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くちなし書房
2023年5月17日 23:36
*最近元気の在庫もない、製造ラインも止まってるなんて話をお友達としてた。自分じゃどうしようもない悩みが、忘れていただけでずっとあったこと。最近また思い出して、元々自分を許せたわけじゃないけど、やっぱり、自分のことをなんだか許せなくなった。「私ってなんなんだろうね。」ずっとそんな、すぐには答えが出ないような、出さなくてもいいようなことを考えてしまう。でも少しは、気分が良くなっ
2023年1月17日 22:43
電車の電子表示が横に流れていくのを、ただ茫然と眺めていた。暗いと言うか、モヤのかかったような、なんともいえない気持ちの渦に飲み込まれていく感覚が、祭囃子の音に慣れていた耳に妙に纏わりつく。最寄駅まではあと8駅。いつもならすぐに着くはずなのに、今日は何故かすごく長く感じる。出所のわからない消失感を何度も噛みながら窓にもたれかかって外を見た。「私は、どこへ行きたかったんだろう。」
2023年1月15日 23:14
ほんの少しのことでも、ほんのわずかな違いでも、違和感を持てば気になって仕方がない。耳に纏わりつく音、花にこびり着く匂い、目に焼きつく目前の光景、砂を噛むような味、虫が歩くような感覚。全てがどこかおかしいのだ。この感覚が、本当に感覚器から伝わってきた信号なのかすらを疑う。偽造された信号が、何か空の方法を使って脳に送られている可能性だって必ずしもないとはいえなさそうじゃないか。聞こえた
2022年12月11日 19:59
*風が冷たい。太陽は暖かい。それでも、なぜか、何かが足りない。少しも違う事はないはずなのに。何かが足りない。風の匂いは懐かしい。一昨年の匂いがする。チョコと温かいコーヒーを思い出す。それに、誰かがいたようなにおいがする。あの時、一緒に居た人は誰なんだろうか。もう思い出すことはない。まだそこに、ずっと、一緒に居るような気がするのに。—コォォォォォォ—お湯を沸かす
2022年10月8日 17:18
ある冬の話。本当の話。私は、病みに病み、じわじわとこの身から精神が離れていくのを知覚しながら、なんでもない一日を、何日も何日も過ごしていた。きっかけは失恋だった。と言うか、失恋を理由にしているだけかもしれない。失恋よりも前に、もっと酷いことがあったのは事実だが、追い討ちを喰らった。私は、一人の人が離れていくだけで、こんなにもボロボロと醜態を晒すような奴であることは、自分でもわかっ