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寄稿♯12:個人参加はフットサルが好きになる「入り口」~運営のアップデートで裾野を広げる~

こんにちは!今回は寄稿の12回目になります。

僕が以前に通っていた大好きなフットサル施設があるのですが、「コート利用も、個人参加プログラム(個サル)も、どんどん落ちている」との状況を聞きました。

屋外施設ですが、オーナー、店長の人柄も素晴らしく、個サルの雰囲気も好きだったので、ショックでした。全国的にも同様の傾向と聞くことが多くなりました。

これまでの寄稿の中で、選手、指導者、審判といった様々な立場から寄稿してもらってきました。ただ、フットサルの事業者的な立場からの寄稿がなく、適任者を探していました。

これから紹介する「大阪ゆる個サル」を運営されている北本さんには、寄稿の依頼で8月中旬にお会いしました。僕のフットサルへの思いなどを聞いてもらい、寄稿を快く引き受けてくれたばかりか、スポンサーになって頂きました。

大阪ゆる個サルは、施設を持たずに、大阪府内でコートを借りて個サルを運営しています。僕は個サルに参加していた競技プレーヤーに接したことがきっかけで、競技フットサルに興味を持った経験があります。フットサル人口の裾野を広げてくれ、さらに競技選手を増やす意味でも重要性を感じており、多くの方に参考にしてもらいたいと思います。

筆者紹介

北本哲也(きたもと・てつや)さん

1982年生まれ、大阪府出身。18歳でフットサルに出会い、「上手くなりたい」との思いから自分の蹴る場所兼チームメイト探しのために個サルを始める。2010年に団体「アレグレッツァ」として運営を開始。2017年から団体「大阪ゆる個サル」に移行。1週間で500人以上個サルで動員。競技未経験の個サル参加者で作った「オーガフットサルクラブ」は2013年度、大阪府リーグ3部リーグ参入して1年目で優勝。個サル参加者だった約100人を大阪府リーグに紹介する。現在競技経験者の男性メインで作ったmixチーム・アルトの代表。ラインID⇒healtheworld0701 https://osakayurukosal.com

それでは本文です

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個サル事業=お金儲けへの理解

はじめまして。2010年より大阪府内で「大阪ゆる個サル」(前身のアレグレッツァを含む)を運営しています。日々反省ばかりですが、試行錯誤を繰り返し、百折不撓(幾度失敗しても志をまげないこと)の精神でなんとかこれまで続けることができています。

お陰でフットサルをしている方で前団体名の「アレグレッツァ」又は「大阪ゆる個サル」と聞くと「聞いたことある」という方もいらっしゃるのではないかと思います。

この度個サル事業の運営者としての立場から記事を書かせていただこうと思います。個サルというフットサルの「入り口」からもっとフットサルを好きになる方が出てきてほしい、との願いを込めて書きます。

最近の話ですが、個サルの参加者の方が「出張の時にある個サルに行ったけど全然おもしろくなかった」と話してくださいました。僕から他の個サルについて質問することはほぼありませんが、実はよく耳にします。

「個サル事業してる人ってイメージ良くないんじゃないかな」と最近気づきました。

参加者の方は、僕が休憩や休日もなく毎日ボロボロになりながら数年間ひとつひとつの開催を全力で運営し、開催が終わっても長文のブログを書き、写真編集をしてきたのをご存じだと思います。それどころか約6年ほぼボランティアだったため、そもそもお金儲けも何もありません。僕は個サルに魂を売り、文字通り命がけで運営してきました。

話を戻します。例えば参加者の方が他の個サルに対して不満を述べるのは大きく3つです。

1.参加費⇒(安い体育館を使用していても)料金が高い
2.人数⇒6人vs6人で、そもそもフットサルではない
3.運営⇒プレーを見ていない

ここだけ聞くと「ただのお金儲けなのかな」と仰る気持ちもわかります。僕はお金儲け自体は悪いことだと思っていません。ボールを蹴った参加者の方が「ありがとう」を具現化した対価を支払うことで資本主義社会は成り立っています。

ですので「お金儲けは悪だ!」と仰る方は直ちに仕事で稼いだお金を僕に振り込んでいただければと思います(笑)。僕も現在事業として捉えているため、お金儲けをしています。きれいごとを言うつもりもありません。


