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海外進出のパートナー”良い販売代理店”の探し方とは?!

どのような企業も、海外進出するに当たって真っ先に不安になるのは「見ず知らずの土地でどうやって市場を開拓していけばいいの?」という点ではないでしょうか。
そんな時、現地取引の仲介を担いスムーズに進めてくれるのが「販売代理店」です。
今回は、販売代理店の役割やメリット・デメリット、その探し方、注意点などを紹介していきます!

海外の販売代理店とは?

過去記事でもご紹介しましたが、海外進出には「直接貿易」「間接貿易」があります。
直接貿易は、ターゲットとする海外のお客に対して、商社などを介さずに自社と直接取引するスタイルです。
これに対して間接貿易は、ターゲットとしている国や地域に強い貿易商社や代理店経由で商品を間接的に輸出入してもらうスタイルです。
今回紹介する販売代理店は、間接貿易のひとつの形態です。海外の代理店や販売店と契約を交わし、自社の商品を海外に販売するために取引することを指します。販売代理店を利用することで、右も左も分からない海外の市場において競争力を発揮し、シェアの獲得が期待できるのです。
具体的にどのようなモデルがあるのか、以下見ていきましょう。

セールスレップ

自社では製品を購入せずに販売代行のみを行い、成功報酬のコミッションをもらうのが「セールスレップ」です。セールス・レプリゼンタティブ(sales representative)の略で、「セールス・エージェント」と呼ばれる場合もあります。
現地での商品の販売代理を行い、売上げから商品代金の10%~を手数料として受け取る形態です。セールスレップは、そのメーカーの商品を自分では所有しないという点がポイントです。まさに販売の代行だけを行い、成功報酬として手数料をメーカーから受け取ります。
アメリカや中国など国土の広い地域ではよく聞くスタイルで、州ごとに担当者が決まっていて、小売店向けに営業をかけてくれます。個人で活動している人、組織として運営しているところなど様々です。

エージェント

言葉の意味通り「代理店」です。セールスレップに近い形態ですが、販売代行だけではなく、売上げの回収やカスタマーサポートまでを行うところなど、フォローしてくれる範囲はエージェントによって様々です。
「貴社の商品を海外で販売するため、貴社の代理となって働きます」というスタンスなので、たとえばマージンも「固定費+経費+売れた分の〇%」など、かかった費用+人件費を要求されることが多い印象です。

ディストリビューター

自ら商品を購入し、所有した状態から再販するのが「ディストリビューター」と呼ばれるスタイルで、いわゆる「販売店」です。
いったん自分のものとしてその商品を購入したのちに、それをエンドユーザーである顧客に販売するのですが、このエンドユーザーは商品によって一般個人かもしれませんし、企業かもしれません。
メーカーの立場からすれば、ディストリビューターに商品を売って代金を回収した時点で、取引は終了したことになります。ただしその後、仮にディストリビューターがメーカー価格の何倍もの金額でエンドユーザーに販売したとしても、メーカーには何も言う権利はありません。
現地の広告費、営業費も先方持ちなので、現地の情報があまり入ってこないことがほとんどです。ただ、すでに販路を持っているプロ集団なので、販売力のあるディストリビューターを見つけられれば、半分成功といっても過言ではありません。ディストリビューターを探すために海外の展示会に出展するという企業もいます。

最近は、「ディストリビューター(販売店)」と「エージェント(代理店)」の合の子のようなサービスを展開している企業も増えています。
たとえばディストリビューターのように販路があり、広告展開や営業活動もしてくれますが、商品の買い取りはしてくれず「固定費+経費+売れた分の〇%」をマージンとして要求される一方、エージェントのように現地情報や営業報告も定期的にフィードバックしてくれ、お金の回収、カスタマーサポートも手厚く行ってくれる…といった形態です。どういった契約内容になるかは、それぞれの企業と交渉して決めていく場合がほとんどです。

海外販売代理店のメリット・デメリット

メリット

海外の販売代理店の場合、現地顧客との信頼関係を築きやすく、顧客に近い業務を任せやすいという点が最大のメリットと言えるでしょう。また、新たに現地会社を設立せずに海外進出を進められるため、人員や設備などといった面での初期投資を抑えることができます。
加えて、ディストリビューターの場合は現地で在庫を抱えられるため、在庫の管理や貯蔵などの物の流れを一元化し、顧客の納期の要望に応えられます。
このほか、料金の回収をしてくれるという点も大切です。お金の話となると、現地ならではの商慣習やマナーがあったりするため、そうした事情に詳しい現地の販売代理店に任せた方が良いケースが多いと言えます。

デメリット

一方、販売代理店に依存しすぎることがデメリットになるという考え方もあります。
日本とは全く異なる海外の商慣習や法規制、ルールを自社として100%把握できないままビジネスを進めることになるので、万が一契約を解除する場合に自社にナレッジがたまらず、リスクになり得ます。
また、販売代理店を通して品質・生産管理、営業体制の構築を行っていくため、想定外の時間や人手がかかることもあるかもしれません。

