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サークル・オブ・ライフ_1 村を勝手にリ・デザインする

 奈良県吉野郡。この地域は多くの村が杉や桧と共に在る。その一つで、県の大体中央に位置しているのが黒滝村である。2022年時点で人口約650人。男女比は凡そ半々で世帯数は約340世帯である。周囲を完全に山に囲まれており、地図アプリで航空画像を見れば、川沿いに家が点々と立っていて、なるほど人類文明はこんな具合に川沿いにできていったのだなあと歴史に想いを馳せることができる。北は吉野町、下市町と、東は川上村、西は五條市、南は天川村と隣接している。

 この辺りの地名は村名に限らず“水”に関するものが多い。黒滝・川上・天川・十津川・洞川・赤滝・長瀬・脇川・釜滝等、枚挙にいとまがない。

 村民はどちらかというと保守的で前例を重んじる傾向にあるものの、時流に乗ろうとして頑張ることもある。最近ではSNSや動画等がそれにあたる。ゆるキャラの『くろたん』も彩を添えている。つまりは日本における一般的な思考を持った人たちが、緩やかに、それなりに平和に日々の生活を営んでいる。

 さて、今世紀に入ってから、特にここ15年。それまで温暖化を鼻で笑ったり自社の利益を損なうという理由から強く反発していた人々でさえ、氷山が削り取られるが如く着実に温暖化防止に反転してきていた。とはいえ、ここ黒滝では降雪量は徐々に減っているものの、依然として冬は凍てつく寒さだし、夏は都会に比べればすこぶる涼しい。仮想空間での生活が一日に占める割合が伸びてきているので、むしろ避暑の意味も相まって、こうした限界集落への移住者も増加傾向にある。人口は減少しているのに平均年齢が少しずつ若返っているのはそのためだ、と言っても高齢者が多いが。対して隣接する天川や川上では若い移住者が増加している。黒滝に比べて観光に力を入れていたり、そういったスポットがそもそも多いというのが主な理由だ。そんなわけで黒滝村は、川上村や天川村、更に南の十津川村へ進むために通過されるだけの村だった。

 そこで、自身の出身地でもあるこの村を、あたかもシムシティの如く“勝手に”デザインしていこうと思う。このサークル・オブ・ライフでは『実現可能性はさておく』ことを旨としているので、別の世界線の出来事としてお楽しみいただければ嬉しい。それでは早速取り組んでいこう。

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