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一冊の本が増えた話

どうも、顔の無いポエトリーラッパーの93poetryです。
いきなり本題ですがまずこの曲を聴いて下さい。

Lyric/Vocal:水井しろめ
https://twitter.com/mizuishirome
Track:バーチャルねこ様
https://www.youtube.com/channel/UCKDHdDpoE9lurDuyAGAuNnw
Mix:Itsuki Miyamura様
https://www.youtube.com/channel/UC07nNRaPO53ZZhVFLxs7LyQ
https://twitter.com/dmmc884
Illust/Movie:水井軒間
https://twitter.com/mizuinokima
※概要欄から引用

僕の作品である「ししゅう」を水井しろめさんがカバーしてくれました。
まずは感謝の言葉を……本当にありがとうございます。

これから話すのは僕の感想です。
本の感想がそれぞれ違うように、曲の感想も人によって違います。
あくまで解釈の一つだと思ってください。僕が聴いた、読んだ、彼女の一部分の話です。

まず全体の話になるんですが、「ししゅう」は僕の希望を詰めた曲でこれまでの曲とは少しテイストが違います。
縫い付けるように、ゆったりと漂う死の匂いから逃れる為に、始まりから終わりまで「手の届かないありもしないこと」を歌いました。
しろめさんも「希望」を歌っていますが、でもそれは彼女がもがき辿り着いた少し先に見えているものだと感じました。
それをこの曲で書いて話してくれたのは本当に嬉しいです。

僕の「ししゅう」のアウトロには一つ、深呼吸する音が入っていますが、この曲ではイントロで深呼吸が数回入っています。
僕の深呼吸が歌い切った安堵だとすればしろめさんのは覚悟の深呼吸なのかなと。曲を通して聴けば何の深呼吸だったのかって解釈ができると思います。
リリックに関して言えば原曲をカバーしてもらった上で全てちゃんとしろめさんの色に染められていています。
インストを公開しておいて言うのもちょっとアレなんですけど、多分ポエトリーのカバーってめっちゃ難しいと思うんですよ。
思想というかその人のカタチが強く出てしまって一歩間違えればグチャグチャになってしまう、そんなジャンルだと思います。
トラックもバーチャルねこさんの世界観が出てるので余計にそう思います。
でもしろめさんは「自分」を痛い位ちゃんと出してくれていて、スッと心に入ってきました。


「残り13ページもあるかほんとはわからないんだ」

2verse目の始まり。
13ページ「も」と書いているところで、どうにかなりそうなくらい感情を揺さぶられてしまいました。
正直な話、僕はしろめさんの事をあまり深くは知りません。
でもこの2分32秒の短い彼女のお話は、それだけで苦しかったのか、生きづらかったのか、どうしようもなかったのかが伝わってきました。
恐らくは僕よりもずっと、それを抱えて生きている。
だからこそ3verse目のリリックがどうしようもなく輝いて見えました。
hookのたった一文だけ変わった「それでいいんだよ」がとても愛おしく思えました。
hook、僕の曲にはほぼ存在しないメロディを使ってで歌われているんですけどそれがまた良いんです。声の揺らぎから感情が伝わってきて、「曲」としての強さを増している。
僕は歌を歌わないので、ここはちょっと嫉妬しました。素晴らしすぎて。

これだけ並べても、曲を聴いた感情はすべては書ききれません。
そして的外れなのかもしれません。
なのでこのnoteを読んでいる「あなた」に聴いて、読んで欲しいのです。
そうじゃないと、彼女の「あなた」に宛てた言葉は届かないと思うので。

以前、「ししゅう」はyopiさんにRemixして頂いたことがあります。

yopiさんは「再解釈」というEPにこの曲を収録してくれました。
僕の言葉を分解して組み立てて、再解釈をしてくれたこの楽曲はテイストを残しつつ別の曲になりました。
僕の知らない、僕の世界を見せてくれました。

しろめさんのカバーは「しろめさん」の世界を僕に見せてくれました。
水井しろめという一冊の本を読ませてくれました。

この「ししゅう」は、僕の本棚に大切に仕舞わせて頂きます。
そして何度も、何度も読み返すでしょう。
願わくばその時の彼女が、今よりも元気でいますように。

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