身代わり人形の末路

キャバクラオーナーの友人は1号店の経営が順調だったので、2号店を出すことにした。

不動産屋に色々調べてもらったところ、繁華街の中心にあるテナントが空いていた。こんないい場所は他にない。友人はすぐに借りることに決めた。

「ちょっとコレどないします?」

内装工事の最中、業者さんに声をかけられた。業者さんが指を刺した方向を見ると、マネキンほどの大きさのフランス人形が居た。

天井裏に横たわっていたという。どうしたものかと考えたが、捨てるのもなんだか不気味だし、天井裏に戻してもらうことにした。

しばらくして2号店がオープンしたが、女の子が次々と理由も言わずに逃げるように辞めていく。
このままじゃ営業ができない。1号店の女の子何人かにお願いして、しばらく2号店に行ってもらうことにした。1週間も経たないうちに、2号店に応援に行ってもらってた女の子が2号店に行くのはやめたいと言い出した。

「接客中に視線を感じて、振り向いてみたら天井から人間くらいの大きさの男の生首が生えてるんですよ。気のせいかもしれないんですけど、何回も頻繁に起きて怖くなっちゃって。」

場所を聞いてみると、人形を戻した天井の真下だった。まさかと思い、他の従業員達に話を聞いてみると、若い女に老婆に子供、特徴は全く違うが皆生首を同じ場所で見ると言う。このままじゃ営業できない。友人は神主に事情を話してお祓いをしてもらうことにした。お祓いの日、神主が苦い顔をして店の入り口で立ち止まった。
「申し訳ないですが、ここはもう手遅れです。なるべく早くこの場所と関係を絶った方が良い。」
「やっぱり天井裏の人形が原因なんですか?せめてあの人形だけでも処分してもらえませんか?」
友人の質問に神主は首を振った。
「あんなものに触ったら死んでしまいます。」
「そんなに酷いんですか!?」
「何が起きたかは分かりませんが、この場所は憎悪や殺意の吹き溜まりになってます。今までは人形が身代わりなってくれてたんでしょうが、もう限界を超えてしまってます。無数の殺意や憎悪を受け過ぎたんでしょう。アレ自体が小さな地獄になってしまってます。」

繁華街のそのテナントには今でも募集中の張り紙が貼ってあるという。

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