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居場所

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💡初の連載ものです!お話の数は少ないので空き時間にどうぞ!(完結しています!) 長さについて:1500字までの分量で構成されています 静かで誰にも邪魔されない場所を求めてふらふ…
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居場所 —はじめに—

—簡単なあらすじ— 気づかれした私が、静かで誰にも邪魔されない場所を求めてふらふらと立ち寄った図書館から始まる自分の居場所についてあれこれ考えるちょっと温かいお話。 —はじめに— 大学の授業終わり、帰り道に立ち寄った鄙《ひな》びた図書館で手に取った一冊の小説をパラパラと立ち読みをしていた私は、ぽっかりと穴が開いた心を、言葉で塞いでいた。 「最近はよく本を見に来てしまうな。」 そんなことを思いながら文字をなぞっていたが、ある言葉で手が止まった。 —あなたには居場所だと

居場所 —本—

一、本 大学生になって、本屋に行くことが多くなった。 事の発端は、誰にも邪魔されない静かな場所を求めて立ち寄った図書館だった。 少しずつ本に触れる機会が多くなっていく私の話。 田舎で育った上に、持病のせいでまともに中学に行けず、高校は通信課程のある学校に行った私は都会の方にある大学に進学した。 今までできなかったことができると嬉しいな、なんて少し気合を入れすぎなぐらいの心持ちで入学した私は、すぐに、前みたいに、自分が嫌になってしまった。 というのも、自分と周りとの色々な

居場所 —部屋—

二、部屋 私が中学の頃、そう、学校に行けなくなった頃、自分の部屋にはお気に入りのもの、好きなもの、心が落ち着くものでいっぱいになって、はいなかった。 6畳の自分の部屋で過ごす時間が自然と多くなってきた私は、机の位置と寝床の位置、ちょっとお気に入りの小さいライトの位置を週に一回とか、三日に一回とか変えてみて、一番しっくりくる位置に置いていた。 それで、やっと、自分に部屋が落ち着く場所になった。 決して明るい部屋ではなかったけれど、むしろその少し薄暗い部屋の雰囲気は落ち着

居場所 —人—

学校に通えなくなる少し手前、保健室登校という形で学校に通えていた。 保健室登校をしているときは、朝礼と終礼、昼休み以外はほとんど教室に顔を出すことはなかった。 特にいじめられているわけでもないし、誰かと喧嘩をしたわけでもない。 なのに、教室の中は変に居心地が悪かった。 少し怖いのだ。 みんながわからなかったのだ。 周りが何を考えて、何を思っているのかわからなくて、それがすごく怖くなっていった。 「行かないと。」 教室には私の入るスペースは見つけられなかった。

居場所 —あとがき—

『居場所』をすべてお読みいただいた方、ありがとうございます。 まだの方は、ぜひ読んでみてください。 さて、私の経験をもとに書いた「居場所」は、本、部屋、人、の順で投稿してきましたが、この3つの話には位置づけがあります。 「部屋」は過去の話、「本」は今の話、「人」は過去を思い出して感じたことの話で一応この先の話という位置づけになっています。 作中では周りとは違うとか、傷ついたとか、そんな暗いことも多く書かれていたかと思いますが、前まではそれがとても自分の嫌なところだったん