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栄養療法ことはじめ(3)鉄茶を熱弁

鉄茶について前回書きましたが、きっと

「え、鉄剤って、お茶で飲んだらダメだって聞いてたんですけど!」
「鉄を緑茶で溶かして飲むって、吸収しないんじゃないの?」

というご意見があると思います。


まぁ、私もそう思ってました。

科学的には、鉄と、緑茶のタンニンとが化合する、タンニン鉄ってものが出来上がる。

そのタンニン鉄は吸収が悪い、と。


金属の鉄が、私たちの栄養になるのか?

一方、昔から、日本人って、緑茶をなんで沸かしてたかっていうと、鉄瓶で沸かして飲んでました。

昔はステンレスとかなかったですからね。

南部鉄の急須…高級品として、今も人気ありますが、日本人にとって長い間、鍋釜とは、鉄器だったはずです。


私も「鉄を緑茶で溶かして飲むって、吸収しないんじゃないの?」って疑問に感じたから、まず、南部鉄器のサイトを見たりしたんです。


きちんと研究されてるもんですね。

上の記事でわかることは、
・鉄の鍋などで調理すると、確かに鉄が摂れるってこと。
・短時間湯を沸かすとかじゃなく、しばらく鉄の鍋に入れて時間を置く、とくに長時間煮込むことで、摂れる鉄の量が増えるってことです。

ベースになっている研究がこれ↓↓↓

https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience1995/36/1/36_39/_pdf/-char/ja

海藻のひじきの話で、「ひじきに鉄が多いと言われていたのは、昔は、ひじきを炊くのに、鉄の鍋で炊いていたからだ」という話があります。

切り干し大根も、鉄の包丁で切っていた。それで切り干し大根も鉄が多く含まれていた。

鉄の調理器具で、調理するということは、それだけで、食材に鉄が移動して、鉄の栄養価が高まることだというのは、確かなことのようです。


よく耳にする「ヘム鉄」ってなんだ?

もうちょっと捕捉します。

鉄には、二価鉄と、三価鉄というのがあるそうです。
そのうち吸収がいいのは、二価鉄。

二価鉄、三価鉄というのは、分子としての鉄、Feに、何個電子がついてるか、電子の数の違いです。

南部鉄器がいいのは、その二価鉄だから、だそうです。


また、ヘム鉄と非ヘム鉄という区分の仕方もあります。

よくサプリメント業界で聞きます。

こちらは、身体の中で、タンパク質と化合して、…つまりタンパク質とくっついて、おっきいカタマリになっている場合が多いんですが、たとえば。

血液に含まれる鉄。

よくいうヘモグロビンってやつ。

あれは、タンパク質と鉄がくっついた名前なんです。

ヘモ…鉄のこと。グロビンていうタンパク質。合体して、ヘモグロビンです。

ヘモ…という音にピンと来た、勘のいいひともいるはずです。

ヘモってのは、ヘム鉄のことです。

そして、ヘム鉄ってのがなにかっていうと、これまた、鉄と「ポルフィリン環」というものが合体した姿。

つまりヘモグロビンは、鉄が二段合体したもの。


アムロがコアファイターにのって、コアファイターがガンダムの腹部に収まる、みたいなもんです。

アムロが鉄だと思ってください。

て、…かえって分かりにくいか。


緑茶と鉄は相性が悪い?

それはそれとして、緑茶と鉄の問題はあるわけです。

鉄なべで料理するのはOKだけど、緑茶だとダメなのか?

こちらの記事には、「宵越しのお茶」つまり、長時間鉄瓶に入れっぱなしにしたお茶は、タンニン鉄になり、タンニン鉄は吸収しにくいので、おすすめじゃない…という話です。

タンニン鉄は本当に吸収が悪いんでしょうか?

