見出し画像

【第27回】「生きるように働く会社のつくりかた」

第一線で活躍しているクリエイターをゲストに迎え、クリエイティブのヒントを探るトークセミナーシリーズ「CREATORS FILE」。

第27回 クリエイティブナイト
ゲスト:ナカムラケンタ氏(株式会社シゴトヒト 代表)

・・・
今回は、生きるように働く人のための求人サイト「日本仕事百貨」の企画運営を手がける株式会社シゴトヒト代表・ナカムラケンタ氏をゲストに迎え、「生きるように働く会社のつくりかた」をテーマに語り合います。

居場所、いい場所

西澤:ナカムラさんが運営されている求人サイト「日本仕事百貨」には、エイトブランディングデザインも掲載をお願いしています。本日、司会を務めているスタッフは、サイトを見て入社した社員の一人です。ナカムラさんには以前からクリエイターとしても非常に興味がありました。

ナカムラ:生きるように働く人の求人サイト「日本仕事百貨」を始めたのは、今から10年ほど前でした。きっかけは幼少期にさかのぼります。親が転勤族で、幼い頃から1、2年おきに引っ越しを繰り返していました。つまり、地元がないんですよね。実家はあっても、周りに知り合いがいなくて、ずっと自分の居場所がほしいと思っていました。そんな経緯から建築家を目指すようになりました。

西澤:そうだったんですね。

ナカムラ:建築家になれば、自分の居場所が作れると思っていたんですね。勉強を始めてみるとなかなかおもしろい。でも、ある時、建築の多くは「自分の居場所」ではなく「人の居場所」を作る仕事だと気づきました。そしてもうひとつの転機となったのが、学生時代に手掛けた古い店舗のリノベーション提案です。当時の僕はデザインのことしか考えていなかった。オーナーさんから費用を聞かれても全く答えられず、最終的には建物が取り壊されてしまいました。心にモヤモヤが残った僕は、建築家の道を外れ、不動産会社に就職します。

西澤:すごい展開。

ナカムラ いろいろと勉強をしたいと思ったので、半年毎に社内を異動させてもらいました。とてもよい経験をさせていただきました。しかし、またモヤモヤしてきます。

西澤:おやおや。

ナカムラ 「働き方」や「生き方」について迷っていた時期ですね。モヤモヤし過ぎて、店の定休日を除いた週6日はバーに通っていました。これはバーテンダーの戸次(べっき)くん、あだ名はベッキーです。

自分がどうしてこのバーに毎日通っているのか。ほろ酔い気分で考えていた時に、こんなにも通ってしまう場所こそ「いい場所」なのではないかと気づきました。通う理由を分析して突き詰めていけば、自分でも「いい場所」が作れると思ったのです。

西澤:通う理由には、お酒や食事などいろいろとありますよね。

ナカムラ:ええ。もちろんお酒も食事も美味しくて大好きです。ただ、決め手ではない。僕の場合は、バーテンダーや常連のお客さんに会いに行くことが店に通う一番の目的になっていました。同時に、「いい場所」とは「人」なのだと気づきました。いきいきと働いている人がいる場所が「いい場所」になっているのだと。そして、人と場所をすれ違いなくつなげることができれば、「いい場所」が増えてくるのではないかと考え、求人サイトを始めてみようと思ったんです。

正直にあるがままを伝える

ナカムラ:求人サイトの立ち上げにあたってリサーチをしていると、身近に参考になりそうな事例が2つありました。ひとつは不動産のセレクトショップ「東京R不動産」の取り組みです。これまでは定量的な情報しかなかった不動産業界に、「バルコニーが広い」「改装してもいい」と定性的な情報を載せています。これと同じように、求人サイトにも給与や勤務地だけでない情報を紹介するべきだと感じました。

また、「東京R不動産」には、物件のネガティブな面もちゃんと記載されています。

西澤:へえ、そうなんですね。

ナカムラ 実はこれ、仕事を効率化するためなのです。不動産の仲介の仕事で一番大変なことって何だと思いますか。

西澤:うーん、何だろう。

ナカムラ:物件の内見です。契約が決まらない限り何軒も回らなければいけません。だからこそ、ネガティブな情報を正直に書きます。例えば、「上層階の部屋だけど家賃がちょっと安い。エレベーターがないから」みたいなことですね。正直に情報を公開すれば「それでもこの物件を見てみたい」という人からしか、内見の申し出がこなくなります。すると仲介の仕事の効率が良くなるわけです。
 
求人も同じで、求職者も求人者もなるべく効率的に仕事を見つけたい、働き手を探したいと思っています。会社のネガティブな面を包み隠さず紹介することで、入社してからもギャップが生まれない仕組みができるのではないかと考えました。

答えではなく、問いを提供する

ナカムラ:もうひとつの参考文献を紹介します。働き方の研究家・西村佳哲さんの著書『自分の仕事をつくる』をご存知ですか。

西澤:もちろんです。「働き方」を研究領域として世の中に初めて定義した本ですよね。

ナカムラ:もう10年以上前の本ですが、僕は30回は読みました。この本の中面には特徴的な部分があります。


\ 引き続き、ナカムラケンタさんの生きるように働く会社のつくりかたに迫ります /
>> この続きは、エイトブランディングデザインWEBサイトで全文無料公開中。『【生きるように働く会社のつくりかた】クリエイティブナイト第27回[ 前編 ]』へ

「CREATORS FILE」をまとめて見るには、こちら(外部サイト)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?