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「若いうちの悩みは、質が悪い!」 VENTURE FOR JAPAN 若きリーダーと学生の、熱い対談

こんにちは!林潤と申します。大学生です。

VENTURE FOR JAPAN(以下VFJ)という、若者の起業を応援する事業の中で、今年5月に作られたコミュニティ「E.A.T.」1期生として参加しています。現在学生同士でプロジェクトを組んで活動しています。


7月23日、VFJの1期生として、株式会社鮮冷新規事業立ち上げをされている、武田侑也さんにお話を伺いました。

武田さん冒頭

そちらの様子をレポートしていきます。

武田さん プロフィール

武田侑也(以下武田さん)
1993年生まれ。
VFJ1期生として株式会社鮮冷に入社。
経営者の右腕として、新規事業立ち上げの担当を任される。
現在「感謝と恩返し」をテーマに、新規事業であるEC事業「さかなぐ」を今年リリース予定。

現在私自身が、E.A.T.の中で「温かみ」をテーマとしてプロジェクトを進めている中で、実際に新規事業立ち上げをやられている方のお話を聞きたい、ということで、今回の対談が実現しました。


理念を明確にする方法

まず、武田さんが、どのように理念を明確にしたかについてお聞きしました。武田さんは、「理念というものは何か」を明確にする必要があり、そのためには、ミッション・ビジョン・バリューの3要素が必要であると語ってくださいました。

武田さん  理念

武田さん:そもそも、理念という言葉は、すごく曖昧なものだと思っています。理念と一口で言った時に、人によって指しているものが違ったりするんですね。
そこで、僕は3つの要素に分けて考えています。それが、ミッション・ビジョン・バリューです。

ミッションとは、「私たちは何のために存在しているのか」、つまり存在意義です。今僕がやっている事業で言えば、「女川町の水産物を直接届けるため」となります。ビジョンとは、「プロジェクトを通じて、どういう社会を作りたいか」、目指している世界のことです。僕は、「感謝と恩返しが溢れる世界」と定義しています。そしてバリューとは、「何を大切にして目指す社会を作るか」、行動指針に当たります。若者だからこそ、水産業にそれまでいた人の常識に囚われずに行動できる。それが自分の中でのバリューでした。

これを一つにまとめると、「私は、女川町の水産物を直接届けるために、感謝と恩返しが溢れる世界を目指します。そのために、これまでの常識に囚われずに行動していきます。」となります。これが自分にとっての理念となっています。一般的には、ミッション・ビジョンが一緒になることもあります。


悩む前に、動け!

次に、そもそも「感謝と恩返し」というテーマがどのようにして生まれたのかについてお聞きしました。元々「感謝と恩返し」というテーマがあったわけではなく、サービスが先に思いついて、そこからテーマが見つかり、しっくりきた、といいます。そこから、仮説・検証を繰り返す大事さを教えてくださいました。

武田さん 爆笑

武田さん:理念からサービスが生まれるパターンも、サービスから理念が生まれるパターンもどっちもあります。そして、理念とサービスは行き来していいと思います。僕は、新規事業立ち上げに当たって、個人の課題観からアイデアを何個も仮説・検証していきました。何が課題かというのは実際のところよくわからないんですよね。

よく「悩む前に動け!」って言われますよね。僕もそう言われたのですが、でもどう動けばいいのかが全然わからないでいました。その時に、『鬼速PDCA』という本を読んだんです。Plan(計画)→Do(実行)→Check(確認)→Adjust(調整)のPDCAサイクルをとにかく回すというものです。
悩んで、時間をかけて一つの計画を練るのではなく、とにかく仮説を立ててみようと思いました。

実際仕事をしていて、100人中100人が共感できるアイデアはなくて、100人中1人に強く共感してもらえるアイデアを生み出せるかというのが大事だと感じます。


仕事を自分ごと化するには

続いて話は、仕事のモチベーションへと移っていきました。武田さん自身、仕事にやる気が持てない時期が、何度もあったといいます。そんな時に一体どのようにしていたのかお聞きしました。

武田さん 考え中

武田さん:アイデアを出した時に、自分がそのアイデアを実現させたいかどうか、自分ごと化できるかどうか、というのはすごく大事だと思っています。たとえアイデアが素晴らしい発想のものであったとしても、実際に自分がやりたいかどうかは別問題です。自分ごと化が出来ないプロジェクトをやるのはとても辛いです。プロジェクトを前に進める「やる気」がなかなか出ません。

あと、自分ごと化するに当たって、辛い経験・思いはすごく大きく関係します。好きなことを探して、それで見つかったものをやっても、なかなか重みがないことが多いです。僕は、自分の中で大きな痛みになった経験があったので、「この思いを他の人にさせたくない」と頑張ることが出来ました。

林:なるほど。新規プロジェクトを起こすメンバーが複数人の場合、メンバーそれぞれが自分ごと化するにはどうすればいいでしょうか。

武田さん:不用意にメンバーを増やすことはしない方がいいと思います。メンバーで温度差が出てくるというのは起こりやすいことなので、増やすことには慎重になった方がいいです。とはいえ複数人でやる場合は、お互いの辛かった経験や実現したい思いなど、メンバー同士で重なるような、土台となる思いを形成していくことが大事だと思います。


ビジネスの4段階

次に、スケジューリングについてお聞きしました。新規プロジェクトを進めるに当たって、どのようなステップを踏んでいく必要があるのかを、具体的にお聞きしました。

武田さん スケジュール

武田さん:何かサービスなどをローンチするまでに、4段階ステップを踏む必要があります。

まず1段階目が、課題・仮説の検証。色んな人の課題観を知るためにインタビューもします。そこで大事になるのは、理想と現状のギャップを聞くこと。理想の状態はどういう状態なのか、と聞くと、特にこのコロナ禍においては、理想状態は「普通に戻ること」だったりします。必ずしも新しいものを求めているとは限りません。

2段階目が、価値提案と解決策の提供。インタビューして感度が高かった人に実際に試してもらったりもします。「実際に使いたいと思う?」と聞くだけだと、あまり本音は聞けなかったりします。友達などにインタビューして、「これどう思う?」と聞けば、おそらく「いいじゃん!すごいね!」や「頑張って!」などの反応が返ってくるかもしれません。でも、実際に試してもらうとなると、参加してもらえる人は少なくなりがちです。

価値が提供できるようになったら、3段階目の市場投入、そして市場に投入した後、4段階目の改善があります。ここは今まさにやっている最中です。

僕の場合、今取り組んでいるプロジェクトで、1段階目が1ヶ月から1ヶ月半、2段階目に2ヶ月程かかりました。まずサービスやプロダクトをリリースする日にちを決めることが大事です。「年末」とか「何月」とかではなく、日にちまで決めます。そしてそこから逆算して、ステップを組み立てて行くことで、スケジュールが明確になります。


明治維新の偉人達の名言

そして、武田さんに、モチベーションの回復方法についてお聞きしました。新規事業の立ち上げ、武田さん自身も途中で挫折しそうになった経験が何度もあったそうです。そのような時に、どのようにモチベーションを回復して、前を向くことが出来たのか、その方法をお聞きしました。

武田さん静かめ 修正版

武田さん:モチベーションの浮き沈みは、仕事にものすごく影響します。だから、自分が立ち返ることのできる場所を作ることが大事です。これは最近の自分のトレンドなのですが、明治維新を行った人の名言を見るようにしています。維新を成し遂げた人たちは、どのように事に当たっていたのか、というのを知ると、自分が今つまずいていることは、本当にちっぽけなものなんだな、と感じます。だから、自分ももっと頑張らなきゃ、と気持ちを前に推し進めてくれるんです。

でもこれは、やり方が一つなわけではありません。少し前までは、過去の原体験から来る、誰かを助けたいという強い思いが原動力になっていました。モチベーションは、アップデートする必要があると思います。何か一つの方法だけだと、モチベーションを保ちきれないので、色んな方法を試しながら、自分を更新していくことが大事ですね。


若いうちは、悩みの質が悪い

最後に、武田さんから「決める覚悟」についてお話頂きました。仕事において、意思決定はとても重要であり、難しいものでもあります。意思決定をどのようにしていくべきか、武田さんなりの考えを語ってくださいました。

武田さん 笑い

武田さん:意思決定って、重いものだと感じちゃいますよね。だから、軽くするのが大事だと思っています。決定するのに時間をかけるくらいなら、やってみた方がいい。そして、やってダメでも許せる文化みたいなものを作っておくことが、大事ですね。

この前記事で読んだのですが、「悩む」という行為は、科学的に、神経回路で出口を探している状態だそうです。「悩む」を抜け出すには、出口が必要で、その出口を見つけるためには、経験が必要なんです。40才とか60才になると、ある程度経験があるので、悩むことで出口を見つけることが出来るかもしれない。でも、若いうちは、経験がない。

若い人は、悩みの質が悪い
んです。いわば、何もない部屋の中で、ない物を探しているような状態。だから、悩むよりも、適当にでも決めてしまう。難しいことではあるんだけれど、ノリで決める。その精神を持っておくことが大事かな、と思います。


武田さんのお話から、リアルな体験に基づく、プロジェクトを進める上でぶち当たる壁や、前に進めていく上で必要なことを、沢山教えて頂きました。自分たちのプロジェクトで活かせることばかりで、本当に学びの濃い時間になりました。武田さん、貴重なお時間を頂き、ありがとうございました。


インタビュー後、武田さんの新規事業「さかなぐ」立ち上げに伴い、クラウドファンディングと、サービスの先行発売が開始されました。リンクはこちらから。



そして、VENTURE FOR JAPANのHPはこちらから。


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