心理的瑕疵なし。2
だいぶ前に「心理瑕疵なし。」という話を書いたが、
その際に怪談を提供してくれた友人から、
「お前が好きそうな話がある」と連絡を受けた。
友人の働いている不動産屋にクレームが入った。
そのクレームの主は最近アパートの一室に入居した客だった。
「幽霊が出て住めたものじゃない。」
その部屋は死人が出た訳でもないし、
前の入居者が5年間住んでいた部屋だ。
結局クレームを入れた客は違うアパートに引っ越した。
暇だったので肝試し感覚で調査をすることにした。
大家さんに事情を話して1週間その部屋に泊まることにした。
宿泊した日の夜、
風呂に入っていると何か嫌な気配がした。
浴室内を探してみても気配の主は見つからない。
気のせいだろうとその日は眠りについた。
次の日もその次の日も、
浴室に入るたびに嫌な気配を感じた。
どこかに何かがいる。
その日は思い切って浴室の隅々まで探してみたが、
何も見つからない。
ふと換気扇が気になった。
部屋からドライバーを持ってきて換気扇を外してみた。
直径50cmほどのダクトの中には当然幽霊なんぞはいない。
結局気のせいだったのかと諦めようとした時、
ダクトの奥に何かが落ちてることに気がついた。
ダクトの奥に手を入れると、
何かが手に刺さった。
痛い。
手を見ると軽い刺し傷になっている。
今度は気をつけて手を入れ、中の異物を取り出した。
犬の人形だ。
ただの人形じゃない。
全身に五寸釘が刺されていて、雑に真っ赤に塗られている。
気持ち悪っ。
すぐに外に捨てた。
いつ誰が何のためにおいたのかは分からないが、
次の日から嫌な気配はしなくなった。
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