安ければ本当にいいのか


先ほどの3つのポイントについて僕なりに思ったことを書いてみます。

1.参加費に関しては高すぎるのもどうかと思いますが、安いのもダメだと思っています。例えば牛丼屋さんAが牛丼1杯を200円にしました。負けじと牛丼屋さんBが1杯150円に下げました。こうして牛丼の値段が下がっていくことで従業員の給料も下がっていきます。

集客できないからといって安易に料金を下げてしまうと次に値段を上げづらいうえに、誰も得しない状態になります。「値下げは誰でも思いつく施策」と言われます。理想はスターバックスのように少し高いけど行きたくなることかもしれません。

2.人数は僕も予約間違いをやらかしてしまうことがあるのですが、フットサルはそもそも6人vs6人でするスポーツではないので「フットサルと名乗るのならぜひ5人に!」という思いです。

3.運営面では、試合が始まればコートからスタッフが消え、クラブハウスからの音声で「3分経過です。GK交代お願いします」とだけアナウンスされるところさえあります。競技の特性上、足を蹴られてしまって怪我をしたりそれによって喧嘩になったりもするため、見守ることで予防や対処をすることは最低限必要だと思っています。

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個サルver2.0


アプリのバージョンのような例えで自称「個サルver2.0」と言っているのですが、2011年からしてきたことを大きく5つあげてみます。人を集めて総当たりにして放置していた従来の個サルにイノベーションを起こしました(※関西人なので大袈裟に言いたいだけです)。

1.カテゴリー分け

初心者の方へ配慮するため総当りではなく、カテゴリーを分けて開催することを考えました。レベルで分けるのではなく「ゆったり蹴りたい」か「そこそこ汗かきたい」という言い方をしています。あくまでご本人の当日の気分や希望カテゴリーです。上手な方がゆったりでプレーされることも多くあります。どうしても分けられない時は総当りしています。

2.ビブスを使い回さない

チーム替えをする時は汗で、びしょびしょになった他の人のビブスを着なければいけないのが普通でしたが、ビブスを沢山用意し、解消しました。

3.声出し

ある参加者の方が常に「ナイスシュート!」と盛り上げてくださっていたのを真似しました。盛り上げるためですが、運営のオマケのようなものです。1番大事なのは声出しやジャッジではなく、なるべくプレーを見て怪我や喧嘩の予防と対処をすることだと考えています。

4.ブログ

参加してくださった方にスポットライトを当てるため、毎回写真付きのブログを書き、珍プレー好プレーを残しました。文章はふざけていますが、毎回長文で沢山の参加者を名指ししました。ニックネームを名指しすることで新聞に取り上げられたようだと感想を頂き、「次はもっといいプレーをしよう!」「次はもっとおもしろいプレーをしよう!」と仰っていただけました。


5.フットサルルールの遵守

個サルで4秒以内にキックインなどをする、セットプレーで5メートル離れる、2度目のバックパスをとる、ところは未だにうちくらいではないかと思っています。とれば良いというわけではありませんが、これには僕自身も競技フットサルを経験したことで、よりフットサルを知ってもらいたいという思いと目的があります。その為に最低限のルールを守っていただいています。


勝手に人が集まってくれたわけではない

忘れられがちなのですが、運営の前にそもそも人を集めるのでさえ大変なことです。各施設さんも、各団体さんも水面下では必死に集めていると思います。

うちの人集めに関しては当初mixiというSNSの恩恵を受け宣伝広告費ほぼ0で行うことができました。mixiが良かったのは地域と目的を限定できることです。例えば「大阪でフットサルしよう」というコミュニティグループがあればそこには文字通り「大阪という場所で」「フットサルしたいという動機の人」が集まってくるからです。

個サルは第1回目の開催(2011年11月)こそ、雨天ということもあり10人しか集まりませんでしたが、その後は毎回ほぼ満員でした。

これは約5年間毎日、何百人という人に「フットサルしましょう!」とDMを送り続けたコツコツとした営業努力がありました。もちろん何度も送った方も沢山いたため「もう送ってくるな!」と言われることもありました(かなりウザかったと思います、ごめんなさい)。今ではラインをお聞きしたとしてもそのような営業はしていません。

当時送ったDMの文面も「○○さんこんにちは!」とその人の名前を入れたり誘い方も工夫しました。お陰でうちのコミュニティは一気に3000人を超えるグループとなりました。努力をアピールしたいわけではないため、初めて話しましたが、コツコツとした努力があってこそ、人が来てくださいました。


