大雪の中、山道をひたすら運転していた。
進むにつれて道は険しくなり、雪もひどくなっていく。
「大丈夫?やめとく?」
助手席の彼女が心配そうに声をかけてくれた。
僕はただ首を振ってハンドルを握る。

予定よりも遅れてしまったが、なんとか目的地の温泉宿に辿り着いた。
客室についている露天風呂に2人で一目散に飛び込んだ。

幸せそうに笑う彼女、
露天風呂から見える綺麗な雪景色、
本当に来てよかった。
心からそう思った。

凄く幸せな夢を見ていたはずなのに、
最悪な気分で目が覚めた。

行ったことのない宿
知らない女
綺麗な雪景色

思い出すと全てが僕を嫌な気分にさせた。
時計を見るとまだ真夜中だ。
「また会えるね。」
寝直そうとした時に耳元で囁き声がした。

実話

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眠れない夜に

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