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唯一Fクラブがない四国地域でフットサルの発展を考える~四国の指導者3人と意見交換会~

こんにちは!今回は四国のフットサルをテーマに選びました。

北海道から九州まで全国9地域の中で、Fリーグディビジョン1、同2のクラブが唯一ないのが四国です。

全国大会でも四国勢は結果が思うように出せていないですが、熱心な指導者がいることは知っていたので、初めて四国リーグを観戦した後、現状や課題、将来へのビジョンを指導者3人に聞いてきました。

試合のマッチリポートについては9月3日に公開済みです⏬想定以上の方に読んで頂き、拡散協力して頂いた皆様のお力添えです。

それでは意見交換した3人を紹介します。

佐賀博幸さん

徳島県出身、35歳。四国リーグ所属の「FC STORY Tokushima 」代表兼監督。四国で唯一のフットサルA級ライセンス保持者。フットサル専門スクール「Fut STORY」運営している。監督歴では、「Fチャレンジリーグ」に2年在籍した「徳島ラパス」(解散)、徳島県フットサル選抜男女監督 など。

藤岡心太郎さん


愛媛県出身、37歳。四国リーグ所属の「東温K-Luz」(愛媛)代表兼監督、フットサルC級。会社員の傍ら、愛媛県サッカー協会フットサル委員会副委員長、四国フットサル連盟大学部会長、愛媛県選抜監督を務める。

馬場裕太郎さん

広島県出身、31歳。香川県の「JOGO FC」や「Lucha Baile Kagawa」を経て、「Azul Ballena FC」(香川県1部リーグ2連覇中)を立ち上げ、同時に本格的に指導者としての活動を始める。フットサルC級、昨年に香川県女子選抜監督。会社員。

司会は僕が務めました。他地域の方々にも参考になるような濃い内容になりましたので、よろしくお願いします。それでは本文です。

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四国の競技レベルをどう引き上げるか

ひで:始めに全国9地域の中で四国の競技レベルについてはどのように認識していますか?

藤岡:率直に言って、一番下と自覚しています。社会人、選抜大会、大学、育成年代の全国大会で結果が出せていない。ここから我々がどう頑張っていくかは常々考えています。まず指導者が少ない。四国で指導者のA級ライセンスは佐賀さん1人、B級は6人、C級は58人。全国で最低水準の人数になっています。佐賀さんはどうみていますか?

佐賀:藤岡さん、自信持っていきましょうよ!うん、最低レベルでしょうね(苦笑)。競技人口が少ないし、育成年代でフットサルを経験する場がほとんどないのが現状です。選抜の全国大会に行くと、大学生でも「めっちゃうまい」って思いますね。若いのにフットサルの理解、技術が備わっていて驚きます。

僕は小学生から高校生まで通ってもらっているフットサルスクールを運営していて、50~60人を指導しています。サッカーと掛け持ちですが、U-15のメンバーが増えてきていて、来年度U-18を四国で初めて立ち上げる予定です。

ひで:四国で育成年代の環境をどう整えていくかが課題ですね。馬場さんには香川県リーグのレベルについて聞きたいです。

馬場:他県のリーグに詳しくはないですが、関西の府県トップリーグの動画を見ると、香川県のフットサルの質は低いと思っています。県リーグ(1部)では2年連続で優勝していますが、愛媛県リーグで優勝争いするチームと試合をすると、結構やられました。フットサルの戦術では香川県はまだまだで、フットサルに特化したトランジション、数的不均衡などの練習をせずに、個人の発想だけでプレーしている感じはします。

ひで:フットサル特有のトレーニングを導入できる指導者が県リーグでは、ほとんどいない現状のようですね。みなさんは最新の戦術など情報は、どのように入手していますか?