個サルver2.5


順調だった個サル事業でしたが、訳あって1年間休まざるをえなくなり、約2年前に大阪ゆる個サルとして再開しました。その際に大きく5つアップデートしたことがあります。

1.参加者情報公開

mixi時代はあくまでmixiネームで、どなたが参加されているかわかりました。それを受け、参加時にニックネームを書く欄を作ってTwitterで、その日の参加者のニックネームを呟くようにしました(もちろん誰かに内緒で参加されたい時など匿名での参加もできます)。他の参加者のニックネームがわかると、「名前は聞きづらいがニックネームは聞きやすいためこれにより輪がひろがった」。そして「〇〇さんが参加しているなら行こうとなるのが有難い」と参加された方に仰っていただけました。

2.予想レベル公開

どうしてもレベルが高くなる時があります。配慮させていただくため、いつでも参加可能ですが、競技経験者も多く来られるので基本的なレベルは高めな個サルです。真剣に改名も考えています(汗)。

あくまでいつも蓋を開けてみないとわからない部分がありますが、ざっくりと集まっている方に対し「普段ゆったり希望の方が多いです」などとその日の予想レベルを呟いています。

それに加え女性の方は「他に女性がいる方が嬉しい」とよく言われるため、わかる範囲での女性の人数も書いています。

3.動画の撮影

開催の動画をそれぞれのカテゴリー1試合ずつ撮影し毎回その日の参加者への限定公開にしラインにアップしています。見たい方はラインをお伺いしています。開催終了時には動画のアップは完了していることが、ほとんどです。

4.音楽のこだわり

毎回こだわりの音楽を流すようにしています。元DJなど音楽好きの参加者の方に流してもらうことや、できる範囲でリクエストにも応えています。

5.一眼レフでの写真撮影

こちらも撮影後ラインへ当日参加者限定公開しています。掲載の許可を得たものだけトリミングしTwitter等に載せています。

これによりこちらから来てくださいとDMするのではなく、参加者の方がSNSに投稿してくださったり、SNSのアイコンにその写真を使用していただいたりすることで、口コミを生み、集客へと繋がっています。

最近ではpaypayを導入するなど日々アップデートを繰り返しております。

noteスポンサー↓:株式会社トップツーシステム様。湘南ベルマーレフットサルクラブのリボンマグネットなど販売。

個サルはスポーツ、フットサルの入り口

やってきたことを書きましたが、僕がお伝えしたかったのは自己満足でも自慢でもありません。ただの「こだわりが強すぎる」個サル業者です。そもそも僕がしていることが全て正しいとは思いませんし、環境が変わるとやり方も変えないといけないと思います。

お伝えしたいのは「個サルから変えていけることがあるかも」ということです。個サルは公園を走るのと同じように1人で始めることができます。スポーツの入り口であり、フットサルの入り口です。


入り口だからこそ楽しく、できれば実用的な練習会があったり初心者の方への配慮があるべきだと思います。楽しく開催することの定義については全員が笑顔になることが重要なのではなく、ベースとして安全面がどれだけ確保できているか、そのためのルール作りと落とし込み方がポイントだと思います。皆がすごい笑顔でも足を蹴られたり、すごい指示を出されたりする個サルは嫌だと思います。

真顔で黙々とフットサルをしている人でも毎週来てくださる方が沢山いらっしゃいます。そしてチームを作ってチーム名を考えたりユニフォームのデザインを決める会議をしたりして「もっと上手くなりたい」なんて思った時には競技フットサルの出番です。

フットサルにはフットサル特有の用語だったりコツのようなものがあります。それを覚えていくほど、Fリーグや地域の社会人リーグを観るのが楽しくなりそのレベルの高さに改めて驚くと思います。

僕自身もこれまで自分が所属したチーム含め、計3チームが競技フットサルである大阪府リーグに参入しました。その選手含め、個サル参加者の方を各都道府県のリーグに紹介した人数は100人を超えています。改めてフットサル発展のために個サルにできることは何があるでしょう。

個サル事業者の方には、フットサルへの理解が深まるように4秒、5メートル、バックパスルール、人数を守って、フットサルとして運営してほしい気持ちです。またFリーグも(個サルはフットサルの入り口のため)、集客のためにもっと個サルを利用できるのではと思っています。

個サルを通して沢山の出会いがあり、チームが生まれ、ドラマが生まれました。小さな思いからバタフライエフェクトのように世界が変わるのを体感しました。いつも「人に恵まれているな」と感じます。時々でも顔を出してくださることが嬉しいです。深く感謝しています。

お読みいただきありがとうございました。
大阪ゆる個サル 北本哲也

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