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【第35回】「女性視点を⽣かすデザイン」

第一線で活躍しているクリエイターをゲストに迎え、クリエイティブのヒントを探るトークセミナーシリーズ「CREATORS FILE」。


第35回 クリエイティブナイト
ゲスト:松本博子氏(女子美術⼤学 プロダクトデザイン専攻主任教授・デザイナー)

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今回は、女子美術大学でプロダクトデザイン専攻主任教授を務める、デザイナー・松本博子氏をゲストに迎え、「女性の視点を生かすデザイン」をテーマに語り合います。

西澤:女子美術大学(以下、「女子美」)でプロダクトデザイン専攻主任教授を務めながら、デザイナーとしても活躍されている松本博子先生にお越しいただきました。松本先生は、僕が前職の東芝デザインセンターにいた頃の先輩でもあります。当時からスーパーデザイナーとして頭一つ抜きん出ていらっしゃって、グッドデザイン賞の金賞を次々と受賞されていました。今日は松本先生がどのようにデザインをされているのか、深く掘り下げていければと思います。

松本:私は31年間、東芝でプロダクトデザイナーとして勤務していました。デザインセンターでは、小さな電池式の製品から洗濯機などの大型家電まで多くのプロダクトを手がけ、最後の2年間は仕事の一環として週2回、母校である女子美で授業をしていました。退職後も女子美との関係性は途切れることなく、今に至ります。

使い勝手が良くないと意味がない

松本:代表的な実績の一つが、1987年に発表した「スチーム式携帯アイロン」です。当時は、ハンガーに衣類をかけたまま、スチームでしわを伸ばす機械が日本にはありませんでした。

<スチーム式携帯アイロン>画像提供:松本博子氏

松本:アイデアの発端は、洒落者の父です。自慢のオーダースーツを前に「このスーツは熱を当ててしわを伸ばすのではなく、蒸気を当てないといけないんだ」と、アメリカのメーカーが作っているアーミー柄のスチーマーを使ってメンテナンスをしていました。「これは、絶対に便利だ」と思い、すぐに部長へ提案。父のスチーマーをもらって解体し、構造を研究しながら作り上げました。

西澤:80年代のプロダクトとは思えない。今にも十分通じるデザインですよね。

松本:部長に怒られながら、クレイ(粘土)で必死に模型を作った甲斐があって、グッドデザイン・ロングライフデザイン賞をいただけました。これとほぼ同時期に発表したのが、「トラベルドライヤー」です。

<トラベルドライヤー>画像提供:松本博子氏

松本:そのままバックに入れられるようにコンパクトに。そして、コードリールをドライヤーと同じデザインにしました。

西澤:松本先生は、黒をよく使うんですね。

松本:黒、銀、白が好きですね。カラフルな色使いがあまり得意ではなくて、硬派な色彩に仕上げる傾向にあります。ただ、いくらデザインが良くても、使い勝手が良くないと意味がない。発想の起点は常にそこにあります。


コラボレーションで生まれたIH鍋

松本:こちらが2001年にグッドデザイン賞で金賞をいただいた、「IH鍋」です。

<IH鍋>画像提供:松本博子氏

西澤:きたきた! ぜひ、開発ストーリーをお聞かせください。

松本:きっかけは、このステレオタイプな電気鍋でした。


\ 引き続き、松本さんのデザインに迫ります /
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