいるのが好きじゃなくて、なんとなく行きたくない…そんなふんわりとした理由で気が向いたら登校する感じの生活をしてきた
至って健康だから学校に行かない日は、親がやっている理容室で洗濯や掃除を手伝いもしている

5月最後の週末には運動会があるし、6月には修学旅行がある
特に興味もないのだが、普段はうるさ

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