PNC サモア戦
完勝?
どうにも、スポーツメディアの書くラグビーの結果の完勝、完敗がしっくりこない。
内容の事を言っているのか?スコアの点差を言っているのか?
完勝の意味を調べると完全な勝利、一方的に勝つこと、とある。
そう意味では、サモア戦を完勝と言って良いかは疑問ではある。
ただ、最初のスコアからあまり負けることをイメージする事はなかった。と言う意味では完勝なのかもしれない。
結果は、49対27。3トライ、3ゴール以上の差を付けている。
試合の振り返り
試合は、開始早々に動き出した。
開始6分にライリー選手、10分に認定トライといきなり14点差をつける。
中継で見た感じだと、かなり風が強そうでこれが日本代表には、幸いしたと見ている。
日本代表のように、素早いパス回しをするチームにとっては、風上でパスが食い込んでくるのは厳しい。
勿論、相手陣地内で戦うためには、ワンキックですぐに敵陣に入れる風上は一般的には有利だ。だが今日のような強風だと、蹴る方もコントロールしにくく、変に判断を迷う事なく、腹を括って展開する事を選べた点は良かったのではなかろうか?
また、慣れないところで風上で、サモアがキャッチングミスをする事で、前半から極端なまでにキッキングゲームの時間が少なくなった事も幸いしたと思う。
PNCに参加するチームの中でも、フィジーを除くアイランダー系(サモア、トンガ)北米系(アメリカ、カナダ)には、日本代表は割とディフェンスがしやすいのかも知れない。
得に、トンガやサモアには、学生やリーグワンに参加している選手も多く慣れていると言えるのかも知れない。
それでも、前半は2PGを与えたものの1トライ。
後半も失速する事なく、後半開始早々から14点差以上を確保し続けたのだから、負ける気がしなかったのも事実だろう。
負けている方は、14点差以内ならいつでも逆転出来るというモチベーションでいられる。21点までなら、一本取れば14点差まで詰められるという気持ちと、勢いでなんとか踏ん張れる。
しかし、21点以上離されると、無理に大きなプレーを狙いにいったり、焦りでミスが出る。そして、勝っている方も、いつも通りのプレーをすれば良いという安心感を持ってプレー出来る。
後半の21点差以内、のスコアで戦ったのはわずか10分に過ぎない。
フロントスリーとFBのポジション争い
大躍進を遂げた、2019年W杯でのフロントスリー(SO、CTB)は、田村選手、ラファエレ選手、中村選手と全員が、SOもしくはSO兼任のインサイドセンタータイプの選手だった。
本来、日本の展開ラグビーを体現するには、この組み合わせは最高なはずである。
しかし、2019年から2023年の間に(コロナの影響の有無は置いておいて)ワールドラグビーのフィジカルの強度がかなり上がった。
ラファエレ選手、中村選手で安泰と思っていたCTB陣は、両名のコンディション不良も重なり、固定する事が難しかったのが、2023年大会での苦戦に繋がった、と思っている。
勿論、この間、何も手を打たなかったわけではなく、本来アウトサイドでの活躍を期待されていた中野選手にインサイドとしてプレーさせるなど、手を打つには打っていたものの、あまりにも時間がなく、整備が間に合わなかったというのが、実態だったのではないだろうか。中野選手が、コンディションの問題で代表だけでなく、サンゴリアスでも出場機会を失ったのに対して、早稲田時代には中野選手の相方の、インサイドセンターとして、地味で目立たないが良いプレーをしていた長田選手が、アウトサイドセンターとWTBをカバーする事によって躍進したのは皮肉なものだ。
そういった意味では、年齢的なものはさておき、フィジカルが強くキックも蹴れて、判断力にすぐれる立川選手は、現段階ではエディー監督が志向する「超速ラグビー」には打ってつけの人材かも知れない。
また、ほぼインプレー内のキックが、SOからだけだったのに対して、李選手をFBに持ってくる事で、キッキングゲームでも蹴り負けない、且つ攻撃的キックを使えるメリットが生まれ、相手チームは、ディフェンシしづらくなったのは事実だろう。
そういう意味では、高校時代SO経験者で、キックも蹴れてフィジカルの強い梶村選手が、国際舞台でどんなプレーをするか、見てみたいと思ったりする。また、中野選手の復活にも期待したいし、天理大学時代に藤原選手と不動のHB団を組んでいた松永選手も、SOとFBをこなせる選手として。代表で見てみたい気がする。
なんにせよ、エディー監督は、各チームが育成した選手をセレクトして、差配するだけなく、新たな可能性へのチャレンジや代表活動を通じた、選手のポテンシャル向上まで手を伸ばそうとしているのは間違いないであろう。
これから、どんな選手が、どのようなポジションで試されるのか期待してみてみたい。
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