海外販売代理店を探す際のポイント

海外でパートナーとなる販売代理店を探すにあたり、まずは相手にどのようなスキルを求めるかよく考えましょう。特に以下の2点はとても大切です。

語学力

自社の社員で、進出先の国の言語に堪能な人材はいますか? 外国語でどの程度までコミュニケーションできるかはとても重要です。コミュニケーションにおける認識の齟齬を減らすために、もし外国語のスキルに不安を感じる場合は、日本語が十分に使える海外販売代理店を探すことが望ましいでしょう。日系の企業に絞って探すという手もあります。

事業範囲

次に、販売代理店の事業範囲や経験も重要なポイントです。販売する商品によって、パートナーに求めるスキルは変わります。
産業機械などのように、クライアントに応じて仕様打合せが必要となる商品であれば、ある程度その分野の技術が分かる販売代理店でなければなりません。
また、一律に規格化された商品を大量に販売する場合、国内ビジネス同様に営業力の強さがものを言います。販売したい製品に特化した販売代理店や、経験が豊富な代理店を探すことを意識しましょう。

海外販売代理店の探し方

このように現地の販売代理店は、海外進出における強力なパートナーとなるわけですが、信頼できる業者はどのように探せばいいのでしょうか?

①JETRO(日本貿易振興機構)

JETRO

独立行政法人である日本貿易振興機構(JETRO)の専門アドバイザーに相談するというのがまずは確実でオススメです。
JETROは、日本の貿易の拡大を目的として国内企業の海外展開を支援しています。国外に70以上の事務所を持ち、多数の企業の支援経験からの実績があるほか、自社商品の販売に適した海外販売代理のリストを持っている場合もありますので、一度相談してみるのもいいでしょう。
ただしアドバイザーのもとへ行く前に、輸出したいと思っている自社商品や進出先の候補国をあらかじめ決めておく必要があります。
海外で調査をする「海外ミニ調査サービス」や海外の生産や販売パートナーを探すための「TTPP(国際ビジネスマッチングサイト)」などのサービスも提供しています。
JETROの海外現地支社が発信する現地レポートも見ごたえがあります。「JETRO フランス 繊維」など、国と商品カテゴリーで検索すると出てきます。めぼしい販売代理店情報についても載っていることがあるので、ぜひお試しください。

②在日大使館

海外進出先が明確に決まっており、日本と国交のある国であれば、対象国の駐日大使館に行くことも販売代理店を見つけるための方法の一つです。業務範囲は国によって異なりますので、訪問前には事前に電話をするなどして確認をしておいた方が無難です。
大使館によっては、担当部署から販売代理店リストなどを貰える場合もあります
ただ、大使館に直接行かないといけないというハードルがあり、実際のところ「大使館を利用した」という話はあまり聞いたことがありません。

③日本人会

シンガポール日本人会

世界各地にある「日本人会」には、たとえばLAの駐在員とか、シンガポールの駐在員たちなどのネットワークがあります。その人たちの人脈を使って、現地で商品を販売していく手法もあります。
ただし彼らは貿易の専門家ではないので、市場拡大はあまり期待できません。限られたマーケットでのスモールビジネスや、スポット的な取引向けと言えます。

④取引先、銀行、商社からの紹介

一言で言えば、担当者の持つ人脈によります
紹介してくれる海外パートナー企業は比較的信頼できる場合が多いかもしれませんが、紹介してくださった方との関係もあり、何か問題が発生した時に簡単に関係を断ち切れないリスクもあります。
国際ビジネスを行う商社に紹介を頼むという手もあります。代金回収能力が高く、海外事業リスクを少なくでき、語学力も十分に期待できます。しかしその分手数料も高いほか、商社によって得意な分野や地域がありますので、頼む商社を間違えた場合、思ったように売上げが伸びないおそれもあります。
いずれも、ネットで検索して出てきた素性の分からない代理店に比べれば、紹介の方が信頼性が高いという程度で捉えておくのが良いでしょう。

⑤ネット検索

KOMPASS

なるべく費用を抑えて探すには、ネット検索で探すという手法もあります。「KOMPASS」などの企業情報データベースを活用したり「distributors list in (進出国)」などと検索するとカテゴリー別や地域別に現地代理店を探すことができるサイトなどが多数出てきます。当社も一度検索して調べたことがあります。ただ、そのひとつひとつに連絡をする必要がありますし、その企業が本当に信頼できるかどうかを判断できる方は少ないのではないでしょうか。
ネット検索は、あくまで参考情報程度にとどめておくべきです。

⑥調査会社

帝国データバンク

ネットで探すのとあまり変わらないのでは、というのが正直な感想です。日本の各調査会社は、海外の現地調査会社と業務提携していることが多く、たとえば「アメリカでディストリビューターをしている会社のリストが欲しい」と言った場合、現地調査会社経由で、リストの提供は可能です。(もちろん有料です)ネット検索との違いと言えば、財務状況のデータも提供してもらえるので、あらかじめペーパーカンパニーのような怪しげな会社を省いた情報を入手することはできるでしょう。ただ、その会社が自社と合うかどうかは、やはり直接コンタクトを取らないと分からないのが実際のところです。

