寂寥

空が破れて
大男から
涙が零れ落ちた

空高く
突き上がる鉄塔の
螺旋階段を登って

風が吹く 
匂いがする
日暮れの囁き

鉄塔の窓辺に
老婆が
鼻をくっつけている

息子が
旅立っていった空に
手紙を送りたい

空間に
シュプールに
描き空と会話する

一層の涙を 
人は迷惑そうにして
足早に家路へ

老婆の窓は
永久に外と
会話する

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