藤岡:仕事やフットサルの役員の活動で東京に出た際には、フットサル関係者に会うようにしていて情報交換はしています。ほかの全国8地域のいずれにも知り合いがいるので、聞くことはできます。あとは年に1、2回、元Fリーガーらのクリニック開催や、湘南ベルマーレのコーチに就いた村松裕樹さんが主宰するオンラインサロン「BARフットサル」に入っています。

自分が入手した情報を全て選手に伝えるというよりは、チームに合う、合わないもありますし、選手と相談しながらという感じです。「東温K-Luz」は大学生や大学フットサル部の出身者中心で、競技で公式戦は経験している。しかし、ちゃんとした指導者の下でフットサルを学んでいるかと言えば、そうではない。そこは厳しいところですね。

佐賀:フットサルのライセンスをA級まで取得した関係で、親交のあるFリーグ関係の人に話を聞いたり、ユーチューブで海外の試合動画を見たりですかね。最新の戦術はあまり追いかけていないというか、自分の教えているフットサルのモデルを修正していくのに時間を割いている。今なら「ボランチ」とかが流行っていて「いいな」とは思うのですが、自分のチームに合うかどうかの方が重要ですかね。

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指導者不足・・・学びの場に薄い関心

ひで:佐賀さんは四国で唯一のA級ライセンス保持者ですが、ステップアップしていった理由は?費用とかはどのぐらいかかりましたか?

佐賀:仕事がフットサルスクールなので、肩書としてライセンスも必要ですし、B級を取得したのもたぶん四国で最初だったので、四国の指導者として先頭を走らないといけない、という意識はありました。A級では前期、中期、後期合わせて、交通費や宿泊代、講習料などで計50万円ぐらいですかね。県協会から補助が出ればありがたいんですけどね。

ひで:県によっては補助が出るところもあるみたいですが、時間的、金銭的な負担もありますね。佐賀さんがツイッターで「A級ライセンスを取得しても徳島では何も変わらない」とツイートしてたのが記憶に残っていて、その真意は?

佐賀:あぁしましたね、波風立ててやろうと思って(笑)。SNSで発言が一人歩きするのは怖かったですけど、A級を取ったら周囲からもっと「どんな内容だった?」と聞かれると思ったんですよ。誰かに響いて、四国内で関わりが増えるかと思ったのですが、反応してくれたのは藤岡さん、馬場さんとか近い人だけで。今まで話したことがない監督さんとか、徳島の指導者が、これを機会に関わってくれたら嬉しかったけど、全然なかった。それは寂しいなぁと。

藤岡:愛媛などでクリニックを開催していますが、来る人が一緒という問題がある。それでも少しずつは参加者も増えていて、例えばサッカーの指導者が来られて「フットサルめちゃくちゃ面白い」と言ってくれることもある。自分だけというよりも、もっと愛媛、四国が強くなるためには、学びの場を持ってもらいたい。ライセンス取得なら四国外に行かないといけないけど、近くでクリニックなら「来てくれるかな」との思いがありますが、なかなか集まりません。

佐賀:フットサルのブランディング、僕らが下手なんかなぁ・・・。フットサルに理解がない人に振り向かせるのは、パワーがいるし、無駄な労力なのかな、とも思う。そんなこと言っていたら駄目なのかもしれないけど。

ひで:フットサルのブランディングは四国だけで完結するものではないし、全国の指導者が悩んでいるところだと思います。馬場さんは県リーグクラブの指導者として、フットサルの奥深さや面白さをどのように伝えていますか?

馬場:四国内の県リーグでプレーしている選手は、少し増えているのではないですかね。でも競技として上を目指しているクラブ、四国リーグと差を詰めたいと思っているクラブが、四国内の県リーグにどれぐらいあるか?自分たちはレベルの高い相手と試合ができる機会を増やしたいと思い、Fリーガーが参加するチームもある神戸の「裏全国大会」にも出場して、立ち位置がどれぐらいなのか確認している。

うちはサッカーはやっていたけど、Fリーグも四国フットサルリーグも見たことがない選手が入ってくるので、手っ取り早くフットサルの凄さ、面白さ、奥深さを感じてほしいと、県外にも出ています。2年連続で四国リーグ参入戦に挑戦しましたが、果たせなかった。実は香川県リーグは1部でも、プレーイングタイム15分です。年間で20分の試合をするのは参入戦だけで。選手に公式戦で20分の経験がなく、県リーグとは試合の強度も違いますし、そもそも県リーグのレベル自体を上げていかないといけません。

ひで:次は大学フットサル界について、四国フットサル連盟大学部会長でもある藤岡さんに現状や課題を伺いたいです。

藤岡:四国内で大学7チームが参加するリーグはあります。レベルが他地域と比べて、「すごく低い」ということではない。ここでも問題なのが、やはり指導者が少ないというところですね。学生自体も部活というよりサークルのような雰囲気があり、モチベーション、主体性がほかの地域と比べて足りないと感じる。大学の体育館が使えて、ジムもあって良い環境なのに「もったいない」と思います。

