パートナーと別れた話とその後の話

恋人は男性。
自分の体は女性。(に限りなく近い)
それゆえにマッチングできた2人でした。

共通の趣味・嗜好、お互いがマイペースにいられる関係、全てをさらけ出し受け入れ合える心地よさがありました。
一生を共にするならこの人しかいないと思っていました。

体が異性同士だったからこそ出会えた2人でしたが、体が異性同士だからこその壁が見えてきました。

男性の彼は自分に性的欲求を抱きます。
しかし自分は無性別、恋愛感情や性欲を誰にも抱いたことがありません。
彼に対しても同じでした。
今まで出会ってきた誰よりも気が合う、気が許せるから一緒にいたかっただけでした。

自分の性自認の事情や性的なことに関心がないことはお付き合いの中で伝えてあります。
できる限り手は出さないようにしてくれました。
それでも男性の性欲は抑え難いもので、時にどうしても暴走してしまう時があります。

そこで直接NGを出せず受け入れ、結果的に疲弊する自分を見て彼は別れるという決断に至ったのではないかと考えます。
友達同士の方がお互い良いのではないかと言われました。

確かに彼は「彼氏」であってくれましたが、自分は「彼女」にはなれませんでした。
友達に戻った方が良いと自分も結論づけ、お別れに至りました。

そもそも恋人・カップル・未来の夫婦と感じていたのは彼だけで、自分はひたすらに「パートナー (未来のパートナー) 」だと感じ、述べてきました。

体と心の性別のギャップに悩み始めた時、
「性別なんてカテゴリ分けする必要ないよ」
「吐く也は吐く也でいいんだよ」
と言ってくれた彼の言葉を思い出します。

それがあって無性別の地球外生命体として生きれば良いと思えた部分もあります。

しかしそれなら、なぜ「恋人」ではなく「パートナー」として関係を続けられなかったのか。
「男性と無性別地球外生命体」の特別な関係を保てないのか。
と、時間が経つと共に思うようにもなりました。

結局今、たまにネットで見かける、
「男性の言う彼女が欲しいって、ヤれる友達が欲しいってことでは？」
という言葉を思い出してはモヤモヤとしています。

彼の下した判断は果たして、
「体の関係が持てないなら友達でいいや」ということなのか。
もしくは、
「隣に彼女がいるとどうしても性欲が抑えられず彼女に迷惑を掛けてしまうから」ということなのか。
はたまた、どちらとも言えるのか。
性とお付き合いのことを色々と考えさせられる良いきっかけでした。

収穫はもう一つ。
「彼女」を辞めた自分は性別 (をカテゴライズする世の中) から何か一つ解放された気分になりました。

体の見た目が女性と酷似していることは避けて通れませんが、無関係の他人が外見で判断しようがもはやどうでもいいです。
知人には時と場合を見て無性別をカミングアウトすれば良い。
もはや誰の「彼女」でもないという開放感は、少なからずあります。

彼と出会って、性別に違和感を抱き、自分の心の本当の性に気付き……
そして別れるところまできてやっと、本当の意味で、自分に性別は無いことを学べました。

それだけでなくたくさんの人生経験を積ませてくれた彼には、心から感謝しています。