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「ローカルガストロノミー」イベントレポートno4

2020年11月「ローカルガストロノミー」をテーマに行ったイベントのレポートNo4です。舞台は発酵の町、秋田県湯沢市。秋田の伝統食材を使用し、未来に食文化を継承し、「自然と人が共生する」を探究するべく、新しい地域の料理を楽しんだ1日目に続き2日目はシンポジウムを行いました。
そのシンポジウムの中で行われた『未来の食を考える分科会』についてこの記事を通して共有したいと思います。

分科会では、ローカルガストロノミー、農業、テクノロジーの3グループに分かれて議論を行いました。

分科会の中でも『テクノロジー』ではテクノロジーから農業や食について考えるということを行った。参加者の中心は理系大学生でAIを学んでいる学生、セキュリティを学ぶ学生、また小型ロケットを研究している学生、音響工学について学ぶ中国からの留学生であった。他には起業したいという志を持つ高校生から世界で活躍するエンジニア、ITスタートアップの社長まで幅広かった。食についてのみ研究しているという参加者はいなかったものの、理系として女性が少ないと言われるが女性もいて、また日本人だけでなく外国からの視点もあり、とても多様性をもったグループであったのではないかと思う。

 最初に自己紹介を行ったのち、自分たちが持っている農業や食に関する疑問点や課題について5分ほど話し合った。そこでは話すテーマが大きすぎたということもあったが、「今回秋田という地方で集まっているけど、地方の人が考える未来と都市の人が考える未来って違う」という意見があがった。つまり私たちは『どこの人に向けた』『誰が得をする』未来を考えないといけない、未来の食につなげるために私たちが考える『価値』とは何だろうか。 

そこからはテクノロジーグループの中で「新しいことを行うには」「今あるものを良くしていくには」というテーマでさらに二つのグループにわかれた。そこではまず自分の持っている考えや、こうしたら良くなるのではないかということを15分ほどで付箋に書いた。両グループからたくさんの意見が出て、机は50個ほどの付箋で埋まった。最初はアイディアが出ないと苦戦していた高校生も最後の方にはいくつもアイディアを出すようになった。ある程度それぞれの意見が出尽くしたところで、15分でお互いの意見をどういうものなのか発表した。都市の意見では「家庭菜園」「ベランダで作れる」などの意見が出たが、地方では「1人がある程度の場所を借りて使えるようにする」など違う視点もまた面白い議論ができたと思う。その後各自の付箋を机の上に並べ、10分ほどで今までに出た意見について良いと思ったものにチェックをしていった。参加者全員真剣になってそれぞれの意見を見て、付箋に丸をつけている様子であった。その後10分で支持の多かった意見について学生主体となりまとめていった。まとめた結果5つのアイディアが残った。「農業のデータを日本全国から集めてビッグデータ活用することで、これから農業を始める人にもコツなどを伝えることができるし、海外へも展開できる。さらに農機具などを作る会社にもメリットのあるデータを収集することができる」「病気で食べられない野菜がある人に、その成分だけを減らした野菜を作る」「もっと食や農業はカッコいいものだというのを自然のなかの農業がもっとテクノロジー、つまりSNSなど上手に使って広める」「農作業で力仕事だったものを機械にやらせることで女性も参入しやすくなる、またその力仕事をしていた時間を創造的な事を考えたり実行したりする時間に充てることでさらなる分野の広がりができる」この5つである。農業や食は一見するとコンピュータなどからは隔離された全く違う分野の出来事のように思えてしまう。ただテクノロジーを使うことで、新しいものや価値を生み出すことや、できないと思われていたことができるようになる。参加者からも『技術の進歩だけを考えるだけでなく、自分たちが毎日食べている食べ物を考え、そこから社会を変えていく、という時間を持つことの大切差を学び今回は参加できて嬉しかった』という感想をいただいた。実際の消費者以外の視点を知った上で議論でき、また生産者などと同じ空間にいながら考えるという環境は、他になく意見を出し合ってテクノロジーからの食や農業について考える機会としてはとても有意義であった。

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