痛みと生きる葛藤、悟り₋1(「夏の葬列」)

作家 山川方夫は戦中を生き抜き、作家として様々な作品を輩出するも34歳(1965年2月20日死没)で夭折した。

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代表作のひとつ『夏の葬列』(ミステリー誌「ヒッチコック・マガジン」1962年8月号掲載)は、上の二冊でも楽しむことが出来る。
中学校の国語教科書にも採用され、衝撃的とも言える内容から異彩を放つ。夏の日差しの中、陰影の濃い風景と人物が一枚のスナップに写されたような小品。webの作品概要には「大東亜戦争の終戦間際に起きた、一つの悲劇を扱った物語」とあるが、それだけに留まらない。クールな筆致の底にマグマのような熱がある。戦争の記憶を「現在から追放し、過去の中に封印してしまって、身を軽くすることは出来ない」と、日本という国と日本人に告白し、痛みと共に生きる葛藤悟りを克明に刻む。



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