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【読書記録】2023年5月21日〜5月27日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 早いもので5月もそろそろおしまい。
 来週には6月が…。
 しかも6月に入って早々に、梅雨に入るとか入らないとか。
 湿気は本の大敵。
 とりあえず天気のいい日を見つけて、少しずつでも大切な本たちに風を通してあげなくちゃ。

 ということで、いつもの通り、今週出会った本たちをざっくりご紹介します。

【2023年5月21日〜5月27日に出会った本たち】

⚪️さすらい猫ノアの伝説

【内容紹介】
 算数の授業中、一瞬の早技で教室に飛び込んできた黒い猫。首に巻かれた風呂敷の中には、「あなたのクラスはノアに選ばれました!」という手紙が。自由気ままなさすらい猫が、ちょっと困っている子どもたち、悩んでいる大人たちに思いださせてくれる大切なこととは。不思議な猫が巻き起こす小さな奇跡の物語。

裏表紙より

【収録作品】
勇気リンリン!
忘れものはなんですか?

【感想】️
 児童向けの「青い鳥文庫」として刊行されていた2冊を1冊にまとめた本書。
 2篇とも大人が読んでもグッとくる言葉がたくさんあります。
 まずはベテラン教師の田中先生がダメダメな新米教師のユッコ先生にかけた言葉。

「得意なものも苦手なものもある。それが人間ですよ。人間のいいところなんですよ」

本文より

 本当にその通り。
 そして第2話で薙刀の師匠(おばあちゃん)が主人公の宏美に言った言葉。

「いい?ほんとうに大切なものっていうのは、簡単に言葉で説明できるようなものじゃないの。だからほんとうに大切なの。わかる?」

本文より

 このほかにも背中を押してくれる素敵な言葉がたくさん出てきます。
 なんだかとっても眩しい、そして懐かしい物語でした。

⚪️なぎさの媚薬 上・下

著者 重松清

【内容紹介】
「わたしを買ってくれませんか?」-透き通るように白い肌、吸い込まれそうに深い瞳、まるくやわらかな声。伝説の娼婦なぎさは、自分を本当に必要とする客の前だけに現れる。なぎさとの甘美な時間の合間に男が見るのは、あまりにもリアルな、青春時代の自分と女性たちとの夢。切なさに満ちた官能恋愛小説。

裏表紙寄り

【収録作品】
海の見えるホテル
追憶の課外授業
彼女を憐れむ歌
ねえさんの浴衣
霧の中のエリカ

著者 重松清

【内容紹介】
「あの子を助けられるのは、あなたしかいないんです」-性犯罪や、余命の告知。男女のつらい過去を、時を遡って変える力をもつ娼婦のなぎさ。男を包み込み、女に救いの手をさしのべる、なぎさとは何者なのか。性の哀しさと愛おしさ、生きることの尊さを描き、かつてなく深い余韻を残す傑作官能小説。

裏表紙寄り

【収録作品】
霧の中のエリカ 承前
天使の階段
ラスト・スマイル
なぎさ昇天

【感想】
 以前刊行された文庫8冊を再編集した、上下巻合わせて1520ページの大作。
 〝愛妻日記〟以来のピンク・重松作品です。
 伝説の娼婦なぎさに選ばれた男たちは、みな過去に後悔を抱えています。男たちはなぎさを抱くことで過去に遡り人生をやり直します。ただしやり直すといっても自分の人生は変わりません。変わるのは「後悔」を残したまま離れてしまった相手の人生。この設定は同じ重松さんの「流星ワゴン」と地続きと言えるかもしれません。
 読んでみると確かに濃厚な性描写が幾度も出てくるのに、なぜか物語に引き込まれます。そして最後に必ず明るい明日が見えてきます。
 どの話も甲乙付け難いけれど特に心に残るのは、伝統ある造り酒屋に生まれた兄弟の話〝ねえさんの浴衣〟。家を継がなければならない兄のプレッシャー、家に縛られるのが嫌で田舎を飛び出した弟。そしてこの兄弟と兄嫁の秘密。
 次いで上下巻をまたぐ、転落していく幼馴染の女の子を助ける勇気がなかった少年の話〝霧の中のエリカ〟
 三つ目は5年生存率20%の、肺癌を宣告された男性の話〝天使の階段〟
 後半は、なぜなぎさが街娼になったのかを解き明かすというミステリー要素も。
 そして最後に秘密が明かされ、なぎさはしっかりバトンも渡して物語が終わります。
 願わくはバトンを受け取った彼女も、いつしか救われますように。

 正直、官能小説でここまでグッとくるとは思いませんでした。
 さすがは我が心の師、重松清さん。

⚪️恋のトビラ 好き、やっぱり好き。

アンソロジー

【内容紹介】
 素敵な出会いがない、好きな人はいるのにもう一歩が踏み出せないーそんなあなたに人気作家5人が贈る、抱きしめたくなるほどいとおしいラブストーリー。大学で知り合った危険な匂いのする先輩、旅先の孤独感から連れ出してくれた男性、オフィスで一目惚れした眼鏡の似合う彼…女の子の心の鍵を開けてくれる男性との出会いが詰まってます。読むだけで恋したくなる、とびきりのアンソロジー。