⑦展示会への出展や視察

海外展示会への出展や視察はかなり効率的です。短期間で多くの見込み客(ディストリビューターやセールスレップ)に出会うことができますし、様々な情報収集の場にもなります。
とはいえ、闇雲に出ても良いパートナーに出会える確率は決して高くありません。展示会で販売代理店を探す場合、あらかじめJETROのアドバイザーなどに相談して代理店候補を抽出しておき、展示会の場で商談を進めるという流れがスムーズでしょう。
また、海外展示会への出展には、国などの補助金制度なども活用できるので、そういった点からもオススメです。

⑧ビジネスマッチングプラットフォームの活用

RangeMe

近年オンラインのプラットフォームを介して、サプライヤーと販売業者とを結び付ける商品発掘サービスを提供している企業が増えています。販売代理店ではありませんが、商品を輸出して提供したい企業と、現地の小売店の仲介をするという意味では同じで、中国企業でいえばAlibaba.comが有名ですね。アメリカのRangeMeなどは当社も2年ほど活用したことがあります。こういったプラットフォームを使って、対面式でなくオンライン上で海外とつながる方法もあります。が、登録するまでがまあまあ大変。登録した後も、それこそ、世界中の企業が商品を登録しているので、そこから自社商品を見つけてもらうための課金も覚悟しなくてはなりません。

当社の場合、①~⑧まで一通りやってみた結果、①と⑦を併用して見つけた販売代理店と今でもお付き合いしています。具体的には、JETROから代理店リストをもらい、その中の何社かをピックアップして、現地展示会に合わせて直接会いに行きました。代理店といっても人付き合いですので、合う合わないの直感も大切です。また、現地展示会では、代理店(エージェントやディストリビューター)自身が出展していることもあるので、自社商品と似たカテゴリーの商品を扱っているブースに行って、逆営業(自社商品を取り扱ってもらえないか?と聞いて回る)ことをしてみたりしました。
その結果、アメリカでは、最終的に日系のエージェント企業と契約し総代理店のような動きをしてもらい、州によってセールスレップを活用するという契約を結びました。

決め手となったのは
✔担当者が、アメリカ人の気質と日本人の気質を両方持っているような、明るくて積極的な日本人女性人で信頼できる人柄だと感じた
✔自社商品と同じジャンルの商品の輸入販売実績があり経験も豊富で、同ジャンル商品の販売先も500社くらい持っていた
✔商品の在庫を置く倉庫会社との連携もスムーズで納期の問題もクリアできそうだった
✔アメリカはBtoBでもクレジット決済が主流で、お金の回収という面でも現地法人経由にしたかったが問題なさそうだった
✔交渉の結果、月1回の営業報告を提出してくれることになったので、万が一契約を解除した場合でも、リスク回収ができると判断した

契約で注意すべきこと

お目当てのパートナーが見つかり、いざ契約です。ここでも注意点があります。
先に述べたように、販売代理店は大きく分けて、セールスレップ、エージェント、ディストリビューターですが、それに付随する様々な形態の企業が増えてきます。そのため、契約においても「販売店契約」と「代理店契約」など表題にだまされず、
・商品は買い取るのか委託販売のような形になるのか
(売買契約を結ぶのか否か)
・もし買い取りしないのであれば在庫管理はどうするのか
(棚卸し在庫に差異が出た場合の責任はどちらが持つのか)
・販売エリアを限定するのかしないのか
(独占契約を結ぶのか否か)
・サービス内容には何が含まれているのか
(商品の受け入れ、管理業務、商品の流通業務、会計業務、顧客情報を共有するかしないか、売掛金の回収はするのかしないのか、カスタマーサービスはどちらが担うのか)
・もしもの場合の責任はどちらがどこまで持つのか
(売掛金が回収できない場合はどうするのか、商品に関わる第三者からの損害賠償が生じた場合はどうするのか)
・有効期間はどうするのか
など、それぞれの項目について、きちんと話し合い、場合によっては交渉して決めていく必要があります。日本人は出された契約書の内容をきちんと精査しないまま結んでしまう人も多いので、後で揉めないように、主張するところはきちんと主張して交渉することが何よりも大事です。

まとめ

販売代理店の特性やメリットを理解した上で、自社が求めるスキルを持ったパートナーに出会うことができれば、海外進出もぐっと成功に近づきます。
海外進出を検討する際には、現地で信頼できる販売代理店を見つけるために、念入りに情報を集めましょう。

8clickでは、信頼できる海外パートナー企業(販売代理店も含む)とパートナーシップを結んでいますので、お客様のご要望に合わせて適切な販売代理店等をご紹介させていただきます。是非お気軽にお問い合わせください。



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