それについては、私ははっきりした答えを見つけられませんでした。


いろんなサイトみましたが、そもそも鉄は、摂った量の1/10も吸収すればいい方なんですね。

私が飲んでる鉄茶は、鉄でお茶が真っ黒になってます。

相当の鉄が、お茶に溶けだしてるんです。

率が悪くても、大量に摂ってるから、総量では鉄剤を飲んでるのと変わらないくらい、摂れている…可能性はあります。


鉄には即効性がある


しかし、鉄を緑茶に溶かすというやり方に、こだわる必要もないわけです。

こちらのブログでは、鉄のケトルでお湯を沸かして、それで、この方は「麦茶」なんですけど、麦茶を淹れて飲み始めたところ、

妊婦だった奥さんが、貧血が激しくて寝てたのに、二日目から起き上がって、活動的になったと書いてありました。

私の体感も同じで、鉄は栄養素の中では、即効性があるんじゃないかと思ってます。

普通の栄養素は、薬じゃないだから、飲んですぐ効果があったりしません。

プロテインだって、半年、一年と続ける必要があります。

だけど、鉄は、飲みはじめて二日三日で、もう元気が出てくるんです。

それだけ、貧血ってのは影響がある…ってことなのでしょう。


鉄を摂ってで出る元気は、カフェインとかとは違う

私に鉄茶を教えてくれた、野中先生には、一度しかお会いしていないのですが、野中先生がその一回に飲ませてくださった緑茶は、真っ黒くお茶の色が変わっていました。

この黒くなった状態が、タンニン鉄が出ている状態で、この状態で飲むようにという話を聞き、私もその通りにしていました。

結果、今、3年たってみて、私は元気になっています。


私の体感として、鉄を摂ると、「ちょっと動こうかな」という元気がでるんです。

いきなり、マッチョになって、空でも飛ぶか!という元気の出方じゃないんです。

ドーピングとか、カフェインとか糖分でも「元気」は出ます。元気はつらつ!ですが、鉄は、それらとは元気の出方がまるで違います。


栄養ドリンクを飲んだ時のような、元気の出方を期待していると、誤解されるかもしれません。

一番の違いは、カフェインや糖分は「離脱症状」といって、効果が切れるとへなへなになるんですが、

鉄茶で出る元気は、「穏やかに」、「長く」、活動できる元気。
そして、離脱症状はない。これが大事なことです。

ドーピングじゃないんです。

自然に出てくる活力なんですね。


私の鉄茶の摂り方

私が鉄の摂り方を、鉄茶というもので摂っています。

鉄のカタマリを緑茶のペットボトルに放り込んで、数時間から一日冷蔵庫に放置すると、お茶が真っ黒に色が変わります。

それをゴクゴク飲んでいるわけです。

見た目、キモいですが、味は緑茶がマイルドになったような感じですね。

こういう鉄の摂り方は、京都大学の野中先生に教えてもらいました。

野中先生は、自然の循環、田んぼと森、森と海の関係という、生態系全体の観点から、鉄と緑茶は相性がいいはずだ!という推測していて、

私もその効果から、至極、納得しています。


しかし、最初、自分でやろうとしたときは、苦戦しました。
「これでいいのかな?」「やりかたまちがってないのかな?」と。

なにせ、見た目グロいから。

あと、たまに作るの、失敗することもあって、そのときは、鉄サビっぽい味がするんです。


試行錯誤して、一番楽な、市販の緑茶のペットボトルに、鉄釘を放り込むという、楽チンさ優先のやり方に落ち着きましたが、

市販のペットボトル緑茶といっても、中身、同じじゃないんですね~

同じ鉄釘入れても、お茶が黒くなりやすいもの、なりにくいものがあったりして。

こっちの緑茶は良く出るけど、こっちは出ない、ってのがありました。

お茶に詳しい人が言うには、「酸味の強いお茶」だと、タンニンが多く含まれているそうです。

緑茶を淹れて、鉄茶を作ろうと思う人は、濃い目に出した方がいいかもしれません。

…ただし、緑茶の場合、胃は強くないと厳しいかも。

カフェインも含まれていますし、胃の弱い方は、麦茶と一緒に「しっかり煮だす」やり方で、鉄卵を使ってもらった方がいいと思います。

鉄瓶を使うのも良いと思いますが、そのときは、内側が釉薬などでコーティングされてない、鉄だけのものを使ってください。


鉄を飲んでいると、一日にできることが、普段より増えます。

「あとちょっと歩こう」
「ジムであと10分頑張ろう」
「もうちょっとで終わるから、やり遂げよう」

そういう頑張りが効きます。

ぜひ、生活の中に、何かの方法で、鉄を摂る方法を加えてください。

そのときに、この記事が参考になったらうれしいです!


こちらの記事は、当院の公式LINEで連載していたものを、改定したものです。

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