裏表紙寄り

【収録作品】
ドラゴン&フラワー 石田衣良
卒業旅行 角田光代
Flying Guts 嶽本野ばら
初恋 島本理生
本物の恋 森絵都

【感想】️
 恋がテーマのアンソロジー。
 石田衣良さんの〝ドラゴン&フラワー〟は既読でした。
 作家さんとしては嶽本野ばらさんが初読み。
 この嶽本さんの作品〝Flying Guts〟がかなりの破壊力でした。なにせタイトルの「ガッツ」とは、なんとカッツ石松さんのことなんです。不器用な、間の悪い女性の恋愛小説なのに、キーパーソンがガッツさん!物語29ページの中になんと「ガッツ石松」という言葉が確か28回ほど登場するんです。これはもうガッツ石松さんのリスペクト小説と言っても過言ではない!
…かもしれません。
 その他には森絵都さんの〝本当の恋〟のラストに思わず「えぇぇぇっ!!」と声を出してしまいました。

⚪️ジブリアニメを心理分析

著者 清田予紀

【内容紹介】
 ふしぎで奥深い世界を読む!この少女たち、あの風景に心惹かれてしまうワケ。

裏表紙寄り

【感想】
 人気アニメを深掘りして分析という本は枚挙に遑がありません。
 この本はジブリアニメを心理学的に分析すると。という本です。対象作品は宮崎駿監督作品に限定。これらの作品の登場人物たちの言動を、心理学的に考えると…。
 一番心に残ったのはジブリ作品はなぜ最後まで描かないのかという話。それは「ツァイガルニック効果」を狙っているから。これは、「終えてしまった事柄よりも、途中で挫折してしまったり中断してしまったりした事柄のほうがよく記憶に残る心理現象」。 つまり物語は完結しないで、結末は読者に委ねる方が心に残りやすいということかな。

⚪️一汁一菜で良いという提案

著者 土井善晴

【内容紹介】
 日常の食事は、ご飯と具だくさんの味噌汁で充分。あれば漬物を添えましょう。無理のない生活のリズムを作り、心身ともに健康であるために「一汁一菜」という生き方をはじめてみませんかー。料理研究家・土井善晴による根源的かつ画期的な提言は、家庭料理に革命をもたらした。一汁一菜の実践法を紹介しながら、食文化の変遷、日本人の心について考察する。著者撮影の食卓風景も数多く掲載。

裏表紙寄り

【感想】
 土井善晴さんは誰もが知ってる料理研究家。
 テレビにもたくさん出てるし、世界中の料理を学び、作り、食べてきたであろう土井さんがたどり着いたのが、この「一汁一菜で良い」という考え方。
 毎日の食事は「ご飯と具沢山の味噌汁と漬物」で充分事足りると。さすがに味噌汁にパスタやピザトーストというのはどうかと思うし、ベーコンやブロッコリーは味噌汁の具としてはどうなんだろうと思ってしまううけれども。
 後半はいわゆる日本食(家庭料理含む)の歴史から哲学的な話へ。五感の全てを使って味わう、楽しむ日本食ってやっぱり素晴らしいし、誇らしい。

⚪️あなたの住まいの見つけ方

著者 三浦展

【内容紹介】
 住宅は人生最大の買い物、家賃だって高い。なのに知識が足りない。今どんな住み方が賢いのか、どんな新しい住み方が生まれているのか。戦後の日本人の住まい方の変遷をたどりつつ、リノベーション、シェアハウスなどの最新動向を紹介します。

裏表紙寄り

【感想】
 「家」は人生最大の買い物です。長い年月ローンを組んで庭付き一戸建てを購入したとして、果たしてこんな不安定なご時世でローンを払い続けていけるのか?かといって分譲マンションはいざという時価値はなくなるだろうし…。
 少子高齢化が問題となっている昨今、私が住んでいる地域はなぜか高層マンションの建設ラッシュが。人の財布を心配する前に自分の住宅ローンの心配をした方がいいのだけれど。
 この本では戦後から現代までの住宅事情から今後の展開予想までをわかりやすく解説してくれます。
 キーワードは「リフォームからリノベーション」へ。

【まとまらないまとめ】

 いかがでしたか?
 石田衣良さんブームが一段落して原点回帰の重松清さん。
 しかも児童文学と官能小説とはまた両極端な。
 これでたぶん重松さんの文庫小説(文庫)はフルコンプです。
 小説以外では、「ジブリアニメを心理分析」がかなり面白かったです。まぁ直接宮崎駿さんが語っているわけではないので、どこまで確信をついているかは分かりませんが、こういう本は目にするとつい手に取ってしまいますね。

 さーて、次は何を読もうかな。

最後に
 読書っていいよね。


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