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【本の紹介】就活がテーマの小説。

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 今日は3月1日。
 3月1日といえば大学生の就職活動解禁日。

 調べてみると、以前はこの手のことは経団連が仕切ってたみたいですが、経団連に所属していないIT企業や外資系の企業がこれを守らなかったらしく、結局は有名無実化して、現在は国が指針を提示しているみたいですね。

一応取り決めはこんな感じ。
【広報活動開始】卒業、修了年度に入る直前の3月1日以降
 →求人情報やエントリーの解禁日。
【採用選考活動開始】卒業、修了年度の6月1日以降
 →採用試験の解禁日。
【正式な内定日】卒業、修了年度の10月1日以降
 →企業と学生間の労働契約締結の解禁日。

…ということで、今回は大学生の就職活動がテーマの物語を集めてみました。

【就活がテーマの小説】

●シューカツ!

著者 石田衣良
【内容紹介】
 大学3年生の水越千晴は学内の仲間と「シューカツプロジェクトチーム」を結成。目標は最難関マスコミ全員合格!クールなリーダー、美貌の準ミスキャンパス、理論派メガネ男子、体育会柔道部、テニスサークル副部長、ぽっちゃり型の女性誌編集志望と個性豊かなメンバーの、闘いと挫折と恋の行方。直球の青春小説。
裏表紙より

【感想】
 これぞ、正統派の就活小説。
 大学3年生の千晴を中心に個性的な男女7人で結成されたマスコミ就活プロジェクトチーム。エントリーシート作り、書類審査、筆記試験や面接と、実際に動き出してからの情報交換を兼ねた近況報告会という名の飲み会など、とにかくリアル。
 千晴がバイトしていたファミレスの店長が30すぎのバイトくんに語った話は心に刺さります。

●ワタクシハ

著者 羽田圭介
【内容紹介】
高校生でメジャーデビューを果たしたものの、バンド解散後は売れないギタリストとして燻っていた太郎。大学三年の秋、慌しく動き出す周囲の言動に違和感を覚えながらとりあえず始めたシューカツだったが…。「元有名人」枠などどこにもないというキビシイ現実の中、太郎は内定獲得に向けて走り出していく。
裏表紙より

【感想】
 こちらはマスコミに限らず、主人公の太郎がありとあらゆる職種の試験を受けまくります。しかもこの太郎、高校時代にあるオーディション番組に出演し、ギター部門で優勝。結成したバンドはCD30万枚を売り上げ、その年の紅白歌合戦にも出場したという変わった経歴の持ち主。
 太郎は音楽業界以外に、新たな自分の居場所を見つけることができるのか!?
 …という物語ですが、とにかく太郎の性格が、周囲を客観的に捉えていながら、彼自身は過去の栄光を傘に着ることもなく、真っ直ぐに就活に取り組んでいる姿勢に、なぜだかホッとしました。そしてなんだかんだ言っても夢を諦めない姿勢にも。

●何者

著者 朝井リョウ
【内容紹介】
 就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたからー。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて…。直木賞受賞作。
裏表紙より

【感想】
 言わずと知れた現代就活小説の代表作。
 自分が新卒で就職したのはもう20年以上前なので、だいぶ忘れてしまっているけれど、あの頃は就職することや大人になることに対して斜に構えて毒づいていたことだけはなんとなく覚えています。
 この物語の登場人物たちとその頃の自分の何が違うかといえば、SNSなどの自分を表現する手段の黎明期だったことでしょうか。
 瑞月が隆良に語った人生を線路に例えた話は心に沁みました。
 この物語をより味わい深いものにしてくれるスピンオフ短編集〝何様〟もおすすめです。

●六人の嘘つきな大学生

著者 浅倉秋成
【内容紹介】
 「犯人」が死んだとき、すべての動機が明かされる。成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を開けると「○○は人殺し」だという告発文が入っていた。彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とはー。伏線の狙撃手・浅倉秋成が仕掛ける、究極の心理戦。
版元ドットコム 書誌情報より

【感想】
 この物語は、最終選考に残った六人を団結させておいて最終的にみんなで最も相応しい人材を選べという過酷ないわゆるデスゲーム+ミステリー。
 こんな秋色試験を仕組んだ会社には絶対就職したくないと思ってしまうのは私だけでしょうか。
 本屋大賞2023の第5位の作品なので、多くを語る必要はないかと思いますが、人はみんな表と裏の顔を持っているのが当然で、それを短時間の面接やディスカッションなんかで見抜けるほど採用する側も偉くも賢くもないような…。

●プロパガンダゲーム

著者 根本聡一郎
【内容紹介】
 「君たちには、この戦争を正しいと思わせてほしい。そのための手段は問わない」大手広告代理店・電央堂の就職試験を勝ちあがった大学生8名。彼らに課された最終選考の課題は、宣伝によって仮想国家の国民を戦争に導けるかどうかを争うゲームだった。勝敗の行方やいかに、そしてこの最終選考の真の目的とは?電子書籍で話題の問題作を全面改稿して文庫化!
裏表紙より

【感想】
 私の今回のイチオシはこれ!!
 超有名広告代理店の就職試験に臨む8人の大学生。最終試験の内容は、4対4に分かれ一方が架空の国の政府として隣国と戦争する方向へ、もう一方が同じ国のレジスタンスとして戦争を回避する方向へ、宣伝という手段を使って世論を誘導するというモノ。両チームはどんな方法で世論を動かすのか、各チームに一人ずついるスパイは誰なのか、そしてこの試験の結果と合格者は。
 試験中の情報戦はまさに手に汗握る展開ですが、〝六人の〜〟同様、こんな試験をする会社では働きたくない。いやその前にエントリーシートで落とされるか。
 とにかく何が正しいのか自分の頭で考え、判断し、行動できる力が必要だと感じました。
 就活と直接関係はありませんが、続編的位置付けの〝ウィザードグラス〟もおすすめです。

【まとまらないまとめ】

 自分は技術職というか専門職だったので、就職した時はこれらの物語のような経験をすることはほとんどありませんでしたが、以前勤めていた職場では面接をする立場も経験していて、その頃のことを思い出しながら読みました。
 試験を受ける側はもちろん大変ですが、採用する側もかなり大変なんです。お金をかけて採用しても「思っていた会社と違う」とか言われて、あっという間に辞められてしまうし。ちなみに私が採用に携わった人たちの中で最短は1日で辞めた人がいました。つまりは午前の入社式と午後のオリエンテーションを受けただけで、翌日から来なくなってしまったという。
 ベタな表現ですが、「石の上にも三年」という言葉があります。とにかく一通りの仕事を覚えて自分のペースで仕事ができるようになるまで3年はかかります。それこそ採用する側としては、石に齧りついても3年は頑張ってほしいと思っています。そうしないと元が取れないんですよ、実際。

 何はともあれ、夢に向かって頑張れ就活生!!

 最期に
 読書っていいよね。


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