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【INDY】インディ500レース決勝    コロナの向こうに見えた感謝のチェッカー

“2021年はここで会いましょう!”

今年のインディ500が終わりました。結果は皆さんすでにご存じでしょう。
佐藤琢磨選手とレイホール・レターマン・ラニガン(RLL)のチームが、見事に優勝を果たしました。TV中継はもちろん、ネットや新聞で喜びの様子が日本にも届いていることと思います。僕もいろんなストーリーがありすぎて、どれだけページがあっても足りないのですが、僕なりにいつものように書いておきたいと思います。

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この風景を見たかったのか、見たくなかったのか。無人のスタンドを前に並ぶ33台のマシン。インディ500だけは絶対見逃すまいと日本から来たわけですが、いざこの景色を見ると複雑な気持ちになりました。いよいよレースが始まるという気持ちと、スタンドに30万人のファンがいない寂寥感‥‥。
例え僕の気持ちがどんなであろうと、この風景はしっかりとカメラに収めなくてはいけません。50年か、100年か後に、この写真を見た人が何かを感じてくれるでしょう。これが2020年のインディ500のスタート前の景色です。



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選手たちが並び始めてセレモニーが始まります。初めて日本人ドライバーがフロントロウに並んでいますよ。この後、神父さんのお祈りや国歌の斉唱など淡々とスタート進行を進めて行きました。
そしてスタートのコマンドは、ロジャー・ペンスキーおじさん。
“インディファンの皆さん、あなたたちはここにいないが、我々の気持ちはあなたたちと共にあります。2021年、またここで会いましょう! Gentelmen, Start your engins!!”  こんなコマンド聞いちゃったら、もう涙出そう😢 
33台のエンジン音が胸に響くのでありました。


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アメリカ空軍のサンダーバーズ。ブリックヤードの空を飛んで行きます。
かっこ良かった。すごく、かっこ良かった。東京の空をブルーインパルスが飛んだ時のように、何か地上の思いをどこかに連れてってくれるような、そんな気持ちになりました。レースカーにはない、飛行機の不思議な魅力です。


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もしかすると、しばらくインディ500には来ないフェルナンド・アロンソ。
今年も苦労しました。F1では経験しなかったようなラップ遅れの屈辱を味わうなんて‥‥。仮にクラッチのトラブルがなくても、上位を走っていたかどうか。インディ500の難しさを今年も味わって帰ることになりました。
フェルナンド、いつでも戻って来てください。インディ500は歓迎するずらよ、たぶんw



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レースはスタート直後からスコット・ディクソンが快調に飛ばしました。
さぁ、TSさんはどんな方法で勝負を仕掛けるのか? 前に秘策はあるのか?って書いたけど、どうやら秘策はあったようで‥‥。その名も鷹の爪作戦!w
最後の2スティントはディクシーとTSさん、それと追いついて来たグラハムの勝負になっていきました。



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レース途中、撮影ポジションを移動しながら外を見ると、多くのファンの人がフェンスにしがみついて見ていました😢。もうありがたいというか、ごめんなさいというか‥‥。インディ500がどれだけ愛されているかがわかりますね。来年はスタンドで応援出来ますように。



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TSさん専属の百井浩平トレーナー。居眠りしてるのではありませんよw
レース終盤は、TSさんとディクシーの一騎打ちに。最後のピットが終わってからずっとスクリーンを見ながら応援していたんですが、もう見ているのが耐えきれなくなってしまいました。よく言えば感受性が豊かで、悪く言えばチキンハートw   浩平さんも2013年からずっと支え続けてくれるひとりです。
このコロナで大変な中、子供達をカリフォルニアに残してレースに帯同してくれてます。インディ500にかける思いは、ひとかたならぬものがあったはず。浩平さんの気持ちをインディの神様が聞き届けてくれたのでしょうか。



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残り5周でイエローコーションのため、ペースカーに先導されてチェッカーを受けるTSさん、ディクシー、グラハムの3台。その向こうのグランドスタンドに人の姿はなく、歓声も喝采もない静かなチェッカーです。琢磨選手の勝利を現場で見られた人間が少なかったのが残念でなりませんが、決して勝利の価値が褪せるものではないでしょう。これも2020年の瞬間なのです。



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ビクトリーサークルでマシンから降りると、ん? 酔拳か?と思いましたが、あ!グリコのポーズだ!とすぐに思い出しましたよ、約束していたことを。まさか本当にやる時が来るとは!! 
1レースで2度美味しい。グリコさんは大喜びでしょうw



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Kiss the brick のセレモニーで。アメリカと日本を象徴するような写真じゃありませんか。でっかいアメリカの大男に、ちっちゃな日本人。このでっかい男たちが、この日本人ドライバーを支えて今年のインディ500を制しました。マイクさん、レターマンさん、ボビーさん、日本のファンはあなたたちに感謝しています。



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2017年にはなかったプレゼント。表彰台のセレモニーでTSさんが一番喜んでいたのが、サンダーバーズの隊長からもらったナンバー1のバッジ!
いいなー、いいなー。これは欲しい!!! ちょーうらやましい!


