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【第36回】「地方で働くこと、暮らすこと」

第一線で活躍しているクリエイターをゲストに迎え、クリエイティブのヒントを探るトークセミナーシリーズ「CREATORS FILE」。

第36回 クリエイティブナイト
ゲスト:三田村敦氏、真田悦子氏(GOOD MORNING )

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今回は、福井県を拠点に活躍するデザイン会社「GOOD MORNING」のデザイナー・三田村敦氏と真田悦子氏を迎えて、「地方で働くこと、暮らすこと」をテーマにトークを繰り広げます。東京から福井へ移住した若手クリエイターに、都市と地方のリアルをインタビューしました。


福井で独立するまで

西澤:Uターン・Iターンをして、地方で働くことがトレンドとなるなか、2012 年から福井県で活躍する「GOOD MORNING」のお2人をゲストに招きました。三田村さんと真田さんは同い年で、長い付き合いですね。また、真田さんと僕は同じ高校・大学の出身で、真田さんはエイトブランディングデザイン創業期のスタッフでもあります。

真田:エイトにいたのは、もう十数年前ですね。

西澤:そんなに前か~。さて、今日はよろしくお願いします。乾杯!

(会場 乾杯)

西澤:今日はお二人のクリエイティブの話と、Iターン・Uターンなど「デザインと働き方」といったテーマにもふれたいと思っています。

真田:では、まずは私たちの会社のコンセプトからご紹介したいと思います。コンセプトは「おはようデザイン」です。

新しいもの、新しいデザインの誕生は、みんなに希望を与える出来事。
世の中に新しいデザインを送り出す楽しみと共に、その後の成長を見据えたものづくりを心がけたいと思っています。
わたしたち、グッドモーニングが生みだすデザインが、家族や友達のような、毎朝「おはよう」を言い合えるパートナーとなるように
(ホームページから引用)

というさわやかな書き出しですが、実はみんな朝が苦手で……(笑)

三田村:30分くらい遅刻しがちです。

真田:私たち夫婦は2人とも福井に住んでいますが、福井って東京からアクセスしづらい場所で、「陸の孤島」状態です。

西澤:そうやんなぁ。

真田:エイトを辞めた後は1年間専業主婦をしていたのですが、それからはフリーで活動を始めました。震災が起こった2011年頃のことです。子どもは実家に預けて、東京と滋賀を行ったり来たりしながら仕事をしていました。その頃はちょうどFacebookの黎明期で、メッセンジャーで頻繁に連絡を取り合いながら仕事を進めていたので、「働くのに場所って関係ないなぁ」と思い始めていました。

西澤:なるほどね。

真田:そうしたなか、2011年の夏に、会社員だった三田村が急に「福井でデザイン事務所をやろうかな」と言い出して……。

西澤:なんでまた?(笑)

三田村:なんとなく、ですかね(笑)。独立志向はなかったので、「デザインの仕事ができたらいいな」くらいの感覚でした。

西澤:東京で独立する選択肢はなかったの?

三田村:あまり自信がなかったのかもしれません。

真田:福井のほうが、チャンスがたくさんありそうだったしね。

西澤:なるほどね。

真田:東京だと彼は帰りが遅いので、子どもの面倒をみるのはほとんど私で、できる仕事が限られていました。でも、福井に行くならお互い時間が作りやすくなる。利害が一致したというわけです(笑)。

三田村:実は震災直後、2週間ほど家族と離れて暮らした時期がありました。久しぶりに子どもに会った時、子どもが僕の顔を見た途端、泣きだしてしまって……それがすごくショックでした。震災の経験から「いつ死んでもおかしくない」と考えるようになり、東京だと子どもと多くの時間を過ごすのが難しいと思ったんです。

西澤:会社に勤めることは考えなかったの?

三田村:デザイン会社はいくつかありましたが、福井の状況をみて、せっかくなら自分たちでやろうと思って。

真田:これが私たちのベストな選択だと決めて、福井に戻ってきました。


地域を担う産業デザイン

西澤:三田村さんは福井が地元ですよね。友達や仕事のコネクションはありましたか?

三田村:友達はいましたが、仕事のコネクションはありませんでした。

真田:最初は友人や前職の知人のつながりで仕事をしながら、全国を飛び回っていました。ある時「BOSTON CLUB(ボストンクラブ)」という地元のメガネ会社の銀座店のパーティーがあると聞いて、三田村が勝手にデザイン案を持ち込んだんです。この時は勢いがあったね、私たち(笑)。

三田村:メガネとは違う切り口でオリジナルグッズを考えて、Tシャツにしたんだよね。

真田:しばらくして、ボストンクラブの社長に「会社のロゴをつくりませんか」と誘っていただきました。

西澤:急展開!

三田村:これがロゴマークです。「ボストン」というのは地名ではなく、逆三角形をしたメガネの形状の名前です。

<BOSTON CLUBロゴマーク>画像提供:GOOD MORNING

真田 さらに、「ボストンクラブ」の社長のご紹介で、鯖江で開催される展示会のブースデザインを担当することになりました。行政がブランディングに力を入れ始めた時期だったので、デザインの背景にブランディングを置く私たちにとってはすごく有利な流れでした。しかも、西澤さんの本が売れはじめたころだったので、本当にタイミングが良くて……(笑)。


\ 引き続き、三田村さん、真田さんの地方での生活に迫ります /
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「CREATORS FILE」をまとめて見るには、こちら(外部サイト)

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