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今後の自治体職員(VOL.6)

自治体が最大のパフォーマンスを発揮するためには、職員一人一人がいきいきと働くことが大切です。
これを実現するため、VOL.1~VOL.5では、①求められる職員像と人事評価システムの構築(改革)、②対話による業務遂行をまとめてきました。
次は、この上で、最も重要となる「一人一人の管理職が中心となったOJTを含めた職場のマネジメント」について、私自身の経験をもとに、まとめたいと思います。

③職場のマネジメント

まず、私自身が「管理職として実践してきたこと」、次に、「管理職として心がけたいこと」をまとめます。
内容的には、オンライン市役所の木曜日の庁内放送「管理職のホンネに学ぶ」において、お話したことが中心ですが、改めてご紹介します。

オンライン市役所の木曜日の庁内放送「管理職のホンネに学ぶ」


ア 管理職として実践してきたこと

部下に任せて責任はとる

お話しするのは、主に課長としての二番目の所属で、部下が5人から突然30人になった時の二年間のことですが、次の、次長として、100人近くの職員を抱える地方機関での二年間のことを加味しています。

とにかく、部下が増えると、今度は一人で何でもはできないと思いました。まず、公務員として大切に思っていることや課としての目標を、挨拶の場面や自主勉強グループから依頼を受けてお話しする場も含めて伝えるようにしました。次に、予算議論から事業実施まで、部下に任せて、後の責任はとるスタンスも、できるだけ伝えるようにしました。
これまで自ら手を動かしてきたタイプだったので、ついつい手を出すこともありましたが、このやり方を少しづつ実現させていきました

これは、実は、監督職になって初めての職場で、パワハラに遭った反面教師です。
当時の上司は、若い頃とても優秀と言われていたそうですが、自分のことを中心に考えられ、自分のやり方、価値観を押しつけ、それにそぐわないと徹底的に追及するけど、上司に指摘されると部下に責任を押し付けてしまうタイプでした。

職員一人一人との対話と信頼関係の構築

次に、私は、自分で言うのも何ですが、とにかく好奇心旺盛で何でも首を突っ込んできたためか、趣味や引き出しが結構あったので、それを自己開示して、課員とできる限り対話して、一人一人の好きなことや嫌いなこと、長所と短所を把握し、関係性を築くようにしました。

決裁が終われば、どんなに忙しくても、自ら課員一人一人のところに行って、お話しすることを続けました。私が痛感したのは、食とお酒、そして家族など「人」に関することはポイントだったと思います。ラーメン、スイーツ、そして子育てに関する経験がアドバンテージになりました。
実は今でも、一緒に飲みに行くことができない人については、課題は残りますが、お昼休みの女子会に顔を出したり、ラーメン女子博などイベントへの参加を企画する。サントリー一万人の第九へのグループ参加を企画するなど、別の機会を作り、このやり方を続けました。

部下の長所を組み合わせ、仕事の柔軟な配分に努める

最後です。基本的な仕事の分担はきっちり決めたうえで、こうして把握した課員の長所を組み合わせた仕事の柔軟な配分に努めました。基本は、とにかく対話と協調です。あと、課員からはよく不満の種になる〝手戻り“ができるだけ少なくなるよう、最初の段階で、的確な情報収集と課題整理に基づく指示を丁寧伝えるように努め、みんなが納得できるように仕事を進めました。

どうしても、ほころびが出そうになるのは、できる課員に仕事が集中してしまうことです。こちらもついそういう人に指示を集中しがちです。できるだけ陰で、他の職員に気づかれないように、仕事を手伝ったり、ありがとうの言葉かけをして、モチベーションを維持してくれるように配慮しました。

あとは副課長との対話がポイントです。お昼休みや放課後をできるだけ活用しました。個別面談の際、若い職員からもっといろんな話がしたいと提案があったのを受けて、食事会のセッティングもお願いしました。上司と折り合いの悪いケースは、副課長に入ってもらったり、最後は課内異動も、2年間で2度するという少し強硬な対応もしました。

オンライン市役所「管理職のホンネに学ぶ」出演時のスライド①


イ 管理職として心がけたいこと

現在の職場事情

最初に、現在の職場を整理してみました。一番感じているのは、年代、性別、障害の有無、育児や介護等の家庭の事情を抱える人など、多様な職員で構成されていることです。

そして、ワーク・ライフ・バランスの考え方が、実は若い職員を中心に浸透しつつあり、こうしたことは、とてもよいことですが、その一方で、仕事が減っているわけではありません。
そんな中で、県民が公務員を見る目は一層厳しく、スピード感を持って最大の成果を上げることが求められています。
なので、ある意味、管理職受難の時代とも言われ、悩みを抱える管理職は多く、あくまでわが県の話ですが、実は管理職になるのを嫌がる職員も増えている状況があります。

管理職として心がけたい3つのこと

まず、現在、これが一番大切だと辿り着いたのが、多様性を認めることです。多様性を認め、対話と協調で部下の能力を引き出して、長所を組み合わせて仕事を進める。そして、的確で迅速な判断を研ぎ澄ませることが大切と考えます。

次に、そのためには、自らもアンテナを張り、今の業務に関する知識やトレンド情報などを習得するとともに、何より部下の立場、県民の立場に立って、自分ではなく、相手のことを常に考えることが重要になると考えます。

最後です。けれども、言うは易し行うは難しを感じることが多々あります。うまくいかない時も多いです。心理的安全性が確立された管理職のネットワークを広げ、常に悩みを共有し学びを継続することが必要だと感じています。
そのためには、同期や職場の仲間など同じ立場の仲間と交流することに加え、オンライン市役所などの場を積極的に活用し、思いを共有できる仲間を見つけて、つながることが、ネットワークを広げるコツだと思います。

オンライン市役所「管理職のホンネに学ぶ」出演時のスライド②


<冒頭写真(ホッと一息)VOL.12>入之波温泉(奈良)
奥吉野の秘湯。しおのはとはなかなか読めません。一軒宿の山鳩湯は、含炭酸重曹泉、神経痛などによく効く全国でも珍しい炭酸泉で、加水なしの源泉掛け流しの贅沢な温泉は、見るがままに濃厚な泉質と絶景が売りの至福の温泉です。


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