佐賀:指導に興味を持つ人が少ないんでしょうね。僕はコーチにはクラブから、全額お金を出して、サッカーC級・フットサルC級を取得してもらっています。自分は知り合いの女子チームから「指導してほしい」と呼ばれて、定期的に行くように。行くからには勉強する必要が出て、勉強すると楽しくなっていった。サッカーC級を取りに行ったら「今まで自分がやってきたことは何だったんだ」と思うぐらい衝撃的で、指導の奥深さを知った。選手は27歳でやめて指導の道に入ったのですが、タイプ的には少ない(笑)。

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「四国選抜」のFリーグクラブを

ひで:四国リーグの「FC miracle smile」(愛媛県)がFリーグ参入を目指しているようですが、ほかのクラブでもこうした動きは出てくるのでしょうか?

佐賀:具体案は何も無いですが、僕も将来的には男子、女子ともに考えています。男子はU-18を作って、そこからという構想はあり、チャレンジしたい。5年後とか。しかし、クラブを「存続」させることの方に時間が取られている状態では、正直難しいですが。

Fチャレンジリーグに2年間在籍した「徳島ラパス」では1年監督を務めましたが、結局なくなってしまった。母体が弱く、クラブマネジメントを支える人、モノ、金が回らなかった。お金の重要さも痛感したのですが、ラパスはゴレイロとFP8人の計9人+監督にメンバーを絞ることで遠征費を抑えて、夜行バスで移動、即試合という状態だった。厳しいですよね。

藤岡:クラブの存続では、愛媛大学などとの関わりがあり、部活を引退した学生たちの受け入れ先になっている。メンバーの8割が大学生で、就職で県外に出る選手もいて、入れ替わりは激しい。2年前にも在籍していた選手はたった3人です。

馬場:うちの場合は今シーズン当初7、8人になってしまって存続の危機を感じました。今は数年前から声をかけていた選手が、ポンポンと入ってくれて20人近くになりましたが。でも2年前からの選手は半分もいないぐらい。大学でフットサルやっている子が入る流れが定着すれば良いですが、県内を拠点にするクラブで取り合うようなこともある。サッカー強豪の高松商業高校でコーチをしているメンバーがいて、そのつながりで入ってもらうとかですね。

佐賀:パイプ大事ですね。僕は大学生のチームに無料クリニックで出向いて、裏設定は卒業後にクラブに入ってもらうこと(笑)。大学生に「怖い」と思われないように、すごいテンションで「いいぞ!ナイス!」と褒めて、楽しくみたいな。

徳島ラパスで監督をやっていた時は、四国の良い選手に「体制をどうにかするから来てほしい」と声はかけた。徳島の主要な3クラブには「四国発展の為に良い選手を預けてほしい」とプレゼンをすることも考えていた。「四国選抜」のような形にしないといけない。

藤岡:Fリーグのクラブを作らないと、四国地域は絶対強くならない。ただそれをどこがやるのか。協会や連盟、自治体とパイプを作っていかないといけないし、大胆なことも必要になってくるのではないか。色々やろうとしても、自分が熱意を伝えるのが下手というのもあって、トーンダウンしてしまう。ほかの県に比べれば、愛媛は体育館でフットサルできる環境はあるので、頑張りたい。

馬場:佐賀さんが指導者講習を開いてくれて、参加することで指導者の面白さを自分は感じてきたので、指導者同士でレベルアップできるような取り組みを継続していきたい。

佐賀:「何も環境は整っていない」「すべてが足りない」と言いながら、自分たちはどこまで手をつけてきただろうか。育成年代のことをようやく考えはじめて、やっとスタートラインに立ち始めたという現状ですし、色々行動していきます。

ひで:みなさんありがとうございました。四国は他地域と比べて育成年代でフットサルをプレーできる環境が進んでいないという現状の改善が、早急に打つべき対策と感じました。若年層からフットサルの個人戦術、チーム戦術に触れている選手が、大学生や社会人になれば、レベルの違ったフットサルを展開できるはず。僕も微力ながら「伝えること」を続け、四国のフットサルが発展していく手助けができればと思っています。

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