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今回はエディさんの作ったクルマも完璧。ピットストップも完璧。予選で見たように着々とレースに向けて作戦を考えて、盤石のレース運び。チーム全員の力で勝ち取ったインディ500の勝利でした。おめでとうございます!
レイホール・レターマン・ラニガンは本当に良いチームになりました。



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あの時の忘れもの

2012年のインディ500。最終ラップでトップのダリオに挑戦したTSさんはスピンしてクラッシュ、優勝を逃しました。でも「お前を誇りに思うぞ」と言ってくれたボビーさん。当時のRLLに最高のプレゼントを届けるはずだったのに、それはお預けとなったままチームを離れることになりました。あれから8年。TSさんは2017年に自分の悲願を達成しましたが、チームはインディに忘れものを置いたまま。TSさんは今年ようやく、その忘れものをチームに届けることが出来ました。本当に良かったですね。
まさに走る遺失物相談係w



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日曜日の夜はレースの後4時間(!)続くメディア対応の嵐。本当に大変でした。最後はメインゲートの前で撮影だったのですが、それを聞きつけて待っていてくれた在米のファンの皆さん。音しか聞こえなかったでしょうに、本当に応援ありがとうございましたm(_ _)m 来年は一緒に応援しましょう!




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今回一番美味しかったのはグリコさん説は置いといてw  カップヌードルさんも、ヤクルトさんも、スポンサーの皆さんありがとうございます! 今回の勝利で恩返し出来たでしょうか? アメリカにいる間も、僕は商品買って恩返ししますね。ちなみにおたずねの多かったカップヌードルのTシャツですが、アメリカに来る前にUクロさんで見つけて仕込んでおきましたw   もう売ってないかも〜。在庫はあるのかな?




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“Sato が勝ったら、君も来い!”

今年ビクトリーサークルのセレモニーの場所が変わったのはお気づきだったでしょうか? 上のパスはそのビクトリーサークルに入るためのパスです。
この場所に入れるのは、10人いるかいないか。これを巡ってメディアは争奪戦を繰り広げるわけですが、IMSのフォトグラファーが僕に「Satoが勝ったら、君もこれを持って入っておいで」と30と書いたパスを渡してくれました。なんともうれしいお言葉。もうウルウルです😢 予選フロントロウの時もそうだったように、彼らはここに来るまで僕らの苦労をよく理解してくれました。

今回の取材は本当に人の優しさに触れた日々でした。日頃素知らぬ顔をしているようで、ちゃんと見てくれてたんですね。ありがたい話です。
レース後、琢磨選手が「感謝の言葉が見つからない」と言っていましたが、
まさにその通り。そしてこんな望外な結果が巡ってくるなんて。ビクトリーサークルでは、感謝の気持ちでいっぱいになりながらシャッターをきっていました。

実るほど頭を垂れる稲穂かな、ではありませんが、琢磨選手がみんなに感謝していたように、ロジャーさんがファンに感謝していたように、こんなコロナ禍の状況だからこそ、人の優しさが身にしみるインディ500でした。

もし僕がインディ500に来るのを、アメリカに来るのを諦めていたら、
写真が撮れなかっただけでなく、この人たちの優しさに触れることもなかったでしょう。コロナはすべてを変えてしまったかもしれませんが、人の優しさ、強さも浮き彫りにしてくれました。そんな何もかもが、また新たな歴史の1ページとして、ブリックヤードに染み込んでいくんですね。



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このリストバンドは、スピードウエイに毎日入る時にチェックを受けた証です。下の問診票を書いて体温測って、OKだったらリストバンドを巻いて入場できます。体調も問題なかったし、健康で2週間過ごせました。

有森裕子さんじゃありませんが、今回ばかりは自分で自分を褒めてあげたい。よく耐えて頑張りました、マツモトくんw   まさか最後にこんなご褒美までもらえるとは思わなかったけど、長い取材人生の中でも、2020年のインディ500を忘れることはないでしょう。
皆さん、本当にありがとうございました。いい取材が出来ましたよ。

このリストバンドはずっととっておこうと思います。何かの時にこれを見たら、あぁ〜あの時頑張ってたよなぁ〜オレw って、少しだけ悦に入ることが出来そうだしねw


※今年のインディ500のお話はここまで。
前回の時に、決勝レポートを読んでサポートしていただいた方の中から、抽選でインディのお土産をプレゼントをするお約束をしましたね。ぜひご応募ください。タイムリミットは、次のnoteのストーリーがアップされるまで。次回はゲートウエイのレースの予定ですよ。応募お待ちしています!たくさんと多額の(爆)サポートお待ちしていますm(_ _)m

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