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【読書記録】2024年9月22日〜9月28日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 あまりニュースとか見ないので今日(9月28日)知ったのですが、ノンフィクション作家の佐々涼子さんが9月1日に永眠されたとのこと。
 佐々さんの著書との出会いはちょうど1年前。東日本大震災直後の日本製紙石巻工場再建のドキュメンタリー〝紙つなげ 彼らが本の紙を造っている〟でした。
 恥ずかしながら、それまで佐々さんの本はおろかご本人の存在すら全く知らず、東日本大震災のノンフィクションということで偶然手に取り、その圧倒的な迫力に押され、続けて読んだ〝エンジェルフライト 国際霊柩送還士〟で心を鷲掴みにされ、ずっと追いかけようと決めた作家さんでした。
 そして今年の春文庫化された〝エンド・オブ・ライフ〟を読んだ後ネットを検索してみると、「佐々さんが脳腫瘍で闘病中」との記事が…。
 この記事を読んだとき「神様はなんと残酷なことをするんだ」と、思わず天を仰ぎました。
 佐々さん、素敵な本をありがとう。
 佐々さんが魂を削って書いた本たちは、私のココロの本棚にずっと陳列しておきますね。
 心から、ご冥福をお祈りします。

【2024年9月22日〜9月28日に出会った本たち】

⚪️一晩置いたカレーはなぜおいしくなるのか

著者 稲垣栄洋

【内容紹介】
 一晩置いたカレーはなぜおいしいのか? 子どもたちはどうしてピーマンが嫌いなのか? ワサビがツーンとする理由は? 味、食感、香り、栄養素……すべての謎を解くカギは、食材が生きていたときの姿にあった! 数々のベストセラーを送り出してきた研究者が鋭く考察。料理や食事が楽しくなる「おいしさの秘密」をご賞味あれ。ジャガイモを煮崩れさせない方法など、調理の裏ワザも多数紹介。

出版書誌データベースより

【感想】
 農学博士で雑草の研究でも知られる著者が、身近な食べ物とそれに使われる食材についてわかりやすく解説している本です。
 取り上げた食べ物とはタイトルにもあるカレー、野菜サラダ、チャーハン、お好み焼き、お寿司、フルーツパフェ、ショートケーキなど様々。
 今まで読んできた稲垣さんの本と異なるのは、野菜や果物だけではなくいわゆるお肉や魚などにも触れている点。
 それにしても人間って生き物は、植物が自分を守るために生み出した苦味や辛味などのいわゆる「毒」を平気で、いや好んで口にするんだから、植物にとっては脅威以外の何者でもないよね。

⚪️面白くて眠れなくなる植物学

著者 稲垣栄洋

【内容紹介】
 植物は当たり前のように私たちの身の周りにありますが、けっして何気なく生えているわけではありません。
植物の生態は、私たちが思っているよりもはるかに不思議で、謎に満ちています。本書は、そんな植物のミステリーに迫ろうという一冊。

【感想】
 稲垣さんの本はなんと10冊目。
 これまで読んできたものと重複する部分もあるけれどやっぱり面白い。
 ネコジャラシの高性能な光合成システム。唐草模様の元になった蔦植物の脅威の生存戦略。そしてイネ科の植物の特徴。何度読んでも感心させられることばかり。
 雑草や野菜、果物は身の回りに当たり前にあるので疑問を持つことなくスルーしてしまうけれど、この当たり前に改めて着目してみる。葉っぱや花びらの形や色、枚数はなぜそうなっているのか?…考えてみると知らないことばかり。
 身近なちょっとした疑問を放置せずに調べてみることって大切だなぁと、改めて実感したのでしたき。

⚪️ヤラセと情熱 川口探検隊の真実

著者 プチ鹿島

【内容紹介】
 70年代後半から80年代にかけ、世界を股にかけ、未知の生物や未踏の秘境を求めた男たち。それが川口浩探検隊。ヤラセだとのそしりを受け、一笑に付されることもあったこの番組の「真実」を捜し求めるノンフィクション。当時の隊員たちは、どのような信念で制作し、視聴者である我々はこの番組をどのように解釈してきたのか。そして、ヤラセとは何か、演出とは何か。当事者の証言から、テレビの本質にまで踏み込む危険な探検録。

出版書誌データベースより

【感想】
 うーん、「川口浩探検隊」ですよ!
 田中信夫氏の鬼気迫るナレーション。
画面いっぱいのテロップ。
大袈裟な効果音。
そして衝撃(?)映像!
 この本に度々登場する「猿人バーゴン」なんてもう、頭の中が一瞬で子供時代にタイムスリップですよ。
 あの番組は果たしてヤラセだったのか!?
 結論から言えばそんなことは誰もがわかっていた。でも楽しめていた。作り手も情熱を傾けて作っていた。あくまでもドキュメンタリーではなくバラエティー番組として。そしてそれを笑いにする芸人もいた。そんな寛容な時代だったということか。
 それにしても終了するきっかけとなったのが「アフタヌーンショー」のヤラセ事件だったとは。
 そしてその情熱が後の「ギミア・ブレイク」の「徳川埋蔵金発掘」や、「世界・ふしき発見!」に受け継がれていたとは。

⚪️墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便

著者 飯塚訓

【内容紹介】
 「遺族の極限の悲しみ、想像を絶する修羅場」を描きつくしたと、朝日新聞等で絶賛されたベストセラー、待望の文庫化。確認までの127日間が鮮烈に描きだされる。

【感想】
 日航機墜落事故から39年。何か大変なことが起きたという認識はあったものの、まだ子供だった私は、当時漠然とした不安感みたいなものを感じながらテレビのニュースを観ていたことを覚えています。
 今年2024年の事故当日、本当に偶然に見つけて手に取った本書。著書は当時遺体確認班庁だった警察官。だから物語とは異なり本当にリアルで、何度も読む手を止めて天を仰ぎ、ため息をつきました。犠牲者は520名なのに回収された遺体はその4倍。
 最近語られる陰謀説とかは置いておいて、この事故に携わった警察官、医師、歯科医師、看護師さんには頭が下がります。
 この本との出会いに感謝。

⚪️あなたの言葉を

著者 辻村深月

【内容紹介】
 『かがみの孤城』『ツナグ』の辻村深月がいまこそ伝えたい「言葉のちから」。「正解」のない世の中で、自分の言葉で考え、気持ちを伝えられるようになるために――人気作家が自らの体験をもとに語りかけるエッセイ集。

出版書誌データベースより

【感想】
 10代の繊細な気持ちを音楽や物語にできる大人って凄いとつくづく思う。なぜなら自分は遥か昔にその気持ちをどこかに置き忘れてしまったから。あの頃はあんなに「インチキな大人」にはなりたくないと思っていたのになぁ。
 この本は毎日小学生新聞に掲載された辻村さんから小学生たちへのメッセージを集めたもの。
 テーマは「学校」「書くこと」「読むこと」「友だち」など。読んでみると辻村さんもかなり繊細な子どもだった印象で、その頃に感じていたモヤモヤを今もきちんと心の中に留めて、それをしっかり物語に落とし込んでいるというのがすごい。
 原点は〝十角館の殺人〟か。これはぜひ読まねば。

⚪️作家 超サバイバル術!

著者 中山七里、知念実希人、葉真中顕

【内容紹介】
 作家への登竜門“新人賞”は数あれど、デビュー後作家として本を出し続けるのは至難の業と言われています。今をときめく人気作家三人が、それぞれの作家生存戦略をあますところなく綴ります。「作家と新人賞」「作家とおカネ」「作家と営業」「作家とSNS」……刺激的な10のテーマから文芸界のリアルが垣間見える、業界騒然のエッセイ。作家デビューしたての人、作家を目指す人、文芸界に興味のある人必読!

出版書誌データベースより

【感想】
 小説の書き方の指南書は数あれど、これまでデビューしたての作家をフォローするための本は見たことがない。
 毎年100人以上の作家がデビューして5年生存率が1%という過酷な業界を生き抜き、渡り歩くために必要なこととは!?
 中山さん、知念さん、葉真中さんという今飛ぶ鳥を落とす勢いの作家さんが共通して語るのは、「とにかく書け」ということ。作家なんだから当たり前と言えば当たり前なのですが、昨今の出版事情も踏まえるとこれがなかなか難しいらしい。
 三者三様で面白かったけれど、男性ばかりだったので、女性作家さんの話も聞いてみたかった。
 そうそう忘れてならないのがイラストと各章の最後に描かれた4コマ漫画。書いているのは作家の佐藤青南さん。佐藤さんってマルチな才能の持ち主だったんですね。

⚪️炎上するバカさせるバカ 負のネット言論史

著者 中川淳一郎

【内容紹介】
 自己責任論争、「羊水腐る」発言、フジテレビデモ、バイトテロ、タピオカ屋恫喝、上級国民、五輪エンブレム……数々の炎上騒動を見てきたネットニュース編集者が、負のネット言論史を総括する。

出版書誌データベースより

【感想】
 ITが普及し始めた2000年代前半からコロナ禍までのネットでの炎上騒動をまとめた本書。便利なものというのは諸刃の剣で、使う人の心持ち次第ということなんだろうと思います。
 結局のところは著者が最初から感じていて最後にまた戻ってきた「宣伝材料がない人間は、ネットで情報発信などするべきではない」という結論はある意味正しいと思います。
 「ダメだよね知識も技術もない子供に、実弾入りの鉄砲持たせちゃ」って感じかな。
 まぁするのであれば実名で。もし実名を出すのが嫌なら、そのままプリントして自分の家の玄関に貼っても問題ない内容や表現に留めるべきかと。

⚪️ウンコの教室 環境と社会の未来を考える

著者 湯澤規子

【内容紹介】
 学校のトイレに行けない問題からSDGsまで、ウンコから考える未来。衣食住に「便」を入れると見えるものとは。文理、歴史の壁を越えた探究の旅に出かけよう。

出版書誌データベースより

【感想】
 タイトルのインパクトに引き寄せられ興味本位で手に取った本書。
 うーん確かにこういうことってとても大切なのに今まで考えたことなかった。
 なぜか「性」と「排泄」の話題って隠されてしまうもんね。
 小学校のトイレ事情、江戸時代の循環型社会、災害時の問題、そして現在行われている取り組みなど実に様々な方向から語られていて、とても勉強になりました。
 最後にひとつ、ウンコが人気のアイコンとして用いられるようになったのは1980年連載開始の漫画「Dr.スランプ」だとあるけれども、多分もっと前に「8時だよ全員集合」で使ってたような。

【まとまらないまとめ】

 いかがでしたか。
 今週は珍しく小説は一冊も手に取らず、ノンフィクション・エッセイまみれの1週間でした。
 改めて見てみると、なかなか個性的な、そして相変わらずまとまりのないラインナップになりました。
 どの本も甲乙つけ難いというか、そもそもジャンルがバラバラなので比べようがないのですが、一冊あげるとすれば、やっぱり「川口浩探検隊」かなぁ。ドキュメンタリーでなく、バラエティーでもなく、インディージョーンズ的な番組を目指していたなんて、実際にやっていたことを考えると、やっぱりなんだかんだ言って寛容な時代だったんだなぁと。なにせ「まいっちんぐマチコ先生」がゴールデンタイムに放映されてた時代だからなぁ。

最後に
 読書っていいよね。


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