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歯医者、いかなきゃな

歯医者に行きたくない。
行かなければ、とおもいながらも
嫌なので行かない。
単純明快、直截簡明、かつ幼稚な思考である。

治さなくたってしばらく生活はできる。

あとからくるしい思いをするのをどこかで知っていても、
いきたくないところにはいきたくないのである。

人は痛みを忘れる。
動物としての本能だろう。
痛みは残るが、同じ痛みが永遠には続かない。
反省はしても同じ過ちを犯したりする。

時に痛みを思い出して天を仰いで苦笑することがある。
その時でさえ当時の胸の痛みに近づくことはない。
あくまで過去のものである。

しかし痛みは消えているのだろうか。
いくら薄れても傷跡としてだれもが秘めているように思う。

多くの臓器が代償能というものを持っている。
ある程度傷ついても正常な機能を果たせるのである。
しかしそれと同時に多くの臓器の傷は不可逆性である。
一度傷つくともとには2度と戻らない。
歯だって、こころだってそうである。

太っていても生活ができる。
タバコを吸っても元気である。
大酒飲みでもピンピンしている。
わざわざ自分に傷を負わせていても実害として現れないと
自分の体のケアというのは難しい。
自分の見えない傷のケアはさらに難しい。
ましてや人の見えない傷のケアはもっと難しい。

世界で一番大事なはずの自分の痛みさえもコントロールするのは難しい。
コントロールできるものもあるというのに。
まずは小さなところから、自分を守らねば。
歯医者くらいいけよと自分の背中を押す。

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