雪が降り積もるまで



あなたが
一番きれいだった日

私はそこに不在だった
たしか雪が詩を編むような日だった

あなたが
一番きれいだった時

私はつなぐ手を探しあぐねて
きれいでない物語を紡いでいた

あなたが
一番きれいだった時

祖母も母も
同じ道を通り

きれいになることで
心が弾むような

雪の降りつもる
楽しみの前の時間のような

あなたが
一番きれいだった日

私はいなかった
あなたは違う男に抱かれて
幸せになれる

あなたが
一番きれいだった日

僕はマグリッドの
絵画にうつつを抜かす

顔面が性的になる前に
クッキーを砂浜に持っていき

一緒に美味しい美味しいと
笑いあい食べた

物語は続かなくても

そういう
あたたかな始まりでした

夏に雪が降るような
ふたりで旅立つ前の朝に

ハートを砂浜に書いた
賑やかな声の隣で

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