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REIWA詩人パーフェクトFile④原島里枝、『詩と散文 人魚転生後BL&GLアンソロジー』

※「月刊 新次元」第35号(2020年4月)に掲載された記事の再掲です
再掲の際に一部を修正していることがあります
https://gshinjigen.exblog.jp/28963058/
http://geijutushinjigen.web.fc2.com/35watanabe.pdf

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いやはや、コロナ大変ですねコロナ。コロナウイルスは瞬く間に世界中へ広まり、今も終わりが見えない。私もね、33号の最後で宣伝した展覧会はできたんですけど、それに続いて4月に行う予定だった展覧会が延期になってしまったんですよ。延期だからまだ希望があるけど、周りには折角のイベントが中止となってしまった方々もたくさんいて、心が痛む。
私もサークル参加する予定だった文学フリマ東京も中止になったイベントの一つです。この日に向けて新刊を用意していた方々がたくさんいただろうに、悔やまれる。

そんな中で少しでも応援しようと思い、昨年11月に行われた文学フリマ東京で頒布された詩誌およびその主催者を紹介しますね。

その名もズバリ、原島里枝氏による『詩と散文 人魚転生後BL&GLアンソロジー』!

原島氏は『詩と思想』2020年4月号でも現代詩の新鋭として選ばれたため、知っている方は多いでしょう。私はそれよりもだいぶ前よりTwitterでフォロー・フォロワー関係でしたが、しっかりと対面したのは去年の文フリでした(私がサークル参加した去年ポエケットにもいたらしいが、会話する機会はなかった)。

兎にも角にも、まずは原島氏が発行した人魚転生後BLGLをご覧いただきましょう。

     

画像からもその完成度がわかるでしょう。そうです、今回は詩作品ではなく、そのパッケージたる同人誌を中心に紹介します。
まずもって目がいくのが表紙のイラストでしょう。これは「みこと」氏によるものです。現在のカルチャーを真正面から捕えたタッチのイラストでしょう。そうなんですよ、まずイラストがいいんですよ。ってのは絵が上手いということもそうなのですが、ちゃんと人々の興味を惹くものだということでして。商業詩集は素っ気なくて内容がわかりにくい、読書欲がさして湧かない表紙デザインのものが多いです。これは表紙に惑わされず詩自体を見てほしいという表れでもあるものの、自身の作品を世に広めようとしたときに何のプラスにもならず、かえってマイナスになってしまう危険性だってあります。その中において、このようにキャッチ―な表紙を設けた人魚転生後BLGLは称賛に値します。

また表紙の装丁も非常に凝っている。貝殻の裏側のような、独特なPP加工を施し、さらに冊子名を金の箔押し。角も丸く加工されている。さらにオビがにくい。オビがあるだけで本の豪華さが格段に上がる。

極めつけは遊び紙。

まるでジュエリーのようなこの紙はパールキルトペーパーという特殊なものです。エンボス(凸凹)加工はさることながら、名前にあるように真珠を彷彿とさせる乳白色が特徴です。

もちろんこの本の良さは表紙だけに留まりません。

本文も青い紙を使用しており、人魚というテーマにマッチしています。ロゴも特徴的です。「人」は袋文字、対して「魚」は灬が魚になっていたり空白が泡となっていたりと、特殊な形になっています。「魚」に関してはこの本に合わせてつくったものでしょう。こういった細部からも拘りが強く感じられます。

冊子内にはいくつかのフォントが使われています。その内、本文に使用されているものを調べてみると、おそらく「小塚明朝M」であることがわかりました。これはPhotoshopやillustrator、InDesignが作成したフォントです。単体での価格は1万以上、プロも使用する本格化であるため使用すれば画面が格段に良くなります。

さて、では中身はどうなのかってお話ですが、今回あえて語らないでおこうと思いまして。
なぜって、気になるならぜひ次の文学フリマへ行って買えばいいんですよ! 11月に開催予定ですし、そこまでにはコロナ騒動が収まっていることを祈りましょ。一応、待てないって方は原島氏の通販「月の未明」から購入